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千野隆司 |
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鉞ばばあと孫娘 2まがいもの |
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鉞ばばあと孫娘 1貸金始末 |
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1俺は一万石 |
竹腰正紀は美濃今尾藩竹腰家の次男だった。長男は家督を継ぐが次男は他家へ婿に出る以外にすることがない。若い時から道場に通い剣術の向上に努めていた。正紀に婿話が持ち上がり、下総高岡藩井上家へ婿入りすることになった。江戸の上屋敷を訪ねた時に、たまたま在所から藩邸を訪ねていた農民の申彦と出会った。地元の利根川が大雨で水かさを増し、堤防が決壊しそうなので杭打ちを願い出ていたのだ。しかし門前で相手にされなかったところを目撃した正紀は、婿入り前にも拘わらず、自らが杭を届けることを約束してしまう (2020.5.14) 双葉文庫 2017年9月 602円 |
2塩の道 |
高岡藩への婿入りが決まった正紀は祝言を済ませて井上家で暮らし始めた。剣術道場仲間の与力、山之辺から塩問屋の若旦那が倒れた樽の下敷きになり亡くなった事件を調べていることを教えられた。その塩問屋とかつて出会った千葉の塩問屋につながりがあることを知った正紀は山之辺に協力しながら、高岡藩の新しい財政政策の実行を思いついた。米しか取れない高岡藩の財政を塩の中継地にしようというものだった。それを知った高岡藩の家老園田は正紀の命を奪って、塩の取引を独り占めしようと計画した (2020.5.19) 双葉文庫 2017年10月 672円 |
3紫の夢 |
利根川の高岡河岸を物流の要にして、藩への実入りを増やそうと正紀は考えていた。そんな時、それまで高岡河岸に納屋を設けて藩の米の出入りを扱ってきた戸川屋から多額の借金の返済を求められた。戸川屋の娘は、塩取引で正紀の命を狙い切腹した国家老の園田の妻だった。妻と息子は戸川屋に戻らされた。借金は園田が藩の名前で勝手に戸川屋から借りたものだった。塩取引の桜田屋に相談し、龍野の淡口醤油を扱うことを考えた。江戸湾で龍野醤油を受け取った荷運び舟が何者かに襲われ、醤油も舟も消えてしまう (2020.5.28) 双葉文庫 2018年2月 611円 |
4麦の滴 |
正紀の本家にあたる浜松藩で菩提寺の浄心寺改築の命が下された。支藩の下妻藩と高岡藩にも改築費用の負担が求められた。世子の正紀と正広には費用を集める奉行役が発せられた。ともに飢饉にあえぐ国許を抱えていた。寺の改築費用など出せるわけがなかった。これは浜松藩の井上本家が正紀と正広にしくじりを起こさせ、世子の座を引きずり下ろすことが目的だったのだ (2020.6.5) 双葉文庫 2018年4月 593円 |
5無節の欅 |
菩提寺の材木をどこの店に任せるか。入札が行われた。浄心寺の改築を使って私腹を肥やそうと企む本家筋は、同時に正紀と正広を世子の座から引きずり降ろそうとしていた。檀家の材木屋が入札で決まり、ほかの材木屋を使うはずだった本家筋は檀家の材木が江戸に届く前にこれを妨害する手はずを整えた4 (2020.6.10) 双葉文庫 2018年5月 602円 |
6一揆の声 |
全国で米がとれない年だった。高岡藩では年貢割合を引き上げ、さらに農民から貸し米として米を差し出させる触を出した。これに対して、一部の村が結束して貸し米の取り消しを求めた一揆を起こした。代官所では、頭取を拘束して訴えを退けた。農民たちは頭取の解放と貸し米の取り消しを求めて陣屋へ強訴するため集団で行動した。正紀は病院療養を理由に公務を退き、秘かに在所に赴き、事態の収拾を計る決意をした (2020.6.25) 双葉文庫 2018年8月 630円 |
7定信の触 |
田沼意次の失脚によって幕政の中心に立った松平定信は高騰する米の値段を下げるために、余っている米を江戸に廻す命令を出した。高岡藩は他の藩よりも割当が多かった。これは高岡藩の失敗を通じて、田沼意次なき後の幕政になおも影響力を残そうとする老中水野の狙いがあった (2020.7.14) 双葉文庫 2018年11月 672円 |
8囲米の罠 |
正紀らが犠牲を出してまで回送した国許の米が、江戸の町ではなぜな小売りに出回らず、米価の高騰は続いていた。両替屋の房之助とともに回送された米の行き先を探っていた青山は沼津藩が不正に米を蓄え、高値で売り抜けようとしていた現場を押さえた。しかし、青山はしくじりから沼津藩に囚われてしまった。正紀は山野辺とともに、新たに届く米の不正現場を暴くために立ち上がる (2020.7.20) 双葉文庫 2019年3月 611円 |
9贋作の謀 |
正紀の姑、和が手に入れた絵が贋作なので、誰がどのような謂れでこれを描き、流出させたのかを調べてほしいと言ってきた。全く乗り気のしない正紀は姑の頼みだから、仕方なく探索を始めた。すると、鹿島沖で東回りの廻船が海賊に襲われ、米や昆布が奪われる事件に繋がっていく。しかも奪われた米が、高岡河岸に一時的に保管されていることに気づく (2020.7.31) 双葉文庫 2019年7月 620円 |
10無人の稲田 |
