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川村元気
bise tetsuhiro

世界から猫が消えたなら
30歳の僕は郵便配達人だ。ある日、頭痛がして病院に行く。医者は重い脳腫瘍と診断し、余命が残り少しと宣告した。もしかしたらあした死ぬかもしれない。そんな僕の前に悪魔が現れる。生きていたいならば、このよのなかから一つだけ命と引き換えに消すものがあれば一日だけ命がのびると教えられる。僕は生きのびるために、電話から消していく。一日生きのびる。また悪魔がやってきて次に消すものを尋ねる。そうやって僕はよのなかから一つずつ何かを消していく。そして、大切な飼い猫のキャベツを消そうと悪魔に唆されて、僕は自分のために何かを消すのはやめようと決意する。決意した僕は、たった一つのやるべきことに気づく。長年疎遠になっていた父へ遺言を書く。それをポストに投函しようとしたとたん、何か違和感を覚え、郵便配達人の制服に着替える。(2013.3.31) マガジンハウス 2012年10月 1400円