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8029.8/26/2019

あと…5日

[開店準備]

開店まで一週間を切った。
26日は植木屋さんが入って、庭と店に続く小道の樹木を剪定する。

試食会は4日目になり、初めて午後6時からの招待をする。
ディナータイムがあるので、この時間帯の試食会は終了後の片付けを習得するのに必要になる。

27日は最後の試食会。
下北沢で長年レストランを営業する叔父とシェフの従弟を招待する。
プロの目と舌で辛口の評価を頂くことになるだろう。

今回の試食会を開催するにあたり、多くの仕入れ先から肉や魚、中華調味料を仕入れた。それらについても、頼んだ量が多かったのか少なかったのか、一種類の食材が何日使えたのか、逆に不足したものは何だったのか。
それらを体験から振り返ることができるのは大きな収穫になる。

25日は午前中に仕込みが終わった。
久しぶりに昼間の大船へ出かけた。
築地が本店の寿司店に入り、職人さんの動きを観察した。
いちいち冷蔵庫を開けなくても、作業テーブル上にタッパーに入れてあるものをチェックした。
準備をしておけば、多くのお客さんの異なる注文にも流れるような動きで対応できる。すぐに同じような動きはできないだろう。
しかし、準備不足でできないことと、準備をしておいて未熟なことは違う。
工夫と失敗の繰り返しで、名目上の開店から、実質的な営業へシフトできることを目指したい。

===2019年8月26日===



鳥の唐揚げ、甘酢餡かけ。試食会で提供した。衣には「ふすま」を使っている。 2019年8月23日。

8028.8/25/2019

あと…6日

[開店準備]

24日は3回目の試食会だった。
義理の娘(息子の妻)のご家族を東京からお招きした。

「これまで2回試食会をして分かったことですが、どうも1食分の量が多いみたいなんです。だから、今日は少し減らしてみましたが、それでも多いかもしれないので遠慮なく多かったら残してください」

最初のお伝えした。
メイン料理を6品用意した。
妻と娘も参加したので、6人への料理提供。6人分を6品用意すると、1人が6食も食べることになる。
そこで、1食分を0.3人分程度まで減らしてみた。

蒸し餃子。青椒肉絲。蒸し魚。焼きそば。肉野菜炒め。生姜焼き。
このほかに、醤油洗い、大根皮炒め、中華サラダ、スープ、デザート。

やはりこれでも生姜焼きは
「ほしいけど、おなかがはちきれそう」
とのことだった。
義理の娘へ、仕事の研修で来られなかった息子用にお土産に持たせた。

「油をたくさん使うのに、油っこくなかった」
「お肉がどれもとてもやわらかかった」
「蒸し魚は病みつきになりそう」
「途中に口直しで、酢の物を挟むといい」

ありがたい感想をいただいた。

思えば、このご家族と初めて食事をしたのは去年の正月明けだった。
東京駅近くのレストラン。

「じつはこの春で学校を辞めるんです」
お父様にワインを注ぎながら告げる。
「えー、私もこの春で退職です」
お互いに再出発を前にした出会いだった。

「でもまた学校に入るんです」
説明がややこしくなる。
「私も子会社へまた入ります」
お父様は定年を迎え、関連子会社へ再就職するとのことだった。
「私は若い子どもたちに混ざって専門学校で1年間学んできます」
「えー」
とても驚かれた。

あれから1年半。
息子夫婦が暮らし始めた大船(同居はしていない)にご家族で来られた時には拙宅で料理をふるまった。
専門学校で教わった本格的なレシピを忠実に守って作った。
実際のお店で実習をした秋。朝の掃除から帰りの片づけまでへとへとになりながらの毎日だった。それが終わった翌日が、息子夫婦の結婚式だった。
「昨日までは実習生で、今日は花婿の父です」
「いやぁ、ドラマみたいな生活ですね」
隣り同士のテーブルでお父様とグラスを重ねた。

そして、お店が完成した。
24日の早い時間にお父様からお祝いが届いた。
久保田の万寿。それも一升瓶。
とても貴重で高価な日本酒だ。
すぐ厨房のドリンクケースに入れて冷やした。
料理の途中に、封切をしてお出しした。

