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池井戸 潤 |
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空飛ぶタイヤ(下) |
赤松運送の大型トレーラーのタイヤが外れて、母子を直撃した。母は死亡した。大型トレーラーを製造したホープ自動車は事故車を調査し、赤松運送の整備不良という結論を出した。社長の赤松はホープ自動車の整備不良という判断に疑問をかんじて、独自に調査を開始した。すると、他にもホープ自動車の大型トレーラーが構造的な欠陥と思われる事故を起こしていた事実を知る。だが、警察もホープ自動車も赤松の主張に耳を貸さなかった (2020.10.25) 講談社文庫 2009年9月 759円 |
空飛ぶタイヤ(上) |
読了 (2020.10.25) 講談社文庫 2009年9月 759円 |
仇敵 |
ただいま読書中 (2020.10.15) 講談社文庫 2006年1月 649円 |
花咲舞が黙ってない |
半沢直樹がまだ産業中央銀行で若いバンカーだったころの、将来の合併先になる東京第一銀行。事務部臨海指導グループの花崎舞が主人公。問題のある支店に赴き、事務のミスを見つけ修正する仕事をしていた。その過程で銀行全体を揺るがす大きな隠ぺい工作に気づき、報告書を作成するが、その報告書そのものが役員会で握りつぶされる。会長と政治家、政治家の後援会と支店長によるインサイダー取引をめぐる隠ぺい工作は銀行同士の合併にも影響した (2020.10.15) 中公文庫 2017年5月 814円 |
銀翼のイカロス (半沢直樹4) |
ナショナルフラッグの帝国航空は大きな負債を抱えて自主債権が困難とされていた。政権が新しい憲民党にかわり、テレビキャスター出身の白井国交大臣が私的機関のタスクフォースを立ち上げ、金融機関に多額の債権放棄を申し入れてきた。そこには指示に従うしかないという傲慢な態度が見られた。帝国航空に多額の融資をしていた半沢ら東京中央銀行では、債権放棄を拒否した。行内で過去に問題のある貸付をして、それを隠蔽し続けてきたことが発覚し、政治的な取引には応じないと頭取の中野渡が決意したのだ (2020.10.14)講談社文庫2019年12月800円 |
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読了(2019.11.20) 小学館 2018年7月 1500円 |
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大規模小売店一風堂に爆破予告が届き、実際に爆破事件が起こった。それにより犠牲者も出た。地域の小さな店を閉店に追い込む安売り商法で全国展開していた一風堂を恨む者の犯行ではないかと警察は考えた。一風堂のメインバンクである白水銀行の審査部で一風堂を担当していた坂東は、爆破事件によって一風堂からの顧客離れを予想した。株価は暴落し、未達の再生計画はさらに紙切れになろうとしていた。そんな中、一風堂から500億円もの追加融資の申し出があった。一風堂を倒産させたら、これまでの融資がすべて不良債権になってしまうことを恐れた白水銀行内の主流派は坂東に追加融資に応じるように迫る。 (2019.5.30) 文春文庫 2007年3月 630円 |
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一松組は中堅の建設会社だ。これまでは大手ゼネコンの談合に付き合いながら公共工事を受注してきた。しかし、脱談合を標榜しながら実際には調整という名で談合は繰り返されていた。その体質のままでは中堅の一松組はいつまで経っても利益を向上させることはできなかった。現場で監督をする若手の平太は、所長の永山から本社への異動を告げられる。業務課。通称、談合課とも呼ばれるセクションに異動した平太は東京都の新しい地下鉄工事の入札を担当することになった。大手ゼネコンは今回も調整を打診してきた。しかし、今回は常務の尾形が一社単独で公正に受注しに行くと宣言した。調整の神様とも呼ばれる三橋から、瀬戸内海の橋梁建設の話を持ち込まれた。いったんは単独受注に向かうと宣言した尾形だったが、三橋の話を受け入れることにした。平太ら業務課の面々は、何のために単独受注へ向けて準備してきたのかわからなくなり混乱する。 (2019.7.8) 文春文庫 2011年11月 870円 |
