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佐伯泰英 |
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蘇れ、吉原 吉原裏同心(40) |
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晩節遍路 吉原裏同心(39) |
(2023.6.13)光文社740円2023年3月 |
一人二役 吉原裏同心(38) |
(2022.12.12)光文社740円2022年10月 |
吉原裏同心(37) |
(2022.5.17)光文社720円2022年3月 |
陰の人 吉原裏同心(36) |
(2021.12.19)光文社 2021年10月 700円 |
祇園会(4) |
吉原では妓楼の遣り手が次々と仕事を辞めて行った。その中心的な人物が忘れていった荷物の中に、長い時間をかけて吉原の詳細を外部に知らせるために記録した書き置きが残されていた。会所の七代目、四郎兵衛は遣り手の背後にいる大物の探索中に姿を消した。そして数ヶ月後に吉原の大門に骸となって発見された。祇園会を狙った破壊行動が禁裡と薩摩藩によって進められていた。幹次郎はそれを防ぐために奮闘していた (2021.4.28)光文社 2021年3月 680円 |
乱癒えず(3) |
吉原では古くからの妓楼が佐渡の何者かによって潰された。一味は主たち一家を品川へ追い出し、自殺に見せかけて始末した。澄乃は会所の四郎兵衛に頼まれ佐吉とともに真相の追及をしていた。妓楼の情報を盗み出した色事師の隠れ家を見つけたが、踏み込んだ時にはすでに死体になっていた。京都の幹次郎は祇園祭が近づき、旦那衆から3人目の犠牲者が出るのを防ぐため、これまでの2人を殺した薩摩藩と宮中の手先を始末した。京都所司代の入江同心とともに火事で焼失した鉾の地下蔵に忍び込む。そこは阿片窟となっていた (2021.4.23)光文社 2020年10月 680円 |
赤い雨(2) |
京都で修業を始めた幹次郎と麻。麻は茶屋の女将のもと、祇園の仕事を覚え始めた。 幹次郎は祇園祭のたびに旦那衆が殺される事件が2年続いたことを教えられ、3年目になることし、それを防ぐ役目を任された。 吉原では古くからの妓楼、俵屋が突然廃業した。会所に何も届けないまま主夫婦が夜逃げ同然で消えた。残された女郎や番頭らは店を買い取った謎の存在のもと、新しい店の開店へ向けて商いの方法を叩き込まれていた (2020.9.14) 光文社 2020年3月 726円 |
まよい道(1) |
吉原会所の八代目を頼まれ、それを受諾した幹次郎は麻とともに東海道を上り京の都に到着した。七代目の紹介で旅籠のたかせがわを訪ねた。宿の主人のはからいで、二人は一年間の修行先を決めた (2020.9.9) 光文社 2019年10月 704円 |
夢を釣る(5) |
読了 (2019.12.5) 光文社 2018年10月 600円 |
木枯らしの(4) |
寛政の改革で吉原が危機に襲われた。 (2019.12.5) 光文社 2018年10月 600円 |
秋霖やまず(3) |
柘榴の家に加門麻のためのうすずみ庵が完成した。 (2019.11.25) 光文社 2018年3月 600円 |
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読了 (2018.1.13) 光文社 2017年10月 600円 |
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当代きっての頂点を極めた薄墨太夫の身元引受人になった神守幹二郎と妻の汀女。3人の生活が始まっていた。加門麻に戻った太夫は、自分が幼い時に母と訪れた鎌倉をもう一度訪ねたいと思っていた。自分が武家の娘から吉原へ売られた背景に、鎌倉行きがあったのではないかと考えていた。会所の許しを得た幹二郎は3人で鎌倉を目指した。戸塚から鎌倉へ向かわず藤沢を目指した幹二郎は汀女と麻を江ノ島へと導いた。かつて大火で吉原を抜け出した男女を仙右衛門とともに追い求めた幹二郎が世話になった宿に世話になった。 (2017.11.19) 光文社 2017年3月 620円 |
