go to ...かさなりステーション

2013読書考(2013.12.31)

2013年、わたしは小説を79冊読んだ。
去年の87冊には及ばなかった。
しかし、おととしの46冊よりは多い。
これは、わたしがどんどん教育の専門書や社会派のノンフィクションを読まなくなっていることと無関係ではない。

ことしの読書数を月ごとに振り返る。
1月:8冊
2月:6冊
3月:9冊
4月:4月
5月:4冊
6月:6冊
7月:8冊
8月:7冊
9月:6冊
10月:8冊
11月:8冊
12月:5冊

新年度、読書に費やす時間が足りなかった。それは仕事のせいだ。こどもの数は増えたのに、神奈川県教育委員会は単独採用教員を減らしたので、支援学級の教員数が減った。そのため、わたしは小説を読むよりも、保護者の連絡帳やこどもの基礎資料とにらめっこの日々を送っていたのだ。

79冊の小説の著者内訳。
佐伯泰英:46冊。ほとんど佐伯ワールドに浸っていた。
堂場瞬一:8冊。
大沢在昌・今野敏:4冊。
山本一力・誉田哲也:2冊。今野敏 和田竜・横山秀夫・村上春樹・貫井徳郎・中町信・長岡弘樹・辻村深月・田中慎弥・佐藤多佳子・佐々木譲・北林一光・川村元気・浅田次郎:1冊。

ついついこりだすとはまってしまうわが性格を現している。
しかし、これまでになく複数の作家の本を手にしたことにびっくり。無意識の世界で、自分の可能性を広げようとしていたのかもしれない。

ことしも「シリーズもの」を連読した。

夏目影二郎の狩りシリーズ。豪快な剣術家を主人公にした狩りシリーズは、佳境にはいっているのだが、2009年以降ストップしている。最新刊は14巻の奨金狩り。著者は佐伯泰英。

大安寺一松の秘剣シリーズ。中間から追い出され、箱根山中で独自に薩摩示現流を会得するという野生剣術家の一松。ちょい悪を主人公にすえて、絶倫の活躍を見せる。最新刊は5巻の流亡。2006年12月発行。著者は佐伯泰英。

金杉惣三郎の密命シリーズ。豊後相良藩を脱藩しながらも、藩主と強い絆で結ばれ、8代将軍吉宗の命を密かに実行する剣士。息子の清之助が成長し、26巻の晩節でついに完結した。著者は佐伯泰英。

坂崎磐音の江戸双紙シリーズ。豊後関前藩を脱藩しながら、老中田沼父子との暗闘を繰り返す天才剣士。作者のライフワークに近い大サーガになりつつある。最新刊は2013年12月発行の湯島ノ罠。なんと44巻目。2014年1月には45巻の発行が予定されている。著者は佐伯泰英。

北関東の汐灘市を舞台にした汐灘サーガシリーズ。堂場瞬一が新しい軸立てで書き始めている。ひとの物語ではなく、町の物語。文庫最新刊は2012年7月の夜の終焉。

倉島警部補が主人公のハードボイルドシリーズ。危険な仕事を冷静に実行するロシア人のヴィクトル、緊張すると下痢になるという親しげな部分ももつ。公安警察官を主人公にしたハードボイルド小説。文庫最新刊は2012年3月の凍土の密約。著者は今野敏。

北海道警シリーズ。北海道警察の面々がそろった「密約」。久しぶりに佐々木譲の渋い警察小説だった。

狩人シリーズ。警察の枠に入りきらない主人公が悪を追いながら、破滅的な結末へと向かうハードボイルド。文庫最新刊は2011年8月の黒の狩人。著者は大沢在昌。

ここからは、まったくのわたしの独善による、なーんもあてにならない「もう一度読みたい」「大きなお世話で、あなたにすすめたい」本の紹介。

ちなみにシリーズものにも秀逸作品は多い。
でも、それらを紹介すると、長ーいそれまでの物語まで説明する必要があるので、ここでは省く。

佐藤多佳子「一瞬の風になれ」
単行本全3巻というかなり長編の小説。
高校の陸上部が舞台。それも県立高校なので、あまり強くない。顧問の「みっちゃん」という教師の飄々とした態度が気持ちよかった。

横山秀夫「64(ロクヨン)」
刑事部と警務部の内部対立を主軸にした珠玉のストーリー。横山流の渋い筋立てにうなった。

山本一力「いかだ満月」
鼠小僧次郎吉が獄門台へさらされる。彼の妻とこどもは、身を隠しながら生きていく。庶民から絶大な人気を得ていた次郎吉。その生き様と、残された妻とこどもの成長を支える粋な江戸っ子たちのドラマに感動した。

浅田次郎「憑神」
風体の上がらない主人公。その主人公に不幸の神様がとりつき、どったんばったんの悲喜劇が起こる。幕末の江戸を舞台にした貧乏神・疫病神・死神勢ぞろいの物語。

2014年も、楽しい読書を続けたい。

Copyright©2014 Y.Sasaki All rights reserved


アクセスカウンター