アクセスカウンター
関連するリンクページ
書籍紹介トップページ
サイトのトップページ
ほぼ毎日更新の雑感「ウエイ」
作家別目次ページ
矢月秀作
shusaku yaduki

ACT
告発者(2)
新薬の承認に関するデータ入力をしていた向井は、イチマル製薬から提出されたデータと実際の新薬のデータが異なることに気づいた。ジェネリック薬品の申請なのに、成分が元の薬と大きく入れ替わっていたのだ。それを確かめようとしたが、上司からそのままでいいと指示された。組織的な不正を感じた向井はデータを自分のUSBに盗み告発を試みた。しかし、データコピーに気づいた上司から試みを封じられそうになり、会社を飛び出して厚生労働省に秘かに告発した。警視庁の特別潜入捜査チームが参集され、田宮らはデータ会社とイチマルに潜入して、真相の解明を命じられた。 (2018.9.21) 講談社文庫 2017年1月 660円

D1
海上掃討作戦(2)
遠州灘。その漁業権をリゾート開発業者が買い取ろうとしていた。漁協の青年部は開発に反対する。すると開発業者は漁船を爆破して漁ができないようにした。全国で同様の事件が繰り返されていた。第三会議は、この事件の背後に大掛かりな買収と巨万の富に群がる権力者や金融関係者の存在を感じていた。警視庁暗殺部第一課に、それらの調査指令が入った。首藤らは開発業者、それに資金を提供していた金融会社、反対する自然保護団体にメンバーを潜入させて、真相の究明に入った。 (2015.2.11) 祥伝社文庫 2014年2月 650円

D1
警視庁暗殺部(1)
警視庁暗殺部。正式な裁判や司法手続きを経ていたのでは、人々への弊害が大きすぎると判断する第三会議。この会議で「クロ」と判断された犯罪者の処刑を執行する部署だ。メンバーはそれぞれの事情で社会からいったんははみ出さざるを得なかった者たちばかりだが、正義感が人一倍強いという共通点をもつ。リーダーのファルコンこと首藤は、執行人のサーベルこと神野とともに、国会議員の田畑と遺伝子研究の第一人者である新城の処刑を執行する。ふたりが進めていたプロジェクトは、ひとが多く集まるところで意図的にウイルスをばらまき、感染した者のなかに強い抗体をもつ者がいないかを探り、そこから強いワクチンを開発するというものだった。倫理的には大問題の方法だが、不特定多数を相手にするわけではないので、抗体をもつ者に出会う確率はとても高かった。その結果と、ワクチンの遺伝子配列、並びに検体そのものを商品として外国に売りさばこうとしていた。 (2015.7.17) 祥伝社文庫 2013年9月 686円

もぐら
凱 上下(7)
影野は沙由美と沖縄で暮らしていた。そんなときモールの古谷が殺された。相手はモールを知っていた。警視庁でも一部の者しか知らないモールの情報が外部に漏れていた。柿崎管理官と同期の新宿署捜査一課長の小山田が漏らしていた。小山田はタカ派の国会議員平岩の手下になって、自衛隊を国軍へ昇格させ、中国やロシアと戦争が可能な国家体制を作るために、中国側の武官と接触して国内に同時テロを計画していた。日本に難民として滞在した親から生まれた二世たちが成人を迎え、無国籍状態になっている問題を日本政府は放置してきた。そのため日本人として育ったにもかかわらず、就職も進学もできない若者たちが中国の武官によって「国籍を与える」という条件でモールに攻撃をしかけたのだ。小山田はそんな若者のひとりを使って同期の柿崎を殺した。しかし最終局面になって、小山田は中国側の武官を裏切り、武官は無国籍の若者たちを裏切っていく。影野は楢山とともに小山田を補足し、警視総監にすべてを告げる。政府は平岩たちの策略によって国家安全保障会議を秘密裏に立ち上げようとしていた。しかしそこに乗り込んだ警視総監らによって平岩たちの謀略が明るみにされ、暴徒と化したロシアマフィアと中国武官の鎮圧に自衛隊が派遣されていく。影野は楢山とともに連中が潜む伊豆の別荘へ侵入した。 (2015.3.22) 中公文庫 2013年10月 上下とも629円