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吉原会所に嶋村澄乃という女性が訪れた。会所親方の四郎兵衛が澄乃の父親とかつて昵懇だったとか。父母が亡くなったのちに、澄乃は四郎兵衛を頼るようにと言われていた。そして、会所で女裏同心として働きたいと申し出た。仙右衛門は訝しがるが、四郎兵衛は抜け身を狙う遊女らの心情は女でないと見抜けないかもしれないと判断し、幹次郎に澄乃を預けた。幹次郎は三浦屋の薄墨太夫から、自分を見受けしてくれる約束をした札差の伊勢亀半右衛門が最近まったく登楼しないことを相談された。太夫の文を預かった幹次郎は伊勢亀で主人から隠居は病で伏していると告げられた。江戸の町を離れた別宅で静かに養生していた半右衛門を訪ねた幹次郎は太夫の文を届けた。反対に隠居から文を託された幹次郎は、一つを三浦屋の主へ、一つを太夫へと渡した。文には、三浦屋の言い値で伊勢亀が太夫を見受けすると宣言されていた。死期を悟った半右衛門は、幹次郎の手を借りて、最期の花見を家族らと過ごした翌朝に幸せそうに旅立った。太夫は会所の計らいで、幹次郎と汀女が住む柘榴の家に移り住むことになった。 (2017.5.30) 光文社 2016年10月 600円 |
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吉原の五木楼で寝小便癖のために自ら切見世に落ちた女郎、おこう。地回りと呼ばれる吉原を見物するだけの大工、葉三郎と深い仲になった。切見世に落ちてからのおこうは、寝小便をすることはなくなった。そんなある日、おこうの元を訪ねた葉三郎がいつまでも出てこないことを心配したほかの地回りがおこうの切見世の戸を開く。すると鴨居から首をくくった葉三郎が見つかった。おこうの服を着ていたので、最初はおこうが自殺したのかと思われたが、調べてみると、葉三郎は殺されてから衣服をおこうと交換させられていたことがわかった。おこうは髪を切り、葉三郎の服を着て、大門から逃げ出した。そこにはおこうを手助けした別の男がかかわっていた。幹次郎は会所で探索の方針を練り、おこうの生まれ故郷である川越を訪ねることにした。葉三郎の長屋では、溜め込んだ100両もの金も無くなっていた。町方の桑原同心と幹次郎による川越探索が始まった。 (2016.5.5) 光文社 2016年3月 600円 |
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幹次郎のもとに豊後岡藩の江戸留守居役が訪れて復命を許すと宣言していく。本人になんの相談もなく、勝手に復命と言われても困り果てる幹次郎だが、即座に申し入れを断る。そんなとき、吉原の稲荷でお縫という女性が首を絞められて傷つけられる事件が発生した。お縫は、吉原にある島原屋という呉服屋の番頭の娘だった。父親の病気快癒を願っているところを襲われた。幹次郎と仙兵衛は、発見した妓楼の遣り手から話を聞くうちに、辻褄が合わないことに気づき、犯人が遣り手の息子だったことを探り当てた。この息子が立ち寄っている賭場を襲撃して一網打尽にする作戦が、定廻り同心の桑平らとの間で立てられた。するとそこにはかねてから、吉原の紋日を減らすことに反対していた相模屋の主も通い、借金だらけになっていたことが判明した。 (2015.12.15) 光文社 2015年10月 600円 |
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吉原のなかで按摩の孫市が殺された。両刃の刀で背中から心臓を刺し抜かれていた。現場に駆けつけた幹次郎は孫市のからだからわずかに鬢づけ油の香りを感じた。犯人は吉原の客なのか、それともなかで働く者なのか。会所の仙兵衛とともに探索が始まる。孫市は按摩で稼いだ金を貯めて女郎相手に金貸しをしていた。しかし、大きな利ざやを稼ぐ方法ではなく、金に困った女郎に積極的に貸し与えるものだった。そうやって少しずつ貯めた金を犯人は狙っていた。孫市の懐には偽物の小判があった。そうやって周囲を牽制していた孫市が、本当に稼いだ金は、吉原の外で駄菓子屋を営むために使われていた。こどもたちが喜ぶものを安価で提供する駄菓子屋を母親代わりの老女と営むことを夢に見ていた。その夢を壊した犯人を、幹次郎たちが追い詰めていく。 (2015.5.8) 光文社 2015年4月 600円 |
