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パトリシア・コーンウェル
patricia cornwell

検屍官
バージニア州リッチモンド。州検屍局の局長であるドクター ケイ・スカーペッターを主人公にした「検屍官」シリーズの最初の本だ。連続女性絞殺事件が起こる。衛生局や検察官は、犯罪を防ぐことができない。市民からの見えない怒りの矛先を、検屍局からの情報漏れというありもしない出来事と置き換えようとする。捜査担当刑事のマリーノが若い。その後のシリーズで活躍する姪のルーシーは10歳だ。(2009.6.27) パトリシア・コーンウェル 講談社文庫 1992年1月 819円

証拠死体
自分が脅されていることを知りながら、犯人を自宅に招き、惨殺された女流作家。彼女の生い立ちには、複雑な背景が折り重なっていた。バージニア州の女性検屍官ケイが、マリーノ刑事とともに、危険を冒して事件解決に挑む。 (2008.12.13) パトリシア・コーンウェル 講談社文庫 1992年7月 680円

遺留品
バージニア州リッチモンドとウイリアムズバーグが事件の舞台になる。ドリスとの仲が破局に向かうマリーノとコンビを組んで、絶妙のチームワークで捜査にあたるスカーペッタ。最愛の友人である新聞記者のアビーとの出会い。同じ時間を過ごしながら、やがて永遠の別れが訪れる。若いカップルばかりを狙った連続殺人事件。背景にCIAの隠ぺい工作があるのではないかとアビーや事件被害者の家族は気づく。いまでは一般的になったDNA鑑定が、事件解決の決め手というよりも、解決を困難にするツールとして扱われているのが興味深い。マークやベントンがスカーペッタを危険な場所に引きずり込まないように工夫するが、すべて裏目に出てしまう。煙草をスパスパ吸っている局長だ。(2009.7.4) パトリシア・コーンウェル 講談社文庫 1993年1月 819円

真犯人
記録なし。(2009.7.11) パトリシア・コーンウェル 講談社文庫 1993年12月 819円

死体農場
主人公の検屍官ドクター・スカーペッタがFBIと共同の捜査を担当する。おなじみのマリーノ刑事はあやうく命を落としかける。ひとが腐敗していく様子を研究する死体農場が登場する。姪のルーシーとスカーペッタとの関係がていねいに描かれた。第六弾に連なる上巻としての位置づけ。(2008.12.25) パトリシア・コーンウェル 講談社文庫 1994年12月 752円

私刑
連続殺人犯ゴールト。これまでの検屍官シリーズにたびたび登場してきた謎の男が、いよいよFBIとニューヨーク市警察に全面対決を挑む。主人公スカーペッタ女性検屍官が解き明かすゴールトの生い立ち。めいのルーシーがプログラマーの才能をいかし、ゴールトを追い詰めた。しかしギリギリのところでルーシーはゴールトに捕らわれてしまう。絶体絶命のピンチにスカーペッタが選択した行動とは?(2009.1.13) パトリシア・コーンウェル 講談社文庫 1995年12月 757円

死因
新興宗教団体がひそかに放射性物質を原子炉から奪い、外国に持ち出す計画を知りえた人たちが、次々と殺されていく。事件の背景に迫る検屍官スカーペッタにも魔の手が忍び寄る。姪のルーシーが、FBIのエージェントとして、地道な作業を続けながら、叔母の絶体絶命の危機を救う。(2009.1.27) パトリシア・コーンウェル 講談社文庫 1996年12月 762円

接触
検屍官スカーペッタのもとに送られてきた犯罪現場写真。さらにその写真に写っていた切り刻まれた胴体がごみの処分場で発見される。その遺体には、すでに絶滅したはずの天然痘に似た症状が出ていた。その遺体の処理にあたったスカーペッタや関係者が、次々に感染していく。これまでのシリーズと違い、目に見えないほどの小さな病原菌が、確実に多くのひとのいのちを奪う恐怖。 (2009.1.30) パトリシア・コーンウェル 講談社文庫 1997年12月 762円

