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ほぼ毎日更新の雑感「ウエイ」
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上橋菜穂子
naoko uehashi

6蒼路の旅人
南のタルシュ帝国が周辺国家を次々と征服して北へと勢力範囲を広げようといていた。新ヨゴ王国ではサンガル王国からの救援の申し出に対して海軍を派遣することを決めた。王の決断に敢然として反対したチャグムは、反対に派遣軍と行動をともにすることになった。予想通り、サンガルからの救援の申し出は罠だった。祖父の海軍総督を失うという悲しみを乗り越え、チャグムは、タルシュ帝国までの人質としての船暮らしを満喫することになった。タルシュ帝国の残忍なラウル王子との接見で、新ヨゴ王国で新しい皇帝につけさせる見返りとして王と幼い王子を殺すように命じられた。 (2018.3.3) 新潮文庫 2010年8月 630円

5神の守り人・下・帰還編
ロタ王国の呪術師、スファル。娘のシハナは、父と違っていつの日か、ロタ王国を生まれ変わらせようとしていた。北部の貧しい氏族たちと南部の裕福な領主たちとの対立は、現在の王が亡くなった後に争いになるだろうと想像できていた。そんな時、シハナは奇跡的に自分に運が巡ってきたのではないかと感じた。かつて、ロタ王国を支配していたタルハマヤが再来する予兆が見え始めたからだ。だれの身体を通じてタルハマヤが再来するのかをシハナは調べ続けた。その結果、トリーシアの娘、アスラが神に選ばれし者だと確信し、アスラが幼かった時から密かに接触を試みていた。 (2018.2.17) 新潮文庫 2009年8月 590円

5神の守り人・上・来訪編
新ヨゴ王国と国境を接するロタ王国。シンタダンの牢城で囚人も警備の人間も皆殺しにある事件が発生した。当初はオオカミの仕業だと思われたが、ロタ王国のカシャル(猟犬)たちの探索で、王国に古くから伝わるタルハマヤの再来だと確信した。命からがらシンタダンから逃げ出した幼い兄妹のアスラとチキラは、母のトリーシアがシンタダンで処刑される現場にいた。悲しみと怒りと絶望がアスラを襲ったとき、内面がせりあがるようにしてタルハマヤが出現したのだった。アスラとチキラはロタ王国で蔑まれた民族であるタルの民だった。人買い市場で二人の兄妹を買ったバルサは、呪術師見習いのタンダとともに旅を続ける。その途中、カシャルの呪術師、スファルと出会い、アスラとチキラを引き渡すように求められる。タンダもバルサも断るが、宿屋で寝静まっている間にスファルたちにアスラが奪われてしまう。闇夜に乗じてバルサがアスラを奪還するが、それをタンダが身を挺して助けて、バルサとタンダは別れ別れになってしまった。 (2018.2.10) 新潮文庫 2009年8月 590円

4虚空の旅人
サンガル王国を表敬訪問していたチャグム。皇太子が王位を継承する儀式に呼ばれていた。その儀式が行われる前の宴席で、皇太子の実弟であるタルサン王子が大きな銛で兄を突き刺してしまう事件が起こった。タルサンに謀反の意思がないことを感じたチャグムは、何者かが呪術の力を使って、タルサンに銛を投げさせたと直感した。海に面したサンガル王国は、いくつもの島々を従えていたが、その南に位置する対岸のタルシュ帝国が密かに島々を征服し、サンガル王国へ攻め入る計画が進行していた。 (2018.1.6) 新潮文庫 2008年8月 630円

3夢の守り人
バルサはカンバル王国に戻った。その途中の池で歌歌いと出会う。
その歌歌いは、人の心を魅了するほどのうまさだった。
歌声を聞いたバルサは戻ることのできないジグロとの日々を感じることができた。
ユグノという歌歌いは、なぜか奴隷狩りから追われていた。ユグノを助けたバルサは、タンダの待つ山奥へとユグノを連れて行く。
町や村では、その頃、眠りに落ちた人々がまったく起きない事態に陥っていた。
ついには一の妃も同じ状態になってしまった。
タンダの妹も同じように寝たまま起きなくなった。
どの寝顔も不思議なことに満足な笑みを浮かべていた。
タンダの師匠のトロガイは寝たままの人たちを診て、魂が抜けてしまっていることに気づいた。
体はそこにあっても、魂が抜けているので、呪術はまってく通用しない。
このままではやがて体が朽ちて、死んでしまうことが想像できた。
トロガイとタンダは、魂抜けの技を使って、肉体から抜けてしまった魂探しの旅に出る相談をした。
魂抜けはとても危険な技なので、タンダだけではやらないように釘を刺したトロガイだった。
しかし、妹のカヤの容態を調べに行ったタンダは師匠の忠告を破って、ひとりで魂抜けの技を使ってしまう。
その後にトロガイのもとを訪れたバルサは、ユグノをトロガイに紹介する。
そこへタンダの肉体を借りた花守りの魂が襲いかかる。
(2017.5.10) 新潮文庫 2008年1月 590円