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吉原を乗っ取ろうとする大きな影。お城からの圧力が町奉行にまで影響を与えていた。誘拐され大けがを負った四郎兵衛は相庵のもとで療養を重ね、偽の四郎兵衛を会所に戻し、幹次郎と密かに旅に出た。それはかつて吉原が明暦の大火以前の場所から現在の浅草に移転したときに交わされた遺文を求める旅だった。江戸湾から相模湾へ向けて押送船に乗って夜中のうちに鎌倉までたどり着いた四郎兵衛と幹次郎は建長寺を訪ねた。そこには吉原開設のきっかけを作った庄司一族の墓があり、同時に遺文が託されていると四郎兵衛は考えたからだ。管長は、四郎兵衛の話を聴き、実際に遺文が建長寺に託されていることを教えた。本物の遺文を見た四郎兵衛は、お城の影が遺文を手にして吉原を乗っ取ろうとしていることを幹次郎に伝えた。幹次郎は追っ手を鎌倉に誘い出し、そこで一気に事の決着をつけるべく奔走する。「未決」「髪結」から続く一連の物語が完結する。 (2014.9.2) 光文社 2014年6月 600円 |
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吉原で髪結いをするおりょうが幹次郎に相談した。いもうとのおきちが最近、不気味な男に付きまとわれているという。おきちは髪結いの師匠のもとで修行を積んでいた。そこに客としてきた男がおきちにまとわりつくらしい。師匠のもとを訪ねた幹次郎は、おきちとともに不審な男の洗い出しを行おうとした。そんなとき、髪結い道具の剃刀が紛失した。おきちはその男が持って行ったに違いないと言い張る。おきちとともに界隈を散策した幹次郎は、たまたまおきちを付けねらう男を見つけ出し、事情を聴き出す。そのときに盗んでいた剃刀を奪還する。男は「惚れてはいけないのか」と開き直るが、幹次郎の直感はだれかに頼まれての仕業と告げていた。会所の若い衆に男の周辺を探らせると、おきちが見てはいけないものを見たと勘違いした船宿の主が、口封じを計画していたことをつかむ。なぜ主はおきちを亡き者にしようとしたのか。その理由を探るために南町奉行の定廻り同心の桑平に助力を頼む。 (2014.8.27) 光文社 2014年4月 600円 |
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吉原で花魁と客が心中を図った。会所の仙右衛門と幹次郎は死体の様子から、心中に見せかけた殺しであると察した。頭取の四郎兵衛に相談し、探索に乗り出したとき、城内の大きな力が探索の中止圧力をかけてきた。殺された花魁は、深川で店に出ていた女とすり替わっていたのだ。だれが女のすり替わりを画策し、だれが手助けをしたのか。関係した者たちに近づくにつれ、その者たちが次々と殺されていく。これ以上の探索はお城とのかかわりにまで及ぶと気づいた会所は、不承不承、未決事案として探索をあきらめた。そんなとき、花魁の見習いをしていたかむろたちが6人も不明になった。伊勢参りが流行していた。かむろたちも伊勢参りに出かけたのではないかと言われたが、会所の探索で幼女趣味の大身旗本に誘拐されていたことが判明した。 (2014.8.23) 光文社 2013年10月600円 |
