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井川香四郎
koshiro ikawa

ご隠居は福の神
2
幻の天女

ただ今読書準備中(2024.4.24)二見時代小説6482020

ご隠居は福の神
1

ただ今読書準備中(2024.4.24)二見時代小説6482019

与太郎侍
2
江戸に花咲く

日本橋新右衛門町のおたふく長屋。朝から住人が起き出してきて一軒の長屋の前で文句を言う。ガーガー、グーグー一際大きなイビキが聞こえてくる。イビキの張本人は長屋の住人から与太郎と呼ばれている気ままな浪人だ。与太郎は本当は小田原藩の支藩で江戸家老を務める武士なのだが、箱根山中で育ち、たまたま山を降りたら家老にさせられたので武家の窮屈な暮らしを嫌がって長屋住まいを続けていた。気持ちよく目覚めた与太郎はいつもの日課で町を歩き日本橋で遠くの富士に感嘆の声を上げた。その時、目の端に内儀風の女が目に入った。どうしたのかと尋ねると「この辺りに子返し天神はないか」という。江戸の地理に詳しくない与太郎は、道ゆく人に尋ねて、それが楓川神社だと知る。地元では胡散臭い神社として有名だった。与太郎は女と共に神社へ向かった。そこには風采の上がらない宮司と薄汚れた氏子が数人いた。宮司に事情を話した与太郎は、お絹と名乗った女が詳しい話を始めた。孝助という5歳になる孫が婿の兼蔵に連れて行かれてしまったという。娘は流行病で亡くなり、その葬儀の後に孝助が兼蔵に連れて行かれたのだ。孝助の居場所を霊感を使って探し出します、そのためには幾らかのお金が必要という宮司にお絹は実家から持参した大金を渡した。与太郎はこの神社に違和感を覚えながらも、孝助探しに一枚肌を脱ぐことになる(「子返し天神」より)(2023.8.21)集英社文庫660202212

与太郎侍

1与太郎侍

箱根山中で育った古鷹恵太郎。父親は恵太郎が幼い時に亡くなっていた。祖父が恵太郎を連れて箱根山中にこもり二人だけの暮らしを長く続けた。猪や鹿とともに山をかけめぐり、祖父から人の生き方の根幹を学んだ恵太郎。祖父が亡くなったので山を下りて市井の暮らしを経験しようとした。大磯の浜辺でいきなり幼い子どもをかどわかす浪人連れに出会い、お互いを諭して子どもの命を救った。父母は恵太郎に深く感謝したが、恵太郎は二人が実際には父母ではないことを見抜いていた。小田原は江戸開府の昔から箱根の関所を任せられた由緒ある藩だった。水野忠邦が老中になって小田原藩とのかかわりが薄くなり、藩士たちは老中の企みによって藩が改易にならないように富を蓄えて準備していた。領民から法定以上の無謀な年貢をかき集め圧政を敷いて幕府への忠誠を示していた。恵太郎はそういうことに無関係な立場だったのに出自が明らかになるにつれて政との関りが増えていく

(2023.6.7)集英社文庫70020228