業火
検屍官スカーペッタは、これまで彼女が積み上げてきた幾多の実績と仲間、信頼するひとを、この物語で失う。事件は解決しても、スカーペッタのこころには空虚な思いが広がる結末になる。連続した放火事件。その事件に隠された連続殺人事件。この両方を追うスカーペッタとマリーノは、かつて刑務所に送った連続殺人事件の共犯者キャリー・グレセンの存在へとたどり着く。精神疾患を装って、服役から、診療所へと、移送されたキャリーは、診療所を脱走し、スカーペッタたちのもとへと復讐を開始する。 (2009.3.6) パトリシア・コーンウェル 講談社文庫 1998年12月 857円

警告
最愛のひとを失ったスカーペッタが、苦しみと悲しみから立ち上がっていく。そのプロセスは、あまりにも厳しい。傷ついたスカーペッタを追い落とそうとする警察権力がからみ、物語は縦横無尽に展開する。コンコルドでインターポール本部まで飛ぶ。ルーシー、マリーノも健在だ。フランスの検屍制度も登場する。(2009.3.16) パトリシア・コーンウェル 講談社文庫 1999年12月 933円

審問
殺人鬼キャリー・グレセンの死。そこから物語は始まる。前作の警告とセットで読むと、文脈が理解しやすい。このなかでは、スカーペッタの内面が赤裸々になる。愛するひとを失った悲しみと、殺人未遂事件被害者としてのこころの傷を負ったスカーペッタが、苦しみのなかでのたうちまわる。あろうことか、被害者のはずの彼女にかかる殺人の疑い。自らが法廷に引き出されることに。作者のコーンウェルが冒頭で、実在の女性検事にこの物語を捧げると宣言していることが、謎を解く鍵になる。 (2009.4.2) パトリシア・コーンウェル 講談社文庫 2000年12月 上下ともに629円

黒蠅
久しぶりのスカーペッタシリーズ。期待以上の悲しみとはかなさが繰り返す。そして、感動のラストシーン。目が見えない死刑囚が脱走するという突飛な出来事には目をつぶろう。本来なら還暦を過ぎたはずのスカーペッタが46才になっているのも、許そう。公的な機関に所属していたメンバーが、それぞれフリーの立場になり、悪の一族と立ち向かう。若くて、やや融通のきかない女性刑事、ニックが登場。(2009.5.22) パトリシア・コーンウェル 講談社文庫 2003年12月 上下とも730円

痕跡
スカーペッタは法医学コンサルタントとしてリッチモンドに呼ばれた。警察を辞めたマリーノとともに。そこで扱う少女の変死には、異常な性愛病の両親が関わっていた。フロリダで豪邸を買って私的捜査機関のボスになったルーシーは、また同性愛者に戻りつつある。雇って共同生活を始めたヘンリーが襲われた。やがて二つの事件は、かつてスカーペッタが働いていたモルグと結びつく。ベントンがルーシーの父性の存在に。(2009.5.30) パトリシア・コーンウェル 講談社文庫 2004年12月 上下とも750円

神の手
原題はプレデター。捕食者。凶悪な犯罪を実行する者の脳の研究と、そういう脳をもつに至る生育の問題を、深く掘り下げた。ルーシーに脳腫瘍が見つかる。マリーノは罠にはめられる。ベントンとスカーペッタには別離の危機。主要な登場人物の人間模様の絡み合い。複数の人格が同一人物に同居する精神障害がキーワードになる。 (2009.6.8) パトリシア・コーンウェル 講談社文庫 2005年12月 上下とも714円

異邦人
サウスカロライナ州チャールストン。南部の保守的な町に住まいを移したスカーペッタ。ベントンから正式にプロポーズされた。その事実を受け入れられずに、マリーノは酔って彼女に暴行をはたらく。ルーシーの怒りが、マリーノをスカーペッタの目前から消してしまう。双極性障害でテレビ番組をもつドクター・セルフ。息子のウィル・ランボーが有名テニス選手を殺害した。それに続く高級別荘地殺人事件。息子が殺人犯と知らないセルフは、マリーノをコントロールして、スカーペッタとの関係を破壊した。息子が殺人犯だとわかったスカーペッタは、セルフに事実を告げ、マリーノをコントロールしないように諭す。シリーズ最新作は、最終章ではなく、新しいシリーズの始まりを予感させる。(2009.6.17) パトリシア・コーンウェル 講談社文庫 2007年12月 上下とも762円