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1790年(寛政2年)の初夏。松平定信の進める改革は、多くの山村を疲弊させていた。そのため多くの浮浪者が江戸に集まり、狼藉を働いた。幕府は、江戸に集まる浮浪者が犯罪にはしる前に石川島人足寄場を作って、手に職を覚えさせようとした。そんな無宿者のなかに、上州で強盗を働いた二人の男が混ざっていた。幹次郎は偶然にも、その二人が質商の小川屋を襲い、住民一家皆殺しを実行した直後に出会っていた。まさか二人が極悪人と気づかなかった幹次郎は、その場をやり過ごすが、二人から発せられていた殺気に何かを感じてはいた。そのとき、二人を問い詰めておけばよかったという悔いが、幹次郎のこころを埋めていく。同じ頃、吉原の松の位の薄墨太夫を見張る眼があった。幹次郎も同じ眼を感じていた。太夫にだれかに恨みをもたれることはなかったと問う幹次郎。しかし、太夫には心当たりがないという。江戸に流れ着く無宿者が、吉原にも刃を向けようとしているのか。 (2013.4.20) 光文社 2013年3月 590円 |
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吉原に春が来た。桜の季節に多くの客を呼び込むために吉原では新しい企画に頭を痛めていた。そんなとき三浦屋の女郎が病に倒れて御寮に運ばれた。花邨はもともとあまり自分が吉原に向いていないと嘆いていた。しかし、出羽亀田藩の家臣だった父が博打で作った借金を返せずに苦界に身を落としたので、年季が明けるまでは吉原の外に出ることは許されなかった。医師の柴田が病の原因に疑問をはさんだことを知った幹次郎は、もしかすると花邨はわざと病になっているのではないかと推測した。番方の仙兵衛は「醤油を飲んでからだを悪くする」方法は昔からあったと教えてくれた。薄墨太夫の協力を得て、幹次郎は花邨がわざと食事のたびに醤油を飲んでいた事実をつかんだ。その花邨が御寮から姿を消した。足抜だ。亀田家中を探索し、花邨と同郷の宗田という若侍がつながっていることが判明した。同じ頃、江戸の町に走る浪人、角間鶴千代が登場した。一間を走り、自分が勝ったら二分をもらい、相手が勝ったら一両を渡すという競走だった。多くの健脚が勝負を挑むが、すべて鶴千代に負けた。会所の頭取、四郎兵衛は桜の吉原で走り競走をイベントにできないかと思案していた。 (2012.12.15) 光文社 2012年10月 590円 |
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新年を迎えた吉原で若者たちが徒党を組んで客や遊女から掏り働く事件が続いた。会所の取締りによって、摺りには内藤新宿で旅籠を構える武州屋がからんでいることを幹次郎たちはつかんだ。仙右衛門と幹次郎は武州屋に乗り込み、悪党たちを一網打尽にこらしめた。事件の解決を見て、仙右衛門は夫婦になったばかりのお芳とともに、下野の国へ墓参に旅立った。松の内、吉原で松江藩のお家騒動にからむ仇討騒ぎが起こっていた。 (2012.12.8) 光文社 2012年3月 590円 |
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寛政元年11月。少しずつ吉原に大晦日が近づいていた。会所の番方である仙右衛門と診療所の手伝いのお芳の祝言が近づいていた。そんなとき、三浦屋の花魁である薄墨太夫の前に、夜嵐の参次が顔を出した。自分を裏切って、吉原に行ったために、自分は惨めな生活を余儀なくなれた。この仮は必ず返すと、意味不明の理屈をこねた。薄墨太夫が吉原に身売りする前の話だった。しかし、実際は参次の思い違いで、妄想に過ぎなかった。そんな折、薄墨太夫の禿(かむろ)である小花が誘拐された。探索にあたった幹次郎と仙右衛門は、三日にあけず薄墨太夫に通い詰める畳問屋の備後屋当代の唐左衛門にたどり着く。店の金を懐に入れて博打と吉原で使い果たしていたのだ。小花の身代金で借金を返済しようとした企みは、奉行所と会所の連携によって壊滅した。そんなとき、夜嵐の参次の内定をしていた身代わりの左吉が行方不明になった。ふたたび探索を続けた幹次郎と仙右衛門は、長崎と江戸で吉原を乗っ取ろうとする計画が動いていたことを知る。いち早くそれを知った左吉が、会所に連絡しようとしたとき、相手方に捕縛されたのだ。幹次郎たちは深川沖の長崎船に忍び込み、一統を壊滅させた。その場で、夜嵐の参次は幹次郎の手に落ちた。 (2012.12.2) 光文社 2011年10月 590円 |