===2019年8月25日===



さわやかだけど、しっかりコクがある。銘酒、久保田の万寿。中華料理にもマッチした。 2019年8月24日。

8027.8/24/2019

あと…7日

[開店準備]

24日は3回目の試食会だった。
義理の娘(息子の妻)のご家族を東京からお招きした。

「これまで2回試食会をして分かったことですが、どうも1食分の量が多いみたいなんです。だから、今日は少し減らしてみましたが、それでも多いかもしれないので遠慮なく多かったら残してください」

最初のお伝えした。
メイン料理を6品用意した。
妻と娘も参加したので、6人への料理提供。6人分を6品用意すると、1人が6食も食べることになる。
そこで、1食分を0.3人分程度まで減らしてみた。

蒸し餃子。青椒肉絲。蒸し魚。焼きそば。肉野菜炒め。生姜焼き。
このほかに、醤油洗い、大根皮炒め、中華サラダ、スープ、デザート。

やはりこれでも生姜焼きは
「ほしいけど、おなかがはちきれそう」
とのことだった。
義理の娘へ、仕事の研修で来られなかった息子用にお土産に持たせた。

「油をたくさん使うのに、油っこくなかった」
「お肉がどれもとてもやわらかかった」
「蒸し魚は病みつきになりそう」
「途中に口直しで、酢の物を挟むといい」

ありがたい感想をいただいた。

思えば、このご家族と初めて食事をしたのは去年の正月明けだった。
東京駅近くのレストラン。

「じつはこの春で学校を辞めるんです」
お父様にワインを注ぎながら告げる。
「えー、私もこの春で退職です」
お互いに再出発を前にした出会いだった。

「でもまた学校に入るんです」
説明がややこしくなる。
「私も子会社へまた入ります」
お父様は定年を迎え、関連子会社へ再就職するとのことだった。
「私は若い子どもたちに混ざって専門学校で1年間学んできます」
「えー」
とても驚かれた。

あれから1年半。
息子夫婦が暮らし始めた大船(同居はしていない)にご家族で来られた時には拙宅で料理をふるまった。
専門学校で教わった本格的なレシピを忠実に守って作った。
実際のお店で実習をした秋。朝の掃除から帰りの片づけまでへとへとになりながらの毎日だった。それが終わった翌日が、息子夫婦の結婚式だった。
「昨日までは実習生で、今日は花婿の父です」
「いやぁ、ドラマみたいな生活ですね」
隣り同士のテーブルでお父様とグラスを重ねた。

そして、お店が完成した。
24日の早い時間にお父様からお祝いが届いた。
久保田の万寿。それも一升瓶。
とても貴重で高価な日本酒だ。
すぐ厨房のドリンクケースに入れて冷やした。
料理の途中に、封切をしてお出しした。

===2019年8月25日===



さわやかだけど、しっかりコクがある。銘酒、久保田の万寿。中華料理にもマッチした。 2019年8月24日。

8026.8/23/2019

あと…8日

[開店準備]

試食会は全部で5回計画した。
当初は食後に評価用紙を渡して、見た目・量・値段などを評価していただくつもりだった。しかし、実際にはそういう用紙を用意したり、計画的にその日のメニューを決めて食材を仕入れたりすることが時間的に間に合わなかった。
そこで、こちらが用意した料理を食べていただき、反応をうかがうという直接的な方法に変えた。

招待しているので、来られた方々はダイレクトに「まずい」とか「遅い」とは言わないが、営業開始に向け有効な意見を多く頂けることがわかった。

やってみて見えてきた。
飲食店業務のほとんどは、仕入れ・仕込み・掃除・準備・片づけ・またまた掃除・ゴミ出しだということだ。
調理は数分で終わってしまう。
またシンクへゴミや油を流さずに、その場で回収したり、ペーパーで拭いたりしておくと、最後の掃除がやりやすくなることも知った。

メニューに関しても、当初のメニューでは品数が多すぎて、急いでいるお客さんには待たせすぎてしまうだろうと気づいた。
メニューを減らすことはしない。
そこで、メニューのうちからランチタイムは「今日のランチはこれとこれ」のように限定した日替わりものを提供するタイプに変更する。
そうすればオペレーションが統一され、使う調理器具や食材も同じ流れで支度ができる。
ディナータイムのメニューは作り置きできるものが多い。またお酒のおつまみなので、分量も少ない。なるべくメニュー通りに出せればと思う。

