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横山秀夫
hideo yokoyama

64(ロクヨン)
D県警広報室の三上広報官は、管内で発生した主婦による交通事故を上層部が匿名で公表させようとしたことで、記者クラブからつるし上げを食っていた。三上自身も上層部がなぜ匿名にこだわるのかがわからない。探りを入れると、主婦は県内の大手ゼネコンの社長令嬢だった。同じ時期、警察庁長官がD県警を視察するという情報が入る。警務部長は三上に昭和64年に発生し、未解決の少女誘拐殺人事件の被害者である雨宮宅を訪問する予定を組むように命令した。自身も事件捜査にかかわった三上は雨宮を訪ねるが拒否される。その経緯から、雨宮は警察に対して何らかの疑心や怒りを抱いていることに気づいた。独自に調べていくうちに「幸田メモ」の存在に気づく。事件発生当時、雨宮宅で犯人からの電話を受けたにもかかわらず、その録音に失敗したミスを刑事部は14年間も隠し続けていたのだ。それを上層部に具申した幸田刑事は警察を辞めさせられた。当時、ミスに気づいていた刑事たちはその後すべてを隠蔽した。記者クラブは匿名の件が解決されない限り、長官への取材は拒否すると総会で決めた。キャリアの警務部長は、三上に長官の視察は未解決事件捜査のために刑事部長を中央から派遣することを公表する機会だと伝える。長年、地元採用の警察官たちのトップとして君臨してきた刑事部長ポストを中央にもっていかれる。刑事部たちの猛反発が始まっていく。広報の前は刑事部にいた三上は、刑事部と警務部との間で、双方からスパイ呼ばわりをされていく。自身も娘が行方不明になって妻と苦しむ三上は、広報官としての役割を部下たちに支えられて再認識していく。そんなとき、ふたたび昭和64年の事件を模倣したような誘拐事件が発生した。 (2013.3.13) 横山秀夫 文芸春秋 2012年10月 1900円

影踏み
真壁修一と啓二は双子だ。啓二は、窃盗をはたらき、将来を悲観した母親が家に火を放ち心中した。修一も、窃盗のプロだ。成仏できない啓二をこころに秘めながら、ふたりで仕事をはたらく。修一は、夜間にひとの寝静まった家に忍び込む「ノビ」と呼ばれる窃盗のプロだ。修一の仕事を中心にして、警察とやくざ、修一と恋人の久子との物語が進行する。消息・刻印・抱擁・業火・使徒・遺言・行方。7つの短編が織り成す物語だが、それぞれに基軸となる糸が複数通っている。文字や言葉の使い方が洗練されていて、さすが横山秀夫と感嘆した。(2010.2.22) 横山秀夫 祥伝社文庫 2007年2月 638円

D県警の鑑識課に似顔絵作成の警察官として勤務する平野瑞穂はある事件がきっかけで閑職へと追いやられていたが、どこで勤めようと「婦警」としての職務をまっとうしようと奮闘する…。5作からなる短編集。意に沿わない配置転換で、ともすれば「腐り」そうになるところを懸命に踏みとどまり、婦警としてのプライドを捨てずに無器用ながらも職務を遂行しようとする瑞穂がいじらしく、また頼もしい。(2008.11.20) 横山秀夫 徳間書店 2005年4月 620円

陰の季節
D県警で人事を担当する二渡は天下り期限が迫ったOBが辞職しようとしないことに疑問を覚え、調査を始めるが、まもなくある未解決事件が浮かんできて…表題作の「陰の季節」他、4編からなるD県警シリーズ短編集。尚、「顔−FACE−」のヒロイン、平野瑞穂が閑職へ追いやられた原因となった「身内のもめごと」がこの本に収録されている「黒い線」。「顔−FACE−」を読もうと思っている人はこちらから先に読んだほうがいい。 (2008.11.20) 横山秀夫 文芸春秋 2001年10月 470円

第三の時効
F県警捜査第一課強行班。まさに捜査のプロ中のプロ。その中でも1-3班の各班の班長は強烈な個性と矜持の持ち主だ。…殺人事件の時効は事件発生から15年。しかし容疑者が事件後7日間海外に滞在していたため、時効が延長されている。その7日目の「第二時効」が切れた瞬間「第三の時効」により、犯人が捕らえられた。強行班二班、班長・楠見が仕組んだ「第三の時効」とは?…表題作「第三の時効」含め6作の短編集。(2008.11.20) 横山秀夫 集英社 2006年3月 660円