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札差の筆頭を決める入れ札が近づいていた。伊勢亀から相談を受けた吉原会所は、反体制派の香取屋の背後に田沼意次の亡霊がいることをつかんだ。吉原会所の四郎兵衛はひそかに老中松平定信に会って、札差の窮状を訴えた。それにより田沼意次の命日に一揆を起こそうとしていた香取屋の企ては失敗に終わる。長雨の続く吉原に客が来ない。会所は験直しに祭を企画した。その最中に白川という年増女郎が殺された。幹次郎は仙兵衛たちとともに白川の周辺を探っていく。するとそこには稲荷神社にからむ母子の姿が浮かんできた。 (2012.11.23) 光文社 2011年3月 571円 |
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御家人たちが幕府から俸禄米を受け取る。それを換金する札差しという職業が江戸では経済界の大きな役割を担っていた。江戸では米を手にするよりも換金したほうが、生活しやすかったからだ。また、俸禄米は受け取りが決まっていたので、貧乏な御家人は借金の担保として、札差しに米を与え、当座の資金を調達した。札差しはたとえ貸し金が回収できなくても、確実に米が手に入るので、それを流通させて莫大な富を得た。その札差しの筆頭行司である伊勢亀が吉原の松の太夫である薄墨に川遊びを願った。その川遊びに幹次郎夫婦を同伴することも願った。これまで正客として川遊びをしたことのない幹次郎夫婦は迷う。会所の四郎兵衛に相談すると、快く「いきなされ」と送り出してくれた。しかし、その話がどこかから漏れて、幹次郎と汀女は、次の札差筆頭を狙う香取屋から脅しを受ける。伊勢亀は札差しの多くが、香取屋の阿漕な方法で次々と香取屋の傘下に落ちていることを危惧していた。香取屋は潤沢な小判を使って、次々と伊勢亀派の札差したちを買収していたのだ。香取屋の後ろ盾として権勢を振るう者がいることに幹次郎たちは気づく。それは亡くなったはずの田沼意次かもしれなかったのだ。 (2012.11.18) 光文社 2010年10月 571円 |
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大炎上から500日を数えて、ついに吉原が仮宅からもとの場所に戻る。その日が近づいていた。そんな新築家屋が並ぶ吉原に遍路姿の二人があった。爺と孫娘。ふたりは在所から地蔵をかついで江戸まで出てきた。そして新しい吉原の辻に地蔵を備えた。幹次郎たちは爺を会所に連れて行き事情を聞いた。先般の火事で亡くなった女郎の供養に地蔵を備えたという。その女郎の妹である孫娘をふたたび吉原で面倒を見てほしいという。そうしないと在所では来年の種籾も買えない状態だという。女郎の名前は小紫。会所は爺の願いを聞き入れ、孫娘を25両で買い入れた。しかし爺をつけた会所の若い衆の報告で、爺は為替屋で25両を相模の藤沢に送る手配を整えていた。もしかしたら小紫は生きていて、大火事のなか足抜けをしたのではないかという疑惑が持ち上がる。幹次郎たちは小紫の身代わりとして火事で亡くなった女はだれなのかという探索から始めた。 (2012.11.17) 光文社 2010年3月 571円 |
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仮宅での営業が長引く吉原で、幹次郎は京都の西陣織を吉原の花魁に着させようとする仕立屋と出会う。その仕立屋は京都でふたりの兄を殺して西陣織の店を継いだが、客がつかなくなり桐生で再起をはかり吉原に乗り込んできたのだ。そこに対馬藩の朝鮮御用係の御門玉蘭という女性剣士が加わり、吉原で客の御家人と花魁が殺された。幹次郎は江戸市中にひそかに作られていた対馬藩の異館に忍び込み、決死の戦いを挑む。 (2012.11.8) 光文社 2009年3月 571円 |