23日は最後の棚が設置され、水回りの目地止めが行われた。これで厨房機器は完成した。
新しく入れた動力の点検が東電であった。

===2019年8月24日===



山崎農園のピーマンはたった2つの株で200個以上が収穫できた。 2019年8月19日。

8025.8/22/2019

あと…9日

[営業許可]

16日に保健所の方が来られて店舗検査をした。
飲食店として食品衛生法が定めた基準を満たしているかの検査だ。

検査終了時に
「これから持ち帰り審査をします。特に問題がなければ営業は許可されます。何か不都合があれば来週の水曜日までにご連絡します」
と言われた。
つまり来週の水曜日である21日までに連絡がなければ営業許可ということだ。

昔の仲間が集まって21日は試食会をした。
前日はその準備で午前1時ごろに寝た。
当日も朝から準備をした。
仲間は午後に集まって、午後7時ごろまで飲食を楽しんでくれた。
それから片づけをして、銭湯に行ったのが午後10時ごろだった。

気が付けば昼食と夕食を食べていなかった。
銭湯の後、近くの焼き鳥屋でくつろぐ。
ふっと息を抜いた瞬間に、そういえば連絡が保健所からなかったなぁと気が付いた。

初対面のお客さんに事情を話して、乾杯をした。

佐々木食堂は名実ともに、飲食店になった。

===2019年8月23日===



鎌倉の海で網にかかったほら貝。内臓には猛毒があるので調理は十分な注意が必要。魚介の仕入れに行っていただいた。塩ゆでにして中華炒めで食べた。 2019年8月19日。

8024.8/20/2019

あと…12日

[開店準備]

9月からのオープンへ向けてこれからお世話になった方々を招いての試食会をする。
そのための仕入れのうち、日持ちのしない野菜や魚介の仕入れが最後に残っていた。
それを19日に一気にした。

魚介は鎌倉、坂の下という地名の海岸の漁師、信栄丸さん。
午前7時半ごろ到着した。
「台風の関係で海が荒れていたから昨日網を入れたばかりだったけど、いいやつがかかっていたよ」
漁師さんはクーラーボックスを開いた。
「これはほら貝、これはタカノハダイ、こっちがマツダイ、そんでオコゼ。これらはサービス品な」
そう言って、私が持参したクーラーボックスに入れる。
サービス品とは、無料ということだ。
「今日の自慢は、こいつよ。ハタ。こっちがマハタでそっちがキジシハタ。キロ1000円でいいや。それからこっちこいや」
漁船に連れて行かれる。いけすを開けると鎌倉海老(小形の伊勢海老)とサザエが詰まっていた。
「海老は中華でも使うだろ。キロ7000円でどうだ」
どうだもこうだも、いつも入荷できる海老ではないので、お客さんはとても喜ぶだろう。全部で600g購入した。
あまりにもサービス品が多かったので、おつりはいりませんと大きなお金を払ったら
「じゃぁ待ってろ」
と、いけすから姫サザエをいくつも取り出して
「これも持ってけ」

魚屋が開けそうな仕入れをした。
午前中は塩ゆでをしたり、うろこを取って三枚におろしたり、仕込み作業で明け暮れた。

野菜は地元、台(ダイと読む)の老舗八百屋の小川商店。
今の社長は私の小学校と中学校の同級生だ。
彼のお父様はトラックに野菜を積んで、近所まで販売に来てくれていた。そこで母親に頼まれた野菜を買いに行く。するとお父様がいつも飴やガムなどを、おまけにくれた。
今は総合病院や学校給食などの集団調理場へ野菜を卸すほどの大型店になった。
ドライバーがいなくて困っているらしく
「洋平も、お店がうまく行かなくなったら、いつでも運転手で雇うからな」
と縁起でもないことをずけずけ言う。

私が以前にファクシミリで送っておいた注文書をもとに納品を選んでくれていた。
大口のお客さんへは配達するが、小口の飲食店には配達が間に合わないので取りに来てもらっているそうだ。私は近所だし、知人だし、何よりも野菜の相場が分かるので、お店に行くことはかえって勉強になりありがたい。