もぐら
戒(6)
環境関係の新しいビジネスを手がける会社が、若い研究者の特許を密かに会社のものとして取得していた。研究者は自分が特許申請する前に会社のものになっていたことに気づき、抗議をするが、多くの場合、いつの間にか会社を辞めていた。そのなかのひとり、安里は自分の身に暴力の危険が迫ったとき、ホームレスのエノさんを頼った。エノさんは自分を楯にして安里を守り「もぐらを頼れ」とメッセージを残して殺された。野庭病院に世話になっていた竜司と沙由美は安里を助け、事情を聞く。しかし、ある夜、病院を訪ねた急患を、自分への追っ手と勘違いをして安里は病院から抜け出した。環境ビジネスの会社の乗り込んだ竜司は、そこで何人もの研究者が辞めていった事実を確認する。会社の相談を引き受けていた戸嶋という弁理士はやくざを使って沙由美を誘拐し、竜司に安里を探す脅しをかける。72時間以内に安里を見つけないと沙由美の体にまきつけた爆弾が爆発する仕組みになっていた。 (2015.3.10) 中公文庫 2013年2月 705円

もぐら
闘(5)
影島竜司は沙由美の看護のために慈星の里というリハビリテーション施設にいた。高校生の益尾もともに沙由美の看護にあたっていた。意識が戻らない沙由美の状態を医師の笹木は、全身の状態はリハビリによって好調だが、脳が目覚めようとしていないと語る。東京では無差別爆破事件が発生していた。白昼に多くのひとが集まるテラスで爆発が起こり、多くの死傷者を出していた。警視庁の垣崎管理官と楢山捜査官は爆発に関して専門の影野の応援を頼むかどうか迷っていた。これまでも何度も影野に助けられてきた。自分たちの職責にただして、それでいいのかという迷いがあったのだ。楢山は影野に、爆発に関する情報屋を垣崎に紹介してほしいと頼む。垣崎は影野の情報を頼りに単身で波留間という情報屋にたどりつく。自分も現場の捜査官と同じように生の情報をつかめた垣崎は、情報の信憑性を疑うことなく突き進んでいこうとする。そこに危険を感じた楢山はストップをかけるが垣崎の耳には聞こえていなかった。慈星の里では同じ入院患者の高校生、愛里が益尾の手助けによってリハビリを進めていた。ある日、ともに遊んでいた賢治という男の子が行方不明になった。責任を感じた愛里と益尾は、ふたりだけで施設内の研究所へと足を踏み込んでいった。 (2015.2.26) 中公文庫 2012年12月 781円

もぐら
醒(4)
竜司の事務所にストーカー被害に悩む小林という女性が相談に来た。ストーカーをおびき寄せ、現場に踏み込んだ竜司は益尾という若い男をつかまえた。益尾はネット上で、小林が自分をレイプして欲しいというメッセージを残していたので襲っただけだと主張する。竜司に説教をされた益尾は自分の愚かさに気づく。その後、小林は別の男に襲われて殺された。そして殺されたときの画像がネット上に公開された。益尾は竜司に捜査の協力を頼み込む。最初は反対した竜司だが、益尾の熱意に触れて協力を受け入れる。警視庁特別捜査班では、柿崎・楢山・古谷らが参集し、竜司とともにネットを使った殺人の教唆があると判断し、独自の捜査を始めていく。そんなとき何者かが竜司を襲う。そして竜司の事務所が爆破された。竜司とともに暮らしていた紗由美が意識不明の重体となる。爆弾を仕掛けた者や、レイプ殺人を実行した者は、みなネット上の情報をもとに現実の犯行を実行していた。楢山と竜司でそれらを追い詰めるが、ともに自殺してしまう。やがて、ある女性から自分の恋人が、レイプ事件にかかわっているのではないかと情報が寄せられた。桐生という大学生は、暴力に関する論文を執筆中で、その論文を書き上げて大学の准教授への道を歩いていくつもりだった。そのために、ネット上に情報をばらまき、悪意を利用した暴力の実験を手がけていた。 (2015.2.5) 中公文庫 2012年10月 705円