スカーペッタ
大晦日に女性が殺された。テリー。彼女の遺体を最初に発見した恋人のオスカーが疑われた。捜査はニューヨーク市警のモラリス刑事が担当した。ベントンと結婚していたスカーペッターは、オスカーの求めに応じてニューヨークに向かう。検事のバーガーは、精神科で治療を受け、再生をかけていたマリーノとスカーペッターが鉢合わせになることを恐れた。モラリス刑事が体質的に苦手なマリーノ捜査官は、断酒し、整髪し、新しい恋人のバカルディーと出会う。スカーペッターの姪のルーシーが、ゴシップコラムの解析をバーガーから依頼された。かねての仲間たちが、ひとつの事件に集まり、協力して事件の解決を目指す。おそらく、コーンウェルは、これをスカーペッターシリーズの最終版にしようと考えただろう結末が待っている。 (2010.1.18) パトリシア・コーンウェル 講談社文庫 2009年12月 上下とも838円

核心
フランスのシャンドン家の生き残り。ジャン・バプティスト・シャンドンが復活した。ベントンを追い詰め、スカーペッタを苦しめたジャンが自らの異形を整形手術によって治し、多くの他人になりすまして、犯罪組織を立ち上げた。ある日、スカーペッタのところに運び込まれてきたトニー・ダリエンという女性ランナー。後頭部を殴打され、腕には見たことのない腕時計のような機械をつけていた。公園で発見されたが、スカーペッタは死体の状況から別の場所で殺され、公園に運ばれたと主張する。ニューヨーク検事局のジェイミー・バーガーは彼女の意見に賛成しない。集められた情報から、トニーはタクシードライバーに強姦され、公園で殺された確率が高かったのだ。投資コンサルタントのループ・スターは、ルーシーが父のように慕っていた。彼女の資産管理をすべて引き受けていた。しかし、病死した後、娘のハンナ・スターがルーシーの資産を食い物にした。ハンナに恨みをもつルーシー。そのハンナが失踪していた。ルーシーと恋愛関係にあったジェイミーは、ルーシーがハンナのことを自分に打ち明けないことで傷ついていた。酒もたばこもやめたマリーノはジェイミーの元で、刑事をしていた。トニーの事件を追ううちに、スカーペッタに届けられた爆発物の捜査に組み込まれる。ベントンと緊張関係にあるマリーノは、スカーペッタへの思いに素直になれない。FBIからベントンを抹殺したエイジーは、CNN番組の司会者カーリー・クリスピンから資金提供を得て、復活のチャンスを狙っていた。このシリーズには珍しいほのぼのとしたラストシーンに、作者がこめた意味は何なのだろう。大きなサーガのクライマックスなのか。(2011.3.21) パトリシア・コーンウェル 講談社文庫 2010年12月 上下とも857円

変死体
ドーヴァー空軍基地で長期の任務に当たっていたスカーペッタは空軍大将のブリッグスの呪縛から逃れるようにケンブリッジ法病理学センター(CFC)に戻ることになった。CFCで発生した不祥事の処理を職員のルーシーやマリーノが依頼してきたからだ。氏名不詳の若者の遺体がCFCに運ばれた。副局長のジャック・フィールディングが検死を行った。翌日、その遺体から大量の出血が認められた。死後、遺体から出血が認められることはめったにない。考えられることは、遺体と思われる若者はCFCに運ばれてきたとき、まだ生きていたのではないかという疑念だった。それを副局長が「死亡している」と判断し、検死をしてしまった。もしそうだとしたら、夜の間に生き返った若者が傷口から大量出血して死んでしまったのかもしれない。死後画像診断検査(AI)の導入を空軍基地で実証していたスカーペッタは、若者の遺体にAIを実施する。その結果、若者の体内では、これまでに見たことのない細胞や内臓の破壊が進んでいた。どんな凶器で、どうやって殺されたのかさえ、わからない。フィールディングは、姿を消してしまった。自分がいない間に、CFCで起こっていた多くの不祥事にスカーペッタはこころを傷める。そのことをマリーノやベントンが知っていたのに、スカーペッタに知らせなかったことでも、さらに傷つく。若かった頃に、医大の授業料が払えなかったスカーペッタは軍の奨学金制度を利用した。そのため、医師としての資格を得た後に、軍医として働かなければならなかった。大将のブリッグスの命令で人種隔離政策を行っていた南アフリカに赴いたスカーペッタは、若い2人の女性ジャーナリストの遺体を検死した。アパルトヘイトに反対する勢力によって虐殺された女性ジャーナリスト。しかし、2人はアパルトヘイトによって苦しんでいるこどもたちの取材を行おうとしていたのだ。なぜ、殺される理由があったのか。スカーペッタは、政治の力によって「抹殺され」「アパルトヘイトを正当化」しようとするアメリカ政府と南アフリカ政府の大きな力に屈した。その後遺症を抱えたまま、変死体と向き合っていく。(2012.3.20) パトリシア・コーンウェル 講談社文庫 2011年12月 上下とも857円

