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ほぼ毎日更新の雑感「ウエイ」
佐伯泰英ページ

 

佐伯泰英
yasuhide saeki

照降町四季
4
一夜の夢

江戸の町を襲った大火。照降町では御神木の梅の木を守った鼻緒屋の佳乃と周五郎のために親店の宮田屋が店の普請を担った。吉原の梅花花魁の足元をしつらえた佳乃は梅花の見受けに一役買う。周五郎の旧藩小倉藩では重臣派と改革派の争いが熾烈を極め、ついに周五郎の兄が改革派に暗殺される事態にまで発展した。藩主の命により秘かに争いの仲裁と処分を周五郎が行い、小倉藩の危機が去った。焼け跡に再建した中村座の芝居で佳乃を題材にした物語が作られた。多くの観客を迎え、照降町界隈の賑わいが少しずつ戻る。兄の死を病死扱いにした周五郎は照降町の復興を見届けて鼻緒屋を後にする

2021.9.11)文春文庫20217月 750

照降町四季
3
梅花下駄

照降町の再建を進める手伝いを周五郎は任されていた。鼻緒屋の親店である宮田屋が新しい店の再建を真っ先に優先させてくれた。佳乃の鼻緒が多くの客をつかみ、宮田屋としては大事な職人として扱ってくれた。吉原の梅花花魁から佳乃は花魁道中の三枚葉下駄の制作を頼まれ渾身の作品を仕上げた。50両もの対価を受け取り、半分を宮田屋へ、残りを今後の生活に生かすことにした。藩を抜けて下駄の紙緒挿げを修行していた周五郎は次々と藩の内紛への加担を求められ困惑していた。佳乃が作った下駄を履いた梅花が花魁道中を照降町で行うことが実現し、ふたりはこれまで以上に結びつきを確かめた。そんな時、周五郎に兄の訃報が届く

2021.7.1)文春文庫 20216月 750

照降町四季
2
己丑の大火

神田佐久間町の材木問屋から出火した。折からの強風と乾いた土は炎を江戸の町に広げた。照降町の鼻緒屋にも火が近づく。周五郎と佳乃は両親を深川の菩提寺まで運び避難させた。その後、照降町に戻り、一晩中御神木の梅の大樹に水をかけ続けて火から守った。その行いに照降町の人々が共鳴し、多くの者が交代で水をかけ続けた。3年間も江戸を離れ、罪悪感を抱えたままだった佳乃は一気に照降町の人々に受け入れられた。寺に避難した弥兵衛は次第に力尽き、ついに息を引き取った

2021.6.5)文春文庫 20215月 750

照降町四季
1
初詣

江戸の照降町で鼻緒屋を営む弥兵衛。長く喘息で寝込んでいた。三年前に悪の三郎次と駆け落ちした佳乃が一人戻ってきた。惚れた時は気づかなかった三郎次の本性。酒と博打に生活費の全てを奪われ、やっと間違いに気づき一人で照降町に逃げてきたのだ。店では弥兵衛も母の八重も佳乃を温かく迎えて、病に伏す弥兵衛の代わりに鼻緒を挿す仕事を頼んだ。佳乃が不在の間に武家を致仕した八頭司周五郎という侍が挿す職人の弟子として働いていた

 (2021.4.21)文春文庫 20214 750