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電脳雑伎集団。IT企業が半沢が出向している東京セントラル証券にライバル会社の東京スパイラルの買収を提案してきた。企業買収の経験のない東京セントラル証券にとって、社運をかけた大きな仕事だった。しかし、電脳はその提案をあろうことか一方的に破棄し、証券の親会社、半沢の籍がある東京中央銀行に鞍替えした。なぜ電脳は最初に企業買収の経験がない自分たちに今回の提案をしたのだろうかと思案した半沢は、巧妙に隠された過去の不正を見抜いていく。 (2019.6.14) 文春文庫 2015年9月 700円 |
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大手総合電気メーカー・ソニックの子会社である東京建電。営業部第一課は営業部でも花形だ。課長の坂戸は毎週木曜日の営業部会議で毎回ノルマをクリアする成績を報告する。部長の北川も坂戸には一目を置いていた。しかし万年係長の八角は坂戸とは対照的に仕事をさぼってばかりいる。年下の坂戸に注意されてもまったく気にしていなかった。そんなある日、坂戸が八角からパワハラで訴えられた。規律委員会は坂戸を左遷し第二課の原島を第一課の課長に異動した。明らかに仕事をしない部下を叱責しただけなのに、なぜ坂戸が処分を受けるのか、社内では大きな問題になっていた。原島は上司からの命令で、それまで坂戸が開拓した取引先のトーメイテックから、それまで会社が取り引きしていたねじ六へねじの発注も戻していく作業を繰り返す。コスト的に高い会社への転注を疑問に思いながらも指示に従う原島は、ある日それまで使用していたトーメイテックのネジを強度テストにかけたところ、あっという間に耐久不足で折れてしまった事実に気づく。しかし原島はそれを見て見ぬふりをすることに決めた。営業部長の北川と衝突してカスタマー室室長に飛ばされていた佐野は、いつか北川を追い落とすことに使命を感じていた。顧客からのクレームに椅子のネジが折れるというのが増えていた。それを独自に調べた佐野は、坂戸が発注したトーメイテックのネジが最初から強度不足を承知で安価に納入されていた事実を知る。リコール隠しに気づいた佐野は告発分を社長に送る。しかし、役員会が出した結論は隠蔽だった。 (2016.7.17) 集英社文庫 2006年2月 800円 |
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東京首都銀行で役職だった恋窪は役員の不正を暴く寸前で相手側に気づかれ、無実の罪をかけられて退職に追い込まれた。いまは東京東都銀行で庶務行員という職に就いていた。給料は安く、金融関係の仕事をしてはいけなかったが、以前の銀行にいた頃よりも、恋窪は精神的に充実した毎日を送っていた。通勤の途中に季節のうつろいを感じることができるようになっていたのだ。中小企業を相手にする東キ銀行で悪戦苦闘する若い融資係の松木にアドバイスをすることで自分の使命を果たしていた。そんなとき、かつて首都銀行で自分のライバルだった桜井が会いたいと電話をかけてきた。桜井は恋窪が追っていた役員の派閥に属していた。待ち合わせの場所に向かった恋窪は、いつまでも現れない桜井を待った。しかし、その晩、桜井は死んでいた。警察は自殺と判断したが、恋窪は桜井の動向を探るうちに、自分と同じように役員の不正に気づいて口を封じられたのではないかと想像する。役員はペーパーカンパニーを通じて経済やくざの会社にお金を動かし、そこからバックマージを得る方法で不正な蓄財をしていたのだ。かつての仇敵へ恋窪の闘志が沸き立つ。 (2016.5.24) 講談社文庫 2006年1月 590円 |