捜査官ガラーノ
コーンウェルが新聞に連載した警察小説。ハンサムで有能だけど、テストに弱い主人公ガラーノ捜査官。親子ほど年上の女性捜査官サイクスと、20年前の未解決事件の犯人を探す。いつもガラーノに無理難題を押しつける地区検事局長ラモントの政治的な罠に引っかかりながらも、過去と現在の不正を改めていく。(2009.7.14) パトリシア・コーンウェル 講談社文庫 2007年8月 619円

前線
新聞タイムズに10回連載された。ガラーノを主人公にした捜査官シリーズの二作目。45年前のボストン絞殺魔事件。上司のラモントは前作ではレイプされた。今回は銀行強盗犯と恋仲になる。今回のガラーノの相棒はバイク事故で片足をなくした女性刑事スパンツ。ガラーノに言えない事情を抱えつつ、最終的に彼の捜査に協力していく。FBIあり、ロンドン警視庁あり、話は国際テロ組織まで広がった。(2009.7.18) パトリシア・コーンウェル 講談社文庫 2008年12月 600円

スズメバチの巣
スカーペッタシリーズを離れて、作者が初めて書いた小説。シャーロット市警察本部が物語の舞台になる。連続殺人、恋愛、医療事故、密告、麻薬取引、コメディ。これまでの作者のタッチと大きく変わった物語になっている。それでも、3人の登場人物はかなりキャラクターとして強さが目立つ。ハマー警察署長、ウエスト警察署長補佐、ブラジル記者。ミステリー小説の範疇からは外れるが、警察と政治の密着と反目。地元経済界からの警察への圧力。記事のリーク。社会で日夜繰り返されている現実を異次元同時系列で作者が丹念に描いた。これから始まるであろうシリーズの予告的作品。 (2009.4.15) パトリシア・コーンウェル 講談社文庫 1998年7月 933円

女性署長ハマー
舞台をバージニア州・リッチモンドに移してハマー署長シリーズ三作目が登場。コーンウェル通なら、リッチモンドと聞いて「もしかしたら、彼女がいるかも」とピンと来るだろう。読者のこころをつかむ。検屍官として活躍していた若きスカーペッタも、もちろん登場する。今回は、州の警察官になったブラジルと州の警察署長になったハマーが主人公。なぜか、ウエストは登場しない。残忍な少年非行集団が連続殺人事件を起こす。物語は、それ以外に愉快な知事の家庭やタンジール島の滑稽なひとびとの暮らしというサブストーリーがかみ合い、ミステリーという要素だけではない楽しみ方ができる。 (2009.5.11) パトリシア・コーンウェル 講談社文庫 2001年12月 上下とも650円

サザンクロス
シャーロット市警察から、リッチモンド警察に移動した女性署長ハマー。部下のウエストとブラジル。前作では記者をしながらボランティア警官をしていたブラジルは、本編では正式な警察官として採用され登場する。持ち前の正義感を多くの場面で発揮している。ウエストとブラジルのすれ違ってばかりの恋愛感情は、今回も衝突と接触を繰り返す。凶悪化する一方の少年犯罪を真正面から扱った物語。リッチモンドといえば、スカーペッタ検屍官。本人は登場しないが、スカーペッタを感じさせる場面があると解説には書いてあったが、わたしにはわからなかった。 (2009.4.26) パトリシア・コーンウェル 講談社文庫 1999年8月 914円