「今、ニラがめちゃくちゃ高いから、少し減らしておいたよ」
「人参100gってサイズは家庭で使うサイズだぞ。食店さんはもっと大きなサイズで歩留まりを確保しているからでっかいのに変えたからな」

何気ない配慮から、学ぶことが多かった。

===2019年8月20日===



信栄丸さんで仕入れた鎌倉海老。和食の店なら刺身で出すのだろう。生は魅力だが、衛生的に心配なので旨味を引き出すかたちで加熱調理を考える。 2019年8月19日。

8023.8/18/2019

あと…14日

[開店準備]

17日は大きな仕入れが4つあった。
開店まではまだ半月あるが、仕入れの流れをつかんでおきたかった。
また来週からお世話になった方々を招待しての試食会をするので、その時の食材が必要だった。

源豊行(げんほうこう)

横浜中華街のメイン通りにお店がある。
中華食材全般の小売店だが、通信販売もしている。
私はこの店で30代の頃から中華食材や甕だし老酒を買ってきたので、よくなじみがある。
中華食材の業務用というのはあまり扱っている店がない。
あったとしても、すでに製品になっていて「温めるだけ」「揚げるだけ」のようなものが多い。また、化学調味料も多く、なかなか素材をそろえるのは難しい。
いくつかの候補店と交渉した結果、昔から知っている源豊行にした。

豆板醤、甜面醤、豆鼓、オイスターソース、中国たまり醤油、花山椒。
家庭の買い物ではないので、これらが数多くコールドテーブルに並ぶと食堂の厨房感が満載された。
大好きな古越という老酒も6本入荷した。自分で飲まないように気をつけねば。

プレコフーズ

東京を中心に、飲食店へ食材を卸す専門業者だ。
私は専門学校でお店のことを知った。
専門学校生に奨学金を出している。
下北沢の叔父のレストランでも、この店を使っていて、とても評判が良かった。

肉の仕入れを地元を中心に探した。
しかし、有名な精肉店は給食など大規模事業を扱っていて、小さな飲食店は相手にされなかった。
商店街の小売店で買うことも考えた。しかし、小売店が開店する時間が遅いので食堂のオープンに間に合わなかった。
そこでプレコフーズの担当の方に連絡をとった。鎌倉はやったことがないが稟議をかけてみるとのこと。会社で検討してくださって、生ものや中華食材以外ならという条件で受けてくださった。

豚バラ、豚モモ、豚ひき肉がそれぞれ2キロずつ届いた。
ごま油の大きなペットボトルも6本も届いた。
豚バラは、生姜焼きと餃子で使う。500gを餃子用の粗ミンチに1500gを生姜焼き用の一口大にカットした。
豚モモは、筋や軟骨、脂を掃除して青椒肉絲用と焼きそば・肉野菜炒め用に分けた。青椒肉絲用に1キロのもも肉をスライス。そして拍子にカット。焼きそば・肉野菜炒め用は一口大に。
中華庖丁がフル稼働した。

豚ひき肉は炸醤にして、チャーハンに使う。500gずつ小分けして保存した。

花澤商店

大船を中心に飲食店やコンビニにドリンクを卸す専門店だ。
最初は大船で古くからある酒屋さんに頼んでいた。しかしお店の都合で配達は8月で終了になった。そのお店が紹介してくれたのが花澤商店だった。
8月は海の家にもドリンクを卸していて、とても忙しいのに担当の方が商品の紹介などで食堂に来てくださった。
お互いにラインでやりとりすることにしたので、発注や小さな相談がとてもやりやすい。

サッポロ黒ラベル中瓶20本。サッポロ黒生樽10リットル2つ。ウイルキンソン24本。日本酒一升瓶2本。日本酒冷酒12本。焼酎一升瓶2本。焼酎半升瓶12本。
ドリンク用の冷蔵庫があっという間に満たされた。