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東京第一銀行羽田支店副支店長の蓮沼は、バブル崩壊後の不良債権処理に追われていた。羽田周辺の中小企業はどこも赤字続きが多かった。そんな会社から融資した金を一括回収しろと言う命令が本部から出された。支店長の谷は上昇志向で都合の悪い事柄は全部蓮沼に押しつけてきた。回収しろと言われても、田宮金属にはそんな金がないことはわかっていた。だから、回収はできないと谷に進言すると、谷自らが田宮に赴き、3億もの融資金を回収してきた。そこには田宮をだます手口が仕組まれていた。やがて田宮金属は不渡りを出して倒産する。社長の田宮は保険金を残った家族に渡すために自殺する。谷は蓮沼にその保険金さえも差し押さえるように命じる。銀行員として生きることよりも、人間として生きることの重要性に気づいた蓮沼は、谷に反抗し、そのために本部から処分をくらう。減給の処分を聞いて妻は息子を連れて家を出て行った。会長の久遠は長年に渡って、建設会社から裏金を調達してきた。その金をいくつもの口座を経由させて洗浄し、いよいよM資金発見という作戦で表に出せる金に変身させようとしていた。そのからくりに気づいた蓮沼は、処分を受けて失う物はなくなったので、不正を暴くために建設会社で自殺に見せかけて殺された経理課長が隠し持っていた裏帳簿を探し出す。 (2015.12.9) 小学館文庫 2007年5月 657円 |
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証券会社を退職した辛島は、仕事一直線がたたって妻と子どもに逃げられた。その後は私立高校で教員をしていた。夏休みに入ったとき、教え子が学校を辞めることになった。親の会社が不渡りを出して倒産の危機にあるという。アナリストとして活躍していた辛島は、黒沢金属工業の娘である麻紀がその前日の深夜に返しに来た本の意味を考えていた。その本を手にすると、ページの隙間から見知らぬ商品券のような紙が落ちた。それは信州の田神町にある田神亜鉛株式会社が発行しているものだった。そして、黒沢金属工業の得意先が田神亜鉛だったのだ。麻紀のことが心配になった辛島は自宅を訪ねるが、そこには母親しかいなかった。父親は資金繰りに奔走し、麻紀は家出をしていたのだ。以前、麻紀から期日前償還について質問されていた辛島は、黒沢金属が田神亜鉛から7000万円もの社債を買わされていたことを知る。麻紀はそれを期日前に現金化して、2回目の不渡りを防ごうとしていたのだ。きっと麻紀は信州の田神亜鉛に向かっていると確信した辛島は、妻子に逃げられて目標のない毎日を送っていた自分から脱皮するかのように、麻紀の後を追う。木曽川沿いの田神町は、田神亜鉛を親会社として、町中の産業がそこから仕事を得ている企業城下町だった。そこには田神札と呼ばれている架空通貨が流通し、下請企業は否応なく現金ではなく、田神札で決済を強制させられる経済が出来上がっていた。 (2015.11.28) 講談社文庫 2003年3月 695円 |
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大田区池上。池上本門寺近くにある池上信用金庫、本門寺支店の小倉太郎は、長年つきあいのあったかばん屋の主、松田かばんの松田義文が亡くなった。大学卒業から支店に勤務した小倉は、松田からよくかわいがられた。松田には二人の息子がいたが、長男は大学を卒業して大手銀行へ就職していた。店はずっと次男の均が手伝っていた。だれもが均が店を継ぐものと考えていた。しかし、葬式が終わった後に訪れた弁護士は、義文の遺言状を示した。肺がんで亡くなる直前の義文に遺言状を書く力があったとは思えなかった。それは長男の亮が、弁護士とともに病室を訪ね、無理矢理準備した書面に署名・押印させたものだったのだ。それによると、店の後取りは長男の亮になっていた。均も職人も遺言状は偽物だと思ったが、亮が銀行を辞めて店に乗り込んでしまった。均は店を辞めて、近くで同じかばん屋を始めた。職人の半数が、その店に移って行った。やがて、松田かばんの取引先が倒産し、連帯保証人になっていた松田かばんは5億円の補償金を負担することになった。亮は、信用金庫を訪ねて預金の全額引き降ろしを迫るが、小倉らはそれを拒絶する。さんざん、父親が作り上げた松田かばんを馬鹿にしていた亮を助けるものはいなかったのだ。「かばん屋の相続」より。このほかに「十年目のクリスマス」「セールストーク」「手形の行方」「芥のごとく」「妻の元カレ」を収録。 (2015.11.15) 文春文庫 2011年4月 581円 |
