7949.5/30/2019
ここから…78
=第2期工事=
[スケルトンから測量へ]
大工さんの都合で第1期解体工事から時間があいた。
いよいよ大工さんと建築士さんが来られて、詳細図面を作成するための測量が始まった。
もともとの図面は渡してあったのだが、壁や天井、床を実際に外してみないと、その向こう側にどれだけの空間があるかがわからないのだそうだ。
建築士さんがラフ図面を作成してくださり、それを見ながら
「ここにカウンター」
「ここは630しかないので、後ろがやかなり狭い」
など、具体的な話を聞かせてくれる。
根太や柱はどれも太く、建物を支えている。
リフォームの場合、その太い柱を除去してしまうと建物そのものの構造が弱くなってしまうそうだ。だから、根太や柱、天井の大きな梁がどこにどのように組まれているかの確認もしていた。
「ここに根太があるから、これ以上床を下げるわけにはいかないなぁ」
大工さんがドアをつける場所の根太を見ながらため息をつく。
当初は、床面を下げて、外の高さと合わせることにしていた。靴を脱がないので玄関はいらない。ところが、根太が思ったよりも高い位置に組まれていた。
「これは、外面にステップをつけて店内と同じ高さにするしかないですね」
建築士の方が図面にメモをしていく。
なるべくバリアフリーにしたかったが、物理的に不可能なのだから仕方がない。
「採光を考えて、ドア横の壁はフィックスにしましょう」
「真下から全部フィックス?」
「それがいいですね。自然光はここからしか入らないから」
大工さんと建築士さんの会話に登場したフィックスの意味がわからない。
スマホで調べると、嵌め殺しで開閉しない窓のようだった。
「カウンター横に座ったお客さんの背中にフィックスから当たる光が熱く感じないかな」
大工さんが心配する。
「そこは南東に面しているので、営業時間には太陽が移動しているから大丈夫だと思います」
私なりに検討に参加する。
外面もチェックする。
「ドア上に庇がほしいですね」
「それはできますよ」
設計図面を描く建築士さんと、建物を作る大工さんがプロの会話をしている。
それを聞くのは、とても心地いい。
「じゃぁ佐々木さん、早いうちに図面を持ってくるので、そこでだいたいの見積もりを出しますね。そうだなぁ、8月のお盆前、10日頃までにはキッチンとして使えるように目指しましょう」
看板、店のロゴ、コック服、メニュー、調理ブック、メニューブック、仕入れ先、原価計算、売価決め、カトラリー選び、皿やグラス購入、やるべきことが目白押しだ。
===2019年5月30日===
2019年5月30日。
7948.5/29/2019
ここから…77
=メニュー開発=
[生姜焼き定食]
豚肉をすりおろした生姜とたれに漬けて焼いた生姜焼きは、純粋な日本で生まれた食堂の料理。関東大震災の頃に始まったという。
定食屋の定番と言われるほどのメニュー。
「中華食堂だけど、生姜焼きがあったらいいなぁ」
息子の要望でトライした。
豚バラの生姜焼き(3人から4人分)
豚バラスライス 400g
生姜 30g
玉葱 半分
キャベツ又はレタス
合わせ調味料
老酒 大4
醤油だれ 大2
みりん 大2
中華食堂としての調味料なので、老酒は日本酒でも大丈夫、醤油だれは醤油でも大丈夫。
1.合わせ調味料を作り生姜をすりおろしておく。
2.玉ねぎは薄切りにしておく。
3.豚肉は大きめの一口サイズにしておく。
4.1をボウルに入れ、2と3をうまみがしみこむように混ぜる。
5.熱していない中華鍋に4を入れて中火で炒める。
軽く油ならしをした鍋か、油を軽く塗った鍋にしてもいいが、高温で肉が焼けすぎないように気をつけてほぐしながら炒める。イメージとしては炒めるというよりも、煮るという感じに近い。
6.肉に火が通ったことを確認。味見をして肉に軽く焦げ目がついたらバットにあげる。