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吉原が炎上し、妓楼は周辺での仮宅営業を余儀なくされていた。その仮宅をねらって、次々と沽券を買いあさる事件が頻発した。茶屋をはじめとして、ついには妓楼まで買収の手が伸びていた。会所の面々は幹次郎を中心に探索を開始した。すると、大老井伊につながる人脈が、裏で手を引いていることが発覚した。それは京の島原が吉原を乗っ取ろうとする遠大な計画を意味していたのだ。引き手茶屋の相模屋主夫妻が娘たちと行方をくらました。すでに沽券は何者かに売り渡されていた。数日後、主夫妻は刺し殺されて発見される。沽券を売り渡し、懐に入ったお金はなくなっていた。事件の首謀者を尾って、幹次郎たちは真鶴の岩村に向かう。 (2012.10.27) 光文社 2008年10月 571円 |
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田沼派一派によって焼き討ちされた吉原。妓楼や引き手茶屋は浅草や本所周辺に分散した。吉原会所は船宿を拠点にしていた。火事によって行方知れずだった女郎たちが次々と元の妓楼に戻る。しかし、いつまでも戻らない花蕾という花魁がいた。もしや火事を使っての足抜けかと疑われたが、幹次郎と仙右衛門らの探索によって、誘拐された可能性が高くなった。その後も、女郎たちが次々と姿を消す事件が起こった。ついに、大川に花蕾の死体が浮かぶ。花蕾は自ら舌を切って自刃していた。女郎たちを誘拐する者たちのねらいは何か。幹次郎たちの探索が直参旗本に迫っていく。お咎めを受けて将軍へのお目見えがかなわない直参旗本のなかに、遊女を吉原から上方へ売って荒稼ぎをしようとする用人をあぶりだす。 (2012.10.20) 光文社 2008年3月 571円 |
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前の老中田沼意次が失脚したが、幕府中枢にはまだ田沼時代に賄賂のうまみを知った幹部が多数残っていた。この者たちが陰で松平定信の失脚を画策し、次々と幹次郎や吉原に攻撃を仕掛け来た。そのなかに3人の剣客と2匹の猿がいた。猿は殺人芸を仕込まれて、幹次郎は危うく命を落としそうになった。そんな折り、裏見世の女郎が猿に殺された。田沼たちから吉原への宣戦布告だった。幹次郎と四郎兵衛たちは酉の市の日に、連中が吉原を中心にした江戸騒乱を画策すると呼んだ。しかし、騒乱は酉の市前日に起こった。とても風が強かったその日、夜半から放火が行われた。これにより、吉原は炎上し、妓楼も茶屋も燃やし尽くされた。火事のなか、幹次郎は騒乱の実行犯である3人と猿を見つけて、始末する。 (2012.10.9) 光文社 2007年3月 571円 |
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吉原名物の玉菊灯篭の職人である秀次が殺された。秀次は灯篭職人としては腕が確かだったが、自分が強姦した女性との場面を詳細な枕絵として残していた。彼を恨む女性は吉原周辺に多くいた。職人殺害の実行犯はだれか、それを操っていたのはだれか、会所の命を受けて幹次郎は探索する。やがて、引き手茶屋の主が捜査線上に浮かぶ。田沼意次が失脚し、白河から松平定信が入城した。筆頭老中として幕府の建て直しを期待されていた。その定信から密命を受けた会所は、仙右衛門、宗吉、幹次郎、汀女を白河へ使わせる。そこには、定信の側室であるお香の方が身ごもっていた。 (2012.10.2) 光文社 2006年7月 600円 |
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新角楼の遣手(やりて)のおしまが何者かに殺された。会所の探索で、幹次郎はおしまの息子と振袖新造を下手人と突き止めた。おしまは、故郷を出てから吉原で血のにじむような勤めを果たし、多くの金子を残していた。いずれ自分の息子に殺されることを自覚していたかのように、同じように吉原で勤めを果たす女郎に書状を残した。そこには自分が溜めた金子の使い道が記されていた。そのなかに故郷、信州姥捨村の家族へ渡してほしいという金子が含まれていた。新角楼の主、助佐衛門と四郎兵衛とともに幹次郎は信濃路への旅に出た。(2012.9.25) 光文社 2005年9月 600円 |
