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手代木正太郎
shotaro teshorpgo

異人の守り手

戊辰戦争直前の横浜。幕府が開国を迫るイギリス、アメリカ、フランスなどに対して開港を認めた町。大地主が浅瀬を埋め立てて短時間に外国人の居留地が完成した。隣には日本人町が作られ、境界に関所が設けられた。日本人町が関内と呼ばれ、外国人居留地は関外と呼ばれた。外国人居留地に住む日本人も多かった。その中に秦漣太郎がいた。頬から首にかけて刀傷が残る特徴を隠すように人当たりの良い男だった。14代将軍家茂は幕府に抗う長州藩を討伐するために京に向かった。大君が上る東海道にはその豪華な行列を見物するために多くの外国人が列をなした。当時の国内には多くの外国人を狙う宗教的なまでに強固なつながりの者たちがいた。鴉と呼ばれる者たちは社会の各層に分散され情報を収集し攘夷武士たちを補佐し続けていた。神奈川奉行は繰り返される攘夷武士たちによるテロリズム事件に頭を痛めていた。公使や通訳を問答無用に斬り捨てる事件が続けば、それを理由にして諸外国はさらに幕府へ開国を強要するだけだった。神奈川奉行と連携し漣太郎は岸田吟香、お政、高橋らと狂気に走る鴉らと闘い横浜の未来を守り続けていく

(2024.2.29)小学館時代小説文庫80020233