鳥恵

古くから大船に住んでいるひとには有名な鶏の専門店だ。
焼き鳥屋からスタートした飲食店も併設している。
スープを作る鶏ガラともみじ(鶏の脚)、唐揚げにするもも肉を仕入れる。
お盆で市場が休みだったのでもみじの入荷はなかった。週明けに仕入れるとのことだった。
ここはまだ顔を覚えていただくために、配達ではなく、自分で受け取りに行った。

===2019年8月18日===



保健所の店舗検査で指摘されたコック服の収納。ほこりや虫の付着を防げるところに収納してほしいとのことだった。早速、ホームセンターで収納ボックスを購入した。 2019年8月17日。

8022.8/17/2019

あと…15日

[店舗検査]

16日は大きな節目だった。

鎌倉保健所から担当の方が来られて、店舗検査を実施した。
食品衛生法を順守した店づくりになっているかをチェックされた。
昨今の食中毒事件を契機に、食品衛生法は厳しく改正され、新規飲食店はクリアしなければならない項目が増えた。

「トイレを拝見します」
そこからか。
「手洗いはトイレ内ではなく、ホール側のこの場所ですね」
はい。
手には店内の展開図があって、そこに赤ペンで手洗いの場所を書き込んでいた。

「履き替えていいですか?」
ホールとキッチンの間の観音扉にキッチン用のサンダルがある。
どうぞ。
さすが、食品衛生の検査官だけに、履いてきた靴のままキッチンには入らない。
「シンクはこことあそこにありますね。冷凍庫と冷蔵庫は2か所」
どんどん展開図にチェックを入れていく。
悪いことやごまかしていることがあるわけではないのに、なんだか緊張する。
「この換気口にはなぜ紙が貼ってあるんですか?」
これは正確には給気口です。ダクトのパワーで室内の気圧が下がるので外気を入れて気圧を安定させます。その時金網だけだと虫が侵入するので、不織紙で防虫しています。
「なるほど、ちょっと外側を見させてください」

気圧とか防虫とか給気などという言葉がすらすら出てくる。
ひとえに専門学校の先生方、大工の棟梁、ダクト職人、ホシザキの方のおかげだ。

「ゴミ箱の位置を教えてください」
明らかにゴミ箱と分かる容器は、生ごみ用とプラゴミ用の2か所に配置していた。
「これだと、すぐにいっぱいになってしまいますね」
店が狭いので、外に大きな蓋つきのゴミ箱を用意してあります。そこに順次移し替えます。
「それならばキッチンもゴミ箱は運び出しやすいように蓋がなくても大丈夫ですよ」
なるほど。

「従業員更衣室はどこですか?」
きたきた。これは建築士の先生に指摘されていた。隣りの母屋にはいったん外に出なければ行けないので更衣室にはならないとのこと。
店の2階がプライベート空間だったので、そこを更衣室にすることにしていた。その時、コック服をしまう箱を用意しておくようにと言われていたので、とりあえず荷物を運ぶ折り畳み式のケースを用意しておいた。
「この箱には蓋がないですね。収納ケースのようなものにコック服を入れて、外から虫などが入らないようにしてください」
そういうことだったのか。早速、コーナンに買いに行こう。

すべての検査項目のチェックが終わった。
メニューや店の看板を見て
「お店は中華料理なんですね」
そう言いながら、私が提出した書類を確認する。業態欄には、一般食堂と記入した。
「じゃぁ、これは直しておきましょう。一般食堂というのは日本そばでもスパゲティでも何でも出す食堂の時に使うんです。営業許可証に記されるので、中華料理店の方が正確でしょう」
書類を提出するときに、業態欄にどのように記入すればいいか迷ったことを思い出す。中華専門店ではない。だから中華料理店と記すのがはばかれたのだ。

「検査結果を持ち帰り、一応保健所で審査をします。何かあれば3日以内に再び連絡をします。週末を除いてだから来週の水曜日までに何も連絡がなければ営業を開始してかまいません」
おー、ついにここまで来た。
しかし来週の水曜日と言えば21日で、まだイスが到着しない。

ところで何か、営業許可証のような書面はありますか?
「11月14日に、飲食店経営者の方々をお呼びして講習会があります。そこで新規の方々に許可証を渡します。これが引換証です」
そんなものを、8月中旬の今もらっても、私は必ず無くしてしまう自信がある。
とりあえず、手帳の11月14日のページにセロテープで貼っておいた。
「営業許可証はあくまでも書面なので、それが許可を表すものではないんです。まぁそういうのをお店に掲示しておけばお客さんへの説得力にはなりますね」