7.皿にキャベツかレタスを盛り、人数分に小分けした生姜焼きを乗せて出来上がり。
試してみて、玉葱は分量よりも多く使ってもいいと感じた。
豚肉の脂は温度が下がると固まるので、温かいうちに食べた方がいい。
冷蔵庫で保存したら、再加熱が必要。
定食なので、これにご飯・汁物・香の物・小皿をつけることを考えている。
===2019年5月29日===
冷蔵庫にキャベツを切らしていたので、レタスと大根などの野菜にした。食べてみると、やはりキャベツの千切りの方が定番だった気がする。
2019年5月28日。
7947.5/28/2019
ここから…76
=庖丁選び=
専門学校では料理のカテゴリーごとに異なる庖丁を使った。
日本料理では
出刃包丁:魚肉を切る
薄刃庖丁:野菜を切る
柳葉包丁:魚介の薄切り
西洋料理では
牛刀:全般的に使用
ペティーナイフ:果実の皮、野菜の皮、小さな食材のみじん切り
ガラスキ:骨付き肉の骨の周囲の肉の削ぎ切り
筋引き:魚肉を薄く長く切る
製菓製パンでは
パレットナイフ:切り分けたケーキなどを取り分ける
そして中華料理では
中華庖丁:全般的に使用
鋼を鉄やステンレスが覆って強度を増す。
片方に鉄がついている日本料理の庖丁は、片刃庖丁とも言われる。
しのぎと呼ばれる角度が鋼についているので、食材を垂直に切るときは、しのぎの角度だけ傾けながら切らないとどんどん斜めにずれていく。
和庖丁はほかのどの庖丁よりも手入れが大変だった。
水滴をつけたままにすると、あっという間にさびてしまう。さびがついた庖丁は切れない。それに食材にさびがつくので衛生的に問題がある。
使用後はよく洗って拭く。75℃以上の湯をかけて刃の表面から蒸気が立っているうちにさらに乾いた布で拭き上げる。
しのぎ側と反対側では、研ぎの回数が異なる。
他の庖丁はすべて鋼を両側からステンレスが包み込んでいる。
だから研ぐときは表も裏も同じ回数にしないと、鋼が表と裏で切れ方が変わってしまう。
西洋料理のペティーナイフは中華料理でもよく使った。
中華庖丁は魚肉も野菜も切る。
下敷きみたいにしてニンニクや葱頭をつぶることもできる。
動物の骨も断つ。
まな板と平行に切って、胡瓜や人参の薄切りもできる。
専門学校を卒業して自宅でメニュー開発を始めた。
習慣からか、魚介類の切裁には自然と日本料理の出刃庖丁を使っていた。
ふと、そういえば中華の料理人は何でも中華庖丁だけでやっていたことに気づいた。
ちょうど、鯵を使って蒸し料理と唐揚げの試作をするときだったので、試しに中華庖丁で鯵の大名卸をしてみた。
庖丁の先端と末端を使ってうろこを払った。
横薄切りの要領でぜいごも取った。
頭はかんたんに落ちた。
内臓は庖丁の角で取り出した。
あれあれ、水洗いまですんなりできてしまった。
半身ずつ卸し、腹骨も処理した。
中華庖丁でこれだけかんたんにできるなら、出刃庖丁を使う必要はない。
鎌倉の海に仕入れに行って、そこでさばく必要があるときに出刃を使おう。
大きな中華庖丁をあちこちへ持ち運ぶのはとても危険だ。
===2019年5月28日===
見た目にも出刃の大名卸と大差はなかった。2019年5月27日。
7946.5/26/2019
ここから…75
=試食実験=
ほぼメニューとレシピが固まってきた。
今度はそれを実際に食べてもらって評価を受け付けていく。
といっても、まだ厨房が完成していないので自宅のキッチンで作るしかない。
自宅はあくまでもプライベート空間だから他人を呼んでというわけにはいかない。
メニュー開発の段階ではほぼご意見番は妻だった。
しかし、妻自身も
「どんどん自分好みの味になってしまう」
と戸惑っていた。
そこでほぼメニューとレシピが固まってきたのを契機に、自宅を離れた息子夫婦と娘にモニタリング・テイストテストを頼んだ。
5段階評価で「見た目」「分量」「味」をつけてもらう。