もぐら
乱(3)
副警視総監の瀬田の保護観察という名目で仮釈放のみになった影野は、トラブル解決の仕事を再開していた。事務所には沙由美が住み込んでいた。沙由美は福祉の資格を取りながら、いまは町医者で看護助手の仕事をしていた。瀬田は管理官になった柿崎と刑事の檜山とともに特別捜査チームの創設を明かした。凶悪な事件に対して、独断での捜査が認められた組織だった。そこに若い古谷を加えて4人で、新しい事件の解決を目指すことになった。それは電気量販店が襲われ、特定の品物が強奪される事件だった。特徴的だったのは、残虐な方法で従業員や警備員を殺害している点だった。事件を目撃した者を生かしておかないという悪意が感じられた。唯一の生き残りを警視庁の警備部がかくまっていたが、そこも襲われ、警察官と証人は皆殺しになった。新宿の夜を統括する中国系マフィアの存在にたどり着いた影野は、古谷とともに日本での中国マフィアのボスである魯のもとに乗り込んでいく。しかし、魯たちも今回の事件に関しては、困惑していた。盗んだ品物を売り抜けて成長してきた自分たちを出し抜く組織の存在を知りたがっていたのだ。それは三美神と呼ばれる魯たちの殺し専門部署の反逆から始まっていた。王龍、黄、揚、黎の4人は中国の貧しい農村で生まれ育ち、養護施設に保護されたが、そこで人間性を否定された仕打ちを受け続けた。施設を飛び出し、ストリートでギャングを繰り返し仲間を集めていくなかで、本物のマフィアを殺した。そして、魯に拾われ、日本での殺し専門家として育成された過去をもっていた。 (2015.1.22) 中公文庫 2012年8月 762円

もぐら
讐(2)
下関刑務所で入所生活をしている影野。そこに警視庁刑事局から捜査の依頼が入る。刑務所長の保谷は刑事局長の手前は協力の姿勢を示す。しかし、受刑者である影野の要求ははねつけていた。影野の報告をそのまま刑事局へ上げれば自分の失点になると判断していたのだ。東京で現職警察官が裸にされて手足を釘で打たれ殺された。そこにはカルト集団を想像させるメッセージと復讐宣言が残されていた。数日後、有馬という男が実行犯として自首してきた。有馬は下関刑務所に入所し、影野と同じ部屋になった。その有馬の動向とねらいを暴くことが捜査依頼だったのだ。早い段階から有馬が大きな組織の一員として、テロリズムを計画していることを悟った影野は、刑事局へ情報を流そうとするが、刑務所長の保谷が立ちはだかる。そして、テロリズムは実行された。渋谷では爆発事件が起こり、多くの民間人が犠牲になった。下関刑務所ではあらかじめ入所していた有馬の仲間たちによって刑務所じたいを破壊するという事件が起こった。その要求は警視総監への100億円の身代金の要求だった。 (2015.1.8) 中公文庫 2012年6月 667円

もぐら
(1)
警視庁捜査一課の掲示だった影野竜司は、潜入捜査の失敗によって、妻と娘を失った。命を奪った暴力団に単身で乗り込み、組長を殺害して殺人罪で7年の服役をした。出所後、トラブルシューターという仕事を始めた。依頼人の要求に応じる仕事だ。大学生の南から妹を暴力団から救出してほしいという依頼を受け、実行する。バーで暴力団に拉致されていた妹を力尽くで救出し、兄に引き渡す。その後、そのバーにいた者たちが全員殺されたことを竜司は知った。自分は殺人はしていない。自分が乗り込んだ後に何者かが侵入し、殺害を実行したのだ。同じ頃、渋谷で対立する暴力団と中国人勢力が互いに殺され合う事件が続いた。最初は抗争かと思われたが、両方の勢力を衝突させて消滅させようという動きがあるのではないかと、竜司は考えた。女子高校生がパーティーに参加した後に失踪する事件が続いた。その女子高校生の行方を追ううちに、ある大学の自己啓発セミナーが窓口になっていることを竜司はつかんだ。 (2014.12.24) 中公文庫 2012年4月 667円