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総理大臣の武藤は国会での答弁中に耳におかしな声を聞き、次の瞬間に息子の翔と意識が入れ替わってしまう。秘書の原稿を棒読みするが、漢字が難しすぎて翔は「漢字が読めない総理大臣」とマスコミに馬鹿にされてしまう。なぜ自分たちの意識が交代してしまったのか。防衛大神を中心とした調査チームからの報告が上がった。アメリカのCIAで研究されてきた意識をコントロールするデータが何者かに盗まれてしまったという。CIAは、世界中に送り込んでいるスパイからの情報を、脳波そのものから受信する研究をしていたのだ。息子の翔になってしまった父親の武藤は、息子の代わりに就職面接に行くが、でかい態度と、愚かな企業戦略を罵倒し、まったく採用へと向かわない。官房長官の不祥事が週刊誌にすっぱ抜かれた。マスコミからの質問攻撃に「もっと大人になろうぜ」と総理のからだの翔は言い放ってしまう。そのうちに、この意識のすり替えが、ほかの国会議員でも試されていることが発覚した。公安刑事の新田らの捜査によって、新薬の承認を緩和するマニュフェストの共和党が、アメリカの製薬会社と組んで、密かに実行していたことがわかった。 (2015.11.3) 文春文庫 2013年6月 620円 |
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東京中央銀行営業第二部次長の半沢直樹。彼は部長の内藤直々に伊勢島ホテルの担当になるように命じられる。伊勢島ホテルは銀行からの融資をあっという間に焦げ付かせ、しかも専務の羽根が社長の椅子を狙っていた。以前、経理担当だった戸越は、ホテルの経営状態を元に戻すように専務に進言したが、逆に解雇されてしまっていた。二代目の社長である湯浅と話を詰める羽根は、湯浅には本気でホテルを再建しようとする意思があることを確認した。その上で、あえて状態の悪い伊勢島ホテルをさらに追い詰めようとする銀行内部の動きに注視した。そのうちに金融庁の監査が入ることになった。主任検査官の黒崎は銀行いじめのプロだった。伊勢島ホテルからのさらなる融資申込みを京橋支店が握りつぶしていることを知った半沢は、意図的に伊勢島を潰そうとする動きがあるのではないかと察知した。バブル崩壊のころ同期入行した近藤は、こころの病が原因で休職し、それがもとでタミヤ電気に出向していた。経理部長なのに、いちいち経理課長の裁可を得ないと仕事ができないことに不審を抱いた近藤は半沢に相談をする。タミヤ電気が近藤に知られたくない経理上の問題があると察知したからだ。徹底した銀行内部の駆け引きをベースに、冷静にバンカーとしての仕事を積み上げていく半沢の姿勢。やがて、伊勢島ホテルとタミヤ電気、金融庁の監査は、銀行内部からの情報漏えいというかたちでつながっていく。半沢を追い落とす大きな力、それに「やられたらやり返す」と果敢に立ち向かっていく。倍返しの流行語を生んだドラマの原作だ。(2014.1.1) 文春文庫 2010年12月 657円 |
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東京中央銀行大阪西支店の融資課課長の半沢直樹は、副支店長の江島と支店長の浅野から有無を言わせない5億円もの融資を裁可させられた。特殊鋼を扱う西大阪スチールへの巨額の融資だった。しかし、西大阪スチールは5億円もの融資を受けた後に、決算書などの粉飾が発覚し、倒産してしまった。倒産の直前に5億円もの融資を裁可した半沢に対して、江島と浅野は責任を取らせようとした。もともと融資先を調べる時間を与えずに強引に稟議書を押し通したのは江島と浅野だった。しかし担当課長としての責任も感じた半沢は、逃亡して姿をくらましている西大阪スチールの東田社長の所在を探すことに専念していた。少しでも貸した5億円の一部を取り戻そうとする半沢の動きに対して、なぜか支店長の浅野は責任論ばかりを押しつけて、協力する態度を示さなかった。西大阪スチールからの発注を受けながら、代金の支払いを受けられなかった小さな会社。そのなかから竹下という社長を見つけ出した半沢は、ふたりで東田の潜伏先を突き止めることにした。カメラが趣味の竹下は、やっとの思いで東田を見つけ出し、証拠の写真を撮影した。その写真を見た半沢が驚いた。東田といっしょに写っていたのは、融資をした銀行の支店長である浅野だったからだ。ふたりの間に接点があることを見抜いた半沢と竹下の反撃が始まった。ドラマ「半沢直樹」で有名になった物語のシリーズ第一作だ。(2014.1.7) 文春文庫 2007年12月 657円 |