自由記述で意見と要望を書いてもらう。
あくまでも実験なので最初に「それでは乾杯!」というわけにはいかない。
用意した食事を食べてもらい、記憶が冷めないうちに評価を出してもらう。
「え、この場で書くの?」
息子は驚いていた。
私は食器の片づけをしながら、他のことをしているので気にしないで忌憚のない評価をつけてくれるように頼んだ。
先日は「焼きそばセット」「青椒肉絲定食」の試食をした。
・メインの焼きそばが目立たなくなるのでサラダは小さめのお皿が良いと思います。
・ドレッシングもおいしかった。
・焼きそばはおいしいけど味にパンチが欠ける。個人的にはからしをつけてちょうどよい感じだった。
・ピーマンが細切りすぎて繊細な見た目に感じた。
・全体的に良い。漬物は三分の二の分量でいい。
・スープの味はもう少しマイルドだとメインが引き立つかなと思います。
・青椒肉絲の量を普通と大盛があるといいい。
・さっぱりするデザートがほしい。
5段階評価は身内だからかとても良い評価が多かった。
差し引いて受け止めよう。
意見や要望に参考になるヒントがたくさんあった。
野菜が好きなので、セットのサラダなのについつい多めに盛りつけていた。
ドレッシングは妻から何度も「酸っぱすぎる」とダメ出しがあり、そのたびに酢と油の比率を変えてたどりついたレシピだった。これも私が酢が好きだという理由。
焼きそばの感想は新発見だった。味見ではかなりしっかり味をつけたつもりだったが、確かにパンチという観点では調和していたかもしれない。
青椒肉絲のピーマン。これもついつい庖丁で野菜を切っていると限界に挑戦しようとしてしまう癖が出た。そこそこの幅があった方がいいことに気づく。
スープは醤油たれが多いので分量を減らそう。
私と妻で青椒肉絲を食べた時は「けっこう、これでもおなかがいっぱいだね」と言っていた。しかし、若い世代には足りなかったようだ。
デザートは考えていなかった。
去年は教える側から教わる側になった。
今年は評価する側から評価される側になる。
===2019年5月26日===
モニタリング・テイストテストで出した青椒肉絲とご飯。定食はこのほかにスープ、香の物、サラダがつく。ご飯は150g。多いかなと思ったが若者にはちょうどよかったみたいだ。
2019年5月25日。
7945.5/24/2019
ここから…74
=メニュー開発=
[蒸し麺]
専門学校の中華料理実習で焼きそばを作った。
その時は生麺を茹でて使ったので、鍋に麺がこびりついてしまう学生がたくさんいた。
中華街にかつて「永楽」という中華食材を扱う店があった。
私が40代の頃、月に一度は中華街に行って通った店だ。
当時はまだ飲食店を始めるという気持ちよりも、自宅で調理するための食材を求めていた。
卵を練り込んだ伊府麺(いーふーめん)が大好きで、必ず買っていた。
同時にかなりのめり込んだのが蒸し麺だった。
中華料理の実習で
「生麺を蒸すと、麺の色が茶色に変化する」
と教わった。
永楽の蒸し麺も濃い茶色だった。ソースでも練り込んだのかと思っていたが、そうではなかったことを知った。
自宅近くに製麺所がある。
小学校の給食にも卸している。
そこで蒸し麺を求めたら
「もう今はやっていないんです」
とのこと。
仕方がないので生麺を買って、蒸し麺を自作することにした。
1.鍋に湯を沸かし蒸籠に生麺を入れて8分蒸した。
2.2段にしたので4分で上下を入れ替えた。
3.となりに別の鍋で湯を沸かしておく。
4.8分蒸したら、麺を3の鍋に入れ替えて1分茹でる。
確かに蒸したら生麺が茶色になっていた。
蒸籠にそのまま生麺を入れたので、蒸し上げたら麺が蒸籠にこびりついてはがすのが大変だった。ネットで調べたら皿に乗せて蒸すと書いてあった。
5.茹でたら水で洗ってザルに上げて水気を切る。
6.ボウルに移して油をかけて、麺がくっつかないようにする。
