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雫井脩介
shusuke shizukui

ビター・ブラッド
警視庁の刑事、佐原夏樹。所轄で刑事稼業に精を出す。そんな折、管内で転落死事故が発生した。現場に赴くが、なぜかそこには本庁の捜査一課が臨場していた。そのなかに、家族を捨てて、母と別れた父である島尾明村がいた。刑事としては大先輩でありながら、家族を捨てた明村を許せていない夏樹は、父のことを「お前」と呼んで侮蔑する。転落していたのは、貝原という情報屋だった。貝原は、裏の世界と密接なつながりを持ちながら、情報を収集するだけでなく、ひとの弱みにつけこんで、密かにいくつかの殺人を繰り返していた。夏樹は捜査本部に出向し、そこで五係の係長である鍵山から明村とのコンビを命じられる。その鍵山が、貝原の転落にかかわったと思われる容疑者の逮捕の後に、殺された。係長の殺人に対して、五係のメンバーが何かを隠していることを察した夏樹は、単独で事件の裏側に迫っていく。するとそこには、かつて貝原がからんだ社長殺人事件と放火事件が浮上する。どちらも五係がかかわりながら、はっきりとした犯人逮捕につながらなかった曖昧な事件だった。 (2014.1.24) 幻冬舎文庫 2010年8月 762円

クローズド・ノート
さわやかな恋愛小説。しかし、わたしには、教員を目指すひとに読んでほしいアドバイスの物語に思えた。教育大2年の香恵は、マンション暮らし。ある日、クローゼットに忘れられたノートを発見する。それは香恵の前の住人、真野伊吹のネタ帳だった。4年の子どもたちとの一年間を記したクローズドノート。それを読み始めた香恵は、自分も伊吹先生の教え子の気分になり、はまっていく。バイト先の万年筆販売店で、イラストレーターの石飛に出会った。香恵は、クローズドノートに描かれる伊吹の片思いを自分の石飛への思いに重ねた。同じマンドリンクラブの親友が外国に留学した。日本に残った親友の彼氏が香恵にアプローチする。学園祭で偶然に見知らぬ女性と腕を組む石飛を見かけた。揺れていく香恵のより所は、伊吹のクローズドノート。伊吹も教員をしながら、大学時代の同級生の隆に恋をしていた。なかなか思いが伝わらない伊吹の恋を香恵は、自分の恋に重ね合わせた。ノートは、修了式の前日で終わっていた。香恵は、ノートの続きが知りたくて、伊吹が勤 務している小学校にノートを返しに行く。(2011.2.15) 角川文庫 2006年6月 667円