つまり、本日の検査を受けて保健所で審査し、問題がなければ「許可」が発動する。しかも、許可できない時だけ連絡があるので、審査が通っても何の連絡もないということなのだ。

学校で多くの書面手続きをやってきたが、ずいぶん保健所は無駄を省いている。素晴らしい。

これと同じことは食品衛生責任者の申請時でも感じた。
「調理師免許のある方は同時に食品衛生責任者でもあるので、わざわざ申請の必要はありません」
と保健所で言われた。
「どうしても、お店に掲示したければ保健所にプレートがありますが有料なのでもったいないですよ。ご自身で作って掲示してもかまいません」
へー。そうなんだ。

検査の後で来られた棟梁に検査の様子を話した。
「じゃぁ、ここを改修してとか、これを無くしてという指示はなかったんですね」
「はい、収納ケースのことだけでした」
「なら、実質的に合格ということですよ」

飲食店の改装をいくつも担当して来られた棟梁の言葉は大きい。

さぁ、17日はプレコフーズ、源豊行、花澤商店、鳥恵という大きな仕入れ先から品物が届く。

===2019年8月17日===



カウンターとキッチンの間仕切りには料理や飲み物を置くだけのスペースがある。私の父母は仕事で台湾に3年間滞在した。その時、多くの工芸品を購入した。その中から、いくつかの茶器を並べた。 2019年8月15日。

8021.8/16/2019

あと…16日

[開店準備]

15日は早い時間に看板屋さんが来られた。
発注しておいた3種類の看板を持ってこられ、設置した。

本通りから細い坂道に入り、さらに歩道へ曲がる角に大きな看板を設置した。
三島の大兄が筆を執った「佐々木食堂」の文字と私の似顔絵が印刷されていた。

ほぼ同じデザインで、車の左右と後方につけるマグネットシートの看板を頂いた。
これをつけて走れば、広告になるだろう。

店舗正面の日除け。その前垂れ部分には「中華定食 佐々木食堂」の文字。
こちらは印字ではなくシールを貼るという方法らしく、太めの筆っぽいフォントが使われていた。

看板工事が終わったころ、曇り空からシャワーのような雨が降り始めた。
「ちょうどよかったです」
雨に濡れながら道具を片づけて、看板屋さんは帰られた。
お盆期間真っ最中なのに、申し訳なかった。

シャワーは短時間で終わり、大工さんが3人で来られた。
店舗正面の板塀工事の続きをした。
ペンキが塗っていなかった部分に黒のペンキ。
道路に面した部分には作業場で作って来られた板塀をはめ込んだ。
昼食をはさんで午後4時ごろまでやっていたが、また雨が降り始めたので途中で帰られた。

3着用意したコック服(コックコート・ズボン・前掛け)にアイロンをかけ、店内のプライベート空間に吊るした。
着替え用のかごを用意し、毎朝、そこで着替える。

ブラックボードに「9月1日11:00 OPEN」と白の蛍光ペンで大書した。
専用のイーゼルに乗せて、何だろうと興味深く店内を覗く近所の方々に情報を発信する。

ホワイトボードにカレンダー式のマグネットを貼って、9月の予定が分かるようにした。
ここにはゆくゆく旧暦や二十四節季を書き込み、食べ物と季節を結び付けていく。
また売り切れ御免情報も乗せる。

カウンターまわりをセットした。
什器は大きく3つの容器に分けた。
木製の箸はジョッキに。大きいスプーン、フォークもジョッキに。小さいスプーン、フォーク、木製のレンゲは蓋つき容器に。
これらを3セット用意して均等に配置した。
幼馴染の画伯から購入した手作りの絵本と料理の専門書をペアにして立てかけた。
お客さんが何気なく手にしてくれたら嬉しい。

カウンターとキッチンを分ける仕切り部分には、父母が台湾で仕事をしていた時に買い集めた茶器を並べた。中国茶の注文があったら、実際にそれらを使う。
ホシザキさんがもう一つ棚を作るので、それまで置く場所のない食器も仮置きした。