とまぁ、予想以上に手間がかかった。
熱々の蒸籠に素手で触って火傷をした。
ちなみに私は5の行程を省略して水洗いをしなかった。
ボウルに移して油をまわし、ラップにくるんで冷凍した。
食堂ではスチームコンベクションに生麺の大量蒸しを任せよう。
===2019年5月24日===
1人分の量は200gにした。焼きそばとして単品にして食べるには適量だった。おつまみとして食べるには半分でいいだろう。2019年5月23日。
7944.5/23/2019
ここから…73
=体調の管理=
専門学校を卒業した後、担任の先生からメールが届いた。
私が食堂の開業を目指していることを先生はご存じだ。
「自分でお店を始めると、毎日、想像以上の忙しさになります。
生活も不規則になり、睡眠時間も十分に確保できません。
これまでお店をせっかく始めたのに、忙しさと疲れで体を壊し、休業せざるをえなかった方を何人も知っています。
開店まで、時間が自由になるうちに人間ドックなどで体のチェックをすることをお勧めします。もしも問題が見つかったら、開店までに治しておくといいですよ」
先生は今年度も調理師科の担任をしている。
もうクラスの学生ではないのに、わざわざ貴重なアドバイスを寄せてくださった。
服部栄養専門学校。
在学中から感心していたが、ここの教職員の方々は本当に学生思いで親身になってくださる。
卒業してもなお、気を遣っていただきありがたい限りだ。
すぐに人間ドックの予約をした。
教員時代は年に一回健康診断が法律で義務付けられていた。
結果を管理職を通じて教育委員会に報告しなければならない。結核などの法定伝染病に感染していないことを証明するためだが、近年は成人病予防の観点も含まれた。
当時は公立学校共済組合という巨大保険組合に加入していたので、地元の保健センターならば自己負担なし。人間ドックを選択した場合は3万円も補助が出た。
私は母を肺がんで亡くしてから人間ドックを有料で受診し続けていた。
2018年4月、学校を退職した。
健康診断の補助がなくなった。
専門学校の1年間は先々の予定が分からないことが多く、結局人間ドックをさぼってしまった。
今回、担任の先生の後押しもあったので、2年ぶりにこれまでずっと使っていた横浜ランドマークタワー内の「アムス」という人間ドック専門クリニックを予約した。
数年分のデータが残っていた。
個人情報欄には、かつての職場や職場の連絡先、健康保険が記載されたままだった。
「内容をご確認ください」
いつもならスルーする確認も、一つ一つ修正した。
基本料金に前立腺がんチェックのオプションを追加した。
おととし亡くなった父が、今の私の年齢の時に前立腺がんを発症したからだ。
合計でかなりの金額になった。
しかし、病気で倒れたら何もかもが無駄になる。自分への投資だと思えば苦にならない。
それに「アムス」は高級ホテルのような内装で、検査を担当する方々もとても丁寧だ。完全予約制なので待ち時間がほとんどない。
快適に検査できる。
1000円分の食事補助券で、ランドマークタワーやクイーンズスクエア、中華街などのお店で昼食が食べられる。
そのアムスから検査結果が郵送されてきた。
覚悟はしていたが体重、BMI、腹囲は順調に成長し続け、堂々の肥満体形を5年以上キープしていた。
なぜか肺活量は5年前よりも300mlも増えていた。
血圧、脈拍、視力、眼圧、心電図、聴力などは正常値。
5年前の眼圧は低かったので正常値に戻りキープ。
横隔膜高位。何だこりゃと調べたら、肝臓障害などで横隔膜が押し上げられるらしい。
肝臓に脂肪がたまっているとエコーで診断されたので、それが原因だ。
3月から休肝日を週に二日間連続で設けたので、長期的に肝臓の脂肪が減っていくことを願おう。
γ-GTP。酒飲みにとって気になる数値。