府中藩では村民の一揆を武力で押さえ込み、犠牲者を出していた。特に一揆を起こした三村に対して代官所は名主を呼び出し貸し米を命令した。凶作が続き、米など食べられない生活を送る村民らは村を捨てる逃散を決めた。江戸では一人の水夫が殺された。高積もりを監視する山野辺が探索を進める。その中で水夫の周囲に、正紀らが海賊退治で取り逃がした鮫五郎と盗んだ米や昆布を換金化していた伝兵衛の姿が見え隠れした。山野辺は正紀に事情を伝えた。正紀は植村と青山に探索を命じた (2020.8.23) 双葉文庫 2019年8月 610円 |
11繰綿の幻 |
関東や東北では麻の服から木綿の服の需要が高まっていた。綿から種や殻を取り除いた繰り綿の値段が上がっていた。綿は関西で収穫される。関東へは船で運ばれていた。高岡藩の勘定方の井尻は繰り綿を扱う問屋から空売りを持ちかけられた。確実に多くの繰り綿が江戸に届く報せがあったので、繰り綿の空売りに藩の金を使った。しかし、その船はいつまで待っても江戸には到着しなかった。先物取引の空売りは、買う契約をした時の値段よりも繰り綿が安くなるから利益を得られる。反対に繰り綿の値段が上がっては契約をした時よりも少ない繰り綿しか手にできない。難破したという情報は無いのに、繰り綿がない。不思議に感じた正紀らは、井尻とともに探索を始めた (2020.8.23) 双葉文庫 2019年12月 610円 |
12慶事の魔 |
孝姫が産まれた井上家と婚儀が決まった山野辺家に、法外な祝いの品が届いた。受け取りの担当者は、こうかすぎることに疑念を抱きながらも受領証を発行した。しかし、それらは繰綿の商いで不正を働き、処分を受けた蓬莱屋と奏者番職を狙う石川家の策略だった (2020.8.29) 双葉文庫 2020年3月 620円 |
13訣別の旗幟 |
老中の松平定信は旗本や大名の借金を帳消しにする策を練っていた。それを実現すれば旗本や御家人は一時的に助かるが、金を貸していた札差たちは大損をして二度と金を貸さなくなる。再び旗本や御家人たちが困窮することが目に見えていた。また天皇家の扱いについて家斉と意見が対立した定信は、少しずつ孤立していく。正紀の父、正国は幕府で奏者番をしていたが、突然、病を理由に辞職することになった。元気な正国が役職を離れることを知った正紀は尾張徳川家が定信政権と訣別することを決めたと気づく。そんな時、藩邸の門が燃やされた (2020.12.9)双葉文庫2020年8月620円 |
14商武の絆 |
松平定信による武士の借金を帳消しにする命令によって、それまで金を貸していた札差たちは窮地に陥った。札差たちもまた金を貸すために、ほかの商人から金を借りていた。しかし、こちらは帳消しの対象ではなかったからだ。新しい借金を申し込む武士や大名に対して、商人たちは札差だけでなく一切の貸金を断り始めた。高岡河岸に新しい納屋を建てるために50両の借金を申し込んでいた高岡藩も同様だった。すでに材木の注文は終わっていた。しかし、支払うべき金のあてが無くなってしまったのだ。そんな時、家老の佐名木の弟が辻斬りの容疑をかけられた。高岡河岸では利根川が水嵩を増し納屋の土台を飲み込もうとしていた (2020.12.16)双葉文庫2020年8月620円 |
15大奥の縁 |
主家の行事で大奥の滝川の世話を正紀がすることになった。感情を顔に出さない滝川に辟易しながら役目を終える。後日、父から滝川の機嫌がとても良かったと聞かされる。合わせて滝川に拝領されている町屋敷の扱いを任された。居酒屋や蕎麦屋を入れて店賃を取っていたが、何者かの嫌がらせを受けて、今は空き家になっていた。川に沿った商いに向いた建物なのに、なぜ嫌がらせを受けるのかを正紀は調べていく。すると老中、松平定信につながる用人がバックにいて反定信派の滝川を追い落とす計画が練られていたことを知った (2021.3.27) 双葉文庫2020年12月620円 |
16出女の影 |
高岡藩井上家の世子である正紀は義父の正国が参勤交代でお国入りする費用の捻出を命じられた。関わりのあった商家を回ったがどこも松平定信の棄捐令のせいで金回りが悪くなり、とても費用を貸すことはできないと断ってきた。途方に暮れた時、以前、世話をした大奥の滝川から内々の頼みを持ちかけられた。幼い頃に世話になった叔母が病で倒れ、瀕死の状況とのこと。正国の奥に入りの途上に叔母の村があるので、行列に混ざってこっそり自分を連れて行って欲しいという頼みを持ちかけられた (2021.5.4) 双葉文庫2021年3月620円 |
17金の鰯 |
(2021.9.21)双葉文庫2021年7月620円 |
18大殿の顔 |
(2021.12.30)双葉文庫2021年8月620円 |
19尚武の志 |
(2022.3.10)双葉文庫630円2021年12月 |
20花街の仇討ち |
(2022.5.17) 双葉文庫640円2022年3月 |
21世継の壁 |
(2022.10.18)640円双葉文庫2022年7月 |
22藩主の座 |
(2022.10.19)640円双葉文庫2022年8月 |
湯屋のお助け侍 |
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1菖蒲の若侍 |
(2022.1.6)双葉文庫2021年9月640円 |
2桃湯の産声 |
(2022.1.12)双葉文庫2021年10月640円 |
3覚悟の算盤 |
(2022.7.2)双葉文庫640円2022年1月 |
4待宵の芒舟 |
(2022.8.12)双葉文庫640円2022年5月 |
5神名の恋風 |
(2022.11.29)双葉文庫660円2022年9月 |