看守眼
殺人事件の容疑者として逮捕された男。拘置所で長年多くの容疑者を観察してきた看守だからこそ見抜けるひとのこころの奥底を、絶妙なタッチで描いたミステリー。短編作品集。(2008.11.19) 横山秀夫 実業之日本社 2007年7月 860円

真相
犯人逮捕は事件の終わりではない。そこから始まるもうひとつのドラマがある。息子を殺された男が、犯人の自供によって知る息子の別の顔「真相」、選挙に出馬した男の、絶対に当選しなければならない理由「18番ホール」など、事件の奥に隠された個人対個人の物語を5編収録。人間の心理・心情を鋭く描いた傑作短編集。(2008.11.20) 横山秀夫 双葉社 2006年10月 630円

動機
4つの短編小説集。表題作『動機』は日本推理作家協会賞短編賞受賞。表題作『動機』。署内一括管理下に置かれていた警察手帳30冊が紛失。一括管理することを提唱した刑務課企画管理官、貝瀬警視が、警察という組織とそこに身を置く自らに疑問を抱きながらも孤独な捜査を始める…。警察の見えない影の部分をあぶりだした秀作。(2008.11.20) 横山秀夫 文芸春秋 2002年11月 570円

臨場
臨場―警察組織では、事件現場に臨み、初動捜査に当たることをいう。捜査一課調査官・倉石義男は死者からのメッセージを的確に掴み取る。誰もが自殺や病死と疑わない案件を殺人と見破り、また、殺人の見立てを「事件性なし」と覆してきた。人呼んで『終身検死官』―。組織に与せず、己の道を貫く男の生き様を、ストイックに描いた傑作警察小説集。全八編。(2008.11.20) 横山秀夫 光文社 2007年9月 620円

深追い
不慮の死を遂げた夫のポケットベルへ、ひたすらメッセージを送信し続ける女。交通課事故係の秋葉は妖しい匂いに惑い、職務を逸脱してゆく(表題作)。鑑識係、泥棒刑事、少年係、会計課長…。三ツ鐘署に勤務する七人の男たちが遭遇した、人生でたった一度の事件。その日、彼らの眼に映る風景は確かに色を変えた。骨太な人間ドラマと美しい謎が胸を揺さぶる、不朽の警察小説集―。(2008.11.20) 横山秀夫 新潮社 2007年5月 580円

震度0
阪神淡路大震災のあった日に、ある地方警察署の幹部が行方不明になった。警察署の幹部たちが行方を捜すが、まったく足取りさえつかめない。事態を公表すべきか否か。警察の不祥事として世間から叩かれることを避けたい幹部たちの思いが交錯する。組織に忠実に生きてきた男のは、最期の瞬間まで組織によって拘束され続けるのか。(2008.11.19) 横山秀夫 朝日新聞出版 2008年4月 840円

半落ち
妻を殺した警察官が自首をした。罪を認め、罰に服す覚悟で自首をした。「いっそのこと、自殺をしてくれたほうがましだ」と、警察内部の人間は身内の不祥事に冷酷な態度を取る。妻を殺してから自首するまでの空白の時間を、彼は決して明かさない。その空白の時間に、自殺を選択せず、生きて罪を償おうとする理由が秘められていた。(2008.11.19) 横山秀夫 講談社 2005年9月 620円

ルパンの消息
殺人事件の時効が成立する15年。その時効成立直前になって、かつての事件が現実味を帯びる。15年前に高校の女教師が殺された事件をめぐる生徒と学校との隠された事実が暴かれる。横山さんのまぼろしの処女作。 (2008.11.16) 横山秀夫/著 光文社 2005年5月 920円

クライマーズ・ハイ
日航ジャンボ機が群馬県山中に墜落した事件。当時の群馬県の地方新聞社を舞台にした不可解なカメラマンの死を基軸にした人間物語。作家になる以前、著者が新聞記者だった経験がこの作品作りに多いに生かされている。(2008.11.19) 横山秀夫 文芸春秋 2006年6月 660円

出口のない海
「半落ち」「クライマーズ・ハイ」など多数のミステリーを手がける作者が、過去の事実を題材にした小説。人間魚雷「回天」の搭乗員として、若き学徒たちが訓練を積み、自分はなぜ生きるのかを問いかけながら大海原に旅立っていく。戦争を首肯するひとたちに、ぜひ読んでいただき、物事の平和的解決こそ人類の英知だと感じてほしい。(2008.11.15) 横山秀夫 講談社 2006年7月 620円

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