2年前は177で異常を示していたが今回は102まで低下。それでも0-79の基準値は越えているので、さらなる酒量減らしが必要だ。
お客さんから「まぁ一杯どうぞ」などと言われても、調子に乗らないようにする。
尿酸値はもともと正常範囲内だが、今回は過去5年間でもっとも低かった。
焼酎やウイスキーなどの蒸留酒を中心の酒飲みに変えた効果かもしれない。
血糖値は60-110という範囲内だが高値安定気味。それでも昨年の製菓製パン実習で大量の砂糖や卵を使ったケーキやクッキーをたくさん食べたわりには安心した。
赤血球内のヘモグロビンと糖の結びつきを示すHbA1cは過去5年以上正常範囲内をキープ。糖尿病の不安はなかった。
血管内の壁にへばりつき、動脈硬化を引き起こすLDL-Cが「軽度」多く、動物性脂肪を控え、運動の継続が必要だ。
人間ドックの結果一覧を手にして、日々の生活を考えた。
現在まで、毎日飲まなければならない薬がないだけでも、親に感謝しなければならない。30歳になった時、高血圧で倒れ、降圧剤服用か体質改善化を病院で迫られた。あの時、体質改善を選択しておいてよかったとつくづく思う。
40歳になるまで「醤油を使わない」「9時以降は食事をしない」「早寝早起き生活を続ける」「グレープフルーツなど血圧を下げる食べ物をたくさん食べる」「午後10時から午前2時の4時間は必ず寝ていること」などを10年間続けた。
食堂の夜の営業は17時から21時まで。
「もっと遅くまでやってよ」
地元の知人は言う。
「飲み屋じゃないからさ」
そう応じているが、ひとの口に飲食物を入れてはいけない時間だからというのが本当の理由だ。
===2019年5月23日===
近所の山崎農園でピーマンの初物ができた。季節の食材を食べることも、体を健康に保つことにつながる。2019年5月22日。
7943.5/22/2019
ここから…72
=メニュー開発=
[3回目のスープ試作]
鎌倉市も藤沢市も大雨ですべての公立小学校と中学校が休校になった5月21日。
散歩や買い物は危険なので私は家から一歩も出なかった。
時間があるときにやりたかった3回目のスープ試作にチャレンジした。
今回は鶏ガラを使わずもみじ(鶏脚)を増やして、牛スネではなく牛筋、豚バラではなく豚肩リースを使った。
なるべくスープを取った後も捨てずに使えるものを増やしたかった。
中華スープ
もみじ 4本 296g
牛筋 374g
豚肩ロース 511
g
1181gが肉の合計
これに対して水を5リットル使った。
水に対する肉の割合は約24%。
まずもみじを茹でて軽く水洗い。汚れを落とした。
寸胴鍋に5リットルの水を入れて、もみじ、牛筋、豚肩ロースを入れた。
牛筋と豚肩ロースは生のまま入れた。豚肩ロースはその後も使うためタコ糸で縛った。
強火で沸騰したら灰汁をとった。
弱火にして葱の頭2本と生姜の薄切りを5枚入れた。これらは臭み消し。
蓋をちょっとずらしながら、コトコト4時間煮た。
その結果、牛脂と豚脂のバランスがとれたスープになった。
鶏ガラがないので、やや味わいに欠けた。
もみじと牛筋からたっぷりのコラーゲンがスープに溶け込んだ。
5リットルの水は4時間煮て3.6リットルになった。28%が蒸発した。
本格営業の時は20リットルぐらいのスープを作るので、1時間で7%ぐらい蒸発することを予想して少量ずつ水を補給する必要がある。
定食のおかずや単品にはしっかり味をつけるので、スープはあっさりしていた方がいい。
あまりコクがありすぎるとくどく感じるかもしれない。
最初に入れる水に対して、スープをとる材料(鶏ガラや牛筋など)の割合を25%に設定して、鶏・牛・豚のバランスを考慮する。
そろそろ佐々木食堂の味の元になるスープのレシピが見えてきた。
===2019年5月22日===
試作したスープは400tずつ小分けして冷凍している。
2019年5月21日。