2闇の守り人
バルサは生まれ故郷のカンナバルに戻った。戻る途中、幼い兄妹が洞窟で闇の守り人に襲われていたのを助けた。自分をカンナバルから脱出させ、長い時間、バルサに短槍を教えたジグロの家族に真実を伝えたかった。しかし、カンナバルでは今もまだ当時の陰謀が消えることなく続いていた。幼帝を思いのままに操っていたジグロの弟のユグロが、山の王を攻撃して、彼の財宝を奪おうとしていたのだ。バルサたちには牧童として見えていた一族は、じつは山の王と地上の王の橋渡しをしてきたことがわかる。バルサは牧童たちの願いを受け止めて最後の闘いを幼い子どもにたくしていく。 (2017.4.24) 新潮文庫 2007年7月 630円

1精霊の守り人
新ヨゴ皇国。緑の多いナヨロ半島に建国された。以前はヤクーという先住民族が住んでいた。ヤクーは見える世界をサグと呼び、見えない世界をナユグと呼んでいた。ヤクーの宗教や文化の代表である呪術師の老婆トロガイは100年に一度の水の精霊(ニュンガ・ロ・イム)の誕生に気づいていた。新ヨゴ皇国の第二皇子のチャングは二度も不吉な事故に遭遇していた。二度目の事故のとき、たまたま女用心棒のバルサによって命を助けられた。バルサは新ヨゴ皇国の北方にあるカンバル王国があった。複雑な歴史を経てバルサは武術家として育てられ、お金をもらって命を守る仕事を続けていた。チャングの母親は二度の事故は偶然ではなく、国王が密かに皇子を暗殺しようとしたと感じていた。そのためチャングを助けたバルサにチャングを連れて逃げるように頼む。チャングを連れての逃避行が始まった。国王は狩人を放ち、バルサを殺して皇子を連れ戻すように命令した。しかし狩人たちは反対にバルサに反撃されてしまう。ニュンガ・ロ・イムはチャングの体内に卵を産み付け、夏至に孵化するのを待っていた。土の民の精霊である卵食いのラルンガは夏至の日に卵を宿したニュンガ・ロ・チャガ(精霊の守り人)を引き裂いて卵を食べてしまおうとしていた。それを防ぐためにバルサとトロガイ、トロガイの弟子でバルサに思いを寄せるタンダたちの戦いが始まった。 (2016.8.25) 新潮文庫 2007年4月 590円
鹿の王 東乎瑠帝国に支配されたアカファ王国。東乎瑠は支配した地域から多くの奴隷をアカファの岩塩鉱に集めて強制労働をさせていた。ある夜、岩塩鉱に狼が襲撃をかけた。奴隷たちは鎖で足をつながれていたので、狼に傷つけられた。そして、翌日から奴隷たちは高熱を発して次々と死んでいった。そのなかに、ただひとり、生きながらえた男がいた。かつてアカファ王国でガンサ氏族を名乗った飛鹿乗りのヴァンだった。ヴァンは独角のヴァンとも呼ばれていた。何らかの事情で家族を亡くした者たちが集う組織が独角だった。敵からの攻撃に対して、仲間を先に逃亡させて、自らは最後尾で敵と戦う役目を負った。そのなかでもヴァンは無敵を誇っていた。ヴァンは、周囲の奴隷が死んでいくなか、自分だけ生き残る不思議な感覚を経験する。捜索隊が来る前に、ここから逃亡するチャンスだと気づいたヴァンは、想像を超える力で足の鎖を引きちぎり、岩塩鉱から地上に這い出た。食事を求めて建物に入ると、そこには岩塩鉱で働く女たちが折り重なって死んでいた。赤ん坊の泣き声が聞こえる。そっと近づくと、母親らしき女がまるで狼からこどもを守るようにストーブの扉を抱えて死んでいた。その扉のなかに女の赤ん坊が生きていた。ヴァンは、そのこどもをユナと名づけて、逃亡の旅に出る。 (2015.8.6)