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吉原では、桜が開花することを「初桜」もしくは「初花」と呼ぶ。物語は初花の時期から葉桜に移る時期の出来事をつづる。遊女との床入り中に寝小便をかけられたと因縁をつける「いばり組」。その因縁を苦にして遊女は首を吊る。会所のメンバーと幹次郎は真相を究明し、因縁をつけながら妓楼から金を脅し取る一味を抹殺した。遊女が門外のひいき筋に出す手紙を届ける仕事を中心にした「天紅の文」。口紅が封がわりについている。その口紅に鳥兜が塗ってあり、手紙を受け取った男衆が殺された。ほかに「初桜」「桜心中」「葉桜千住宿」を収録。また、豊後岡藩の中間で幹次郎の幼馴染の甚吉が藩を解雇された。幹次郎は会所の四郎兵衛らの協力により、自分の住む長屋に近いところに甚吉の住まいを用意することができた。新しく「身代わりの佐吉」が登場。幹次郎と交友を深めながら、問題が生じたときに協力的な態度を貫く。(2012.9.22) 光文社 2005年1月 600円 |
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昼と夜の営業時間に吉原の町に三味線の調べが響く。唄のない音色だけの三味線の調べを清掻(すげがき)と呼んだ。おまんは器量が悪く、客がつかない遊女だったが、清掻を弾かせたら天下一品の腕の持ち主だった。そんなおまんを見込んで落籍させようとした男がいた。「器量なんてあとからでもなんとでもなる。あの調べを聴けたらそれだけでいい」と三味線の腕に惚れられたのだ。そんな折、北町奉行を18年も勤めた曲淵が辞職することになった。辞職にともなって500両もの慰労金を吉原に求めてきた。また奉行の交代によって面番所に本来の機能に戻して、会所の追い出しが強行された。吉原の利益を奉行所が独占しようとする画策がなされていたのだ。四郎兵衛たちは大門の外にひそかに会所を置き、吉原復活の作戦を開始した。(2012.9.14) 光文社 2004年7月 590円 |
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吉原には妓楼に芸者を派遣する見番(けんばん)という店があった。もともとは芸事はばらばらの店から妓楼に派遣していたが、遊女の足抜けを警戒するために、専門の店を作った。その店の主「大黒屋」は、ひそかに吉原全体を乗っ取る計画を立てていた。遊女を頂点に、いつまでも芸者が底辺という扱いに不満を抱いていたのだ。やくざ者や剣術家を雇い、吉原会所のメンバーを暗殺して戦いを挑んでゆく。その背景には10代将軍家治の逝去が関係していた。将軍の逝去とともに老中田沼意次が蟄居を命じられた。田沼と密接な関係を築いてきた吉原は、次の権力者たちを敵に回さないように思慮する。そこに大黒屋が入り込んだ。幹次郎の妻、汀女まで誘拐される。(2012.9.8) 光文社 2004年1月 533円 |
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吉原から二人の遊女が失踪、さらに花魁(おいらん)道中の直前、当代きっての人気太夫(たゆう)が忽然と姿を消した。遊女三千人の頂点に立つ太夫を足抜(あしぬき)か。廓(くるわ)の用心棒・神守幹次郎は、探索中、遊女一人の所在を突き止める。だが黒幕の口封じに合い、遊女と家族は鏖殺(みなごろし)にされた。やがて失踪のからくりを解明した幹次郎は、私欲に溺れる悪党たちに迫るが……。 光文社 2003年9月 533円 |
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安永五年、豊後岡藩の馬廻役神守幹次郎は、納戸頭の妻汀女と逐電した。幼馴染みの二人は追っ手を避け、当てのない流浪の旅を続ける。やがて江戸に出た幹次郎は、吉原遊郭・四郎兵衛会所の名主に剣の腕を買われ、用心棒となった。ある日、彼は遊女が読んだ俳句から吉原炎上を企む無頼集団(ごろつき)を突き止める。その裏には、心中事件に纏わる悲劇が!?(2012.8.30) 光文社 2003年3月 533円 |