キッチン側の吊棚には実用性を考えたドリンク器具をぶら下げた。
4種類のカンロ杓子。かき氷にシロップをかける時に使う杓子。
これはサワーに使う橙酒やレモン酒。
緑茶ハイやソーダ割りに使う焼酎。
一定量のアルコールをグラスに注ぐときに使う。目分量では微妙に量が変化してしまう。
栓抜きもぶら下げた。

L字カウンターの短辺席側のキッチンとの境界にある下げ天井にはオブジェとしての調理器具をぶら下げた。
肉たたき、トング、シノア、裏ごし器など。これらは専門学校で西洋料理や日本料理で使ったものを自宅でもできるように購入したものだ。
家族のために復習調理をするときに使ったが、おそらくお店ではあまり使うことはない。
洗練された道具は美術的な価値もあるのでオブジェにした。

幼馴染の画伯から入手したお気に入りの絵画。
花屋の主人が花が好きすぎて、お店が育ちすぎた花でいっぱいになり、自身は屋根でくつろぐという物語が込められている。
どこに飾るかを検討し、半逆光のやわらかな日差しが注ぐ窓に近い壁に展示した。
壁一枚に、絵一枚。
余白部分は、お客さんが想像で埋めてほしい。

調理師免許状と食育インストラクター証明書。
2枚の額は、あまり目立ってもいけないのでキッチンのステンレス壁にぶら下げた。
見ようと思えばお客さんの視界に入る程度の隅っこにした。

すべての準備がそろったら、最後に搬入するつもりだったのが庖丁と砥石。
何と言っても料理人にとって庖丁と砥石は、仕事の手足になる大事な道具だ。
中華庖丁1本。
和庖丁は8本。
出刃2本、小出刃1本、薄刃1本、菜切り2本、柳刃2本。
洋庖丁は4本。
牛刀1本、ガラスキ1本、筋引き1本、ペティーナイフ1本。
このほかに、パレットナイフ1本と三徳庖丁2本。

さすがにこんなにたくさんは必要ないので、ピックアップしてキッチンへ運んだ。

16日の午前中に保健所の食品衛生監視員の方が来られて店舗検査に来られる。

===2019年8月16日===



私の似顔絵を「大仏」と言った人がいるが、どちらかというと「観音」のような気がする。 2019年8月15日。

8020.8/15/2019
あと…17日

[開店準備]

14日は友人が暑い中電車でグラスと取り皿をプレゼントしてくれた。
車で運ぶとばかり思っていたので、甘えてしまって申し訳なかった。

透明なタンブラーに比べて、色のついたおしゃれなグラスだったので、ビールにも冷たいノンアルコールにも使えるので嬉しかった。

2升炊きの業務用炊飯器の取扱説明書を開く。
お使いになる前に、という項目を読む。
出荷時に内ガマの表面に油がついているので、それをとるために30分間お湯だけで炊くと書いてあった。
シンクに大きな内ガマを入れて半分水を入れる。これを再び炊飯器にセットするのに腰が壊れそうだった。

業務用のフードプロセッサーを水洗いする。
一つ一つのパーツがバラバラにならない。
これも取扱説明書を開く。
バラバラにする方法が書いてあった。こういうのはもっと感覚的にできるようになっているといいのに。

スチームコンベクションの取扱説明書を開く。
お使いになる前に、という項目を開く。
試運転で内部が湿っていたので、それを拭き上げるために内部の金具を外す。
元通りにならなかったらどうしようと思いながら、分解して拭き上げた。

中華料理用の円柱のまな板と、魚肉用の長方形の樹脂製まな板を運ぶ。
そのほかにも自宅で使っていた開店に備えて購入した調理器具を次々と運び入れた。
あまりにもたくさんあったので、自宅のキッチンがとてもすっきりしてしまう。

ホームセンターで購入した「出入り口」「トイレ」「プライベート」の表示。
裏面のシールを使って貼った。
床面と平行になるように気をつけたが、気分で貼ったので「トイレ」がやや傾いた。

===2019年8月15日===



店内から日除けを見る。グリーンのテントが伸びてお客さんが来られた時の日除けと雨除けになる。 2019年8月10日。