7942.5/21/2019
ここから…71
=季節の野菜=
[ニンニクの芽]
地方によって野菜が迎える旬は異なる。
私が借りている畑のある鎌倉と藤沢ではこれからどんどん野菜が旬を迎えていく。
連休明けから芽がどんどん伸びていたニンニクが藤沢中部、俣野というところにある農園で収穫時期を迎えていた。
この農園は地域通貨運動「湘南レッツ」が地主から借りている。
どんどん借地を増やして、今ではどこからどこまでが湘南レッツの農園なのかわからないほど広い。
その中で私は佐々木食堂用に今は4本の畝を畑にしている。
1本の畝が20メートルぐらいあるので、耕運も耕作もとても大変だった。
農薬を使わないことと、化学肥料を使わないこと、借りたり貸したりの金銭のやりとりをしないことを原則にしている。
だから、周辺のプロの農家で育てている野菜から虫やナメクジなどが農薬からの逃れてくる。
野菜を収穫すると、外の葉や皮はそれらの虫やナメクジから身を守るために自己犠牲を払って穴だらけ。
かびや病気にもかかるので、数ミリはどろどろに溶けていることもある。
しかし、それらを丹念に除去すると中からは輝くほどの身が登場。
大きさは不揃いで、半分ぐらいしか食べられないこともあるが、これがうまい。
蓄えられたでんぷんが甘味となって、食感もしゃきしゃき。
数年前に趣味で1本の畝を借りた時から、飲食を始めるときにはここで育てたいと決めていた。
湘南レッツで「畑担当」と自称している農園リーダーと、これまた「農奴」と自称している農園サポーターが日常的に管理している。
近くの小学校の特別支援学級、社会福祉法人、児童養護施設、私のように個人的な利用など、俣野農園を使う人や団体は多い。
去年のうちに農園リーダーが食堂のためにニンニクと玉ねぎを育ててくれていた。
今年の3月には私自身でインカのめざめとシンシアというジャガイモの種芋を植えた。
「ひとの体は口から入るものだけでできている」
佐々木食堂で食材を厳選する大きな理由だ。
良いものやおいしいものは原価が高くなる。
ならば、自分で作れるものは自分で育て、漁をする人からは直接魚介を見て買おう。
現在、ニンニクが収穫期を迎え始めた。
先日、少量を収穫し、花が咲きそうなニンニクの芽をほとんど摘んできた。
スーパーでは年間を通じてニンニクの芽は売っているが、それらは何らかの方法で保存しているものだ。
この時期だから収穫できたニンニクの芽で豆鼓炒めを作った。
ニンニクの芽の豆鼓炒め
ニンニクの芽 収穫量
赤ピーマン 適量
茹で豚肉の端切れ 適量
新玉葱のみじん切り 大3
長葱のみじん切り 大2
合わせ調味料
豆鼓醤 大1
甜面醤 大1
老酒 大2
中華スープ 大3
ニンニク すりおろし1片
生姜 すりおろし少量
醤油 適量
水溶き片栗粉 柔らかめ
油 多め
アンチョビ チューブ3センチ
ニンニク みじん切り
生姜 みじん切り
1.ニンニクの芽はつぼみと茎を分けて湯がく。つぼみは30秒程度、茎は2分程度。ともに氷水にとって水気を切ってカットする。
2.赤ピーマンはカットしたニンニクの茎サイズに合わせて千切りにする。
3.合わせ調味料を作っておく。醤油で味を調える。
4.フライパンに油を流し、中火でアンチョビとみじん切りのニンニク、ショウガの香りを移す。
5.1と2を入れて炒める。火が通ったら新玉葱と長葱のみじん切りを入れて炒める。
6.野菜に火が通ったら茹で豚肉を入れて合わせ調味料とからめる。
7.ややとろみが出たらすぐに皿に盛る。
季節限定メニューとしてランチの定食にも夜のおつまみにも出そう。
===2019年5月21日===
ニンニクの「茎」部分は筋っぽく硬いので、茹でるときに硬さを確認。切るときには小口にしないで、斜め切りの方が食べやすい。
2019年5月20日。
7941.5/20/2019
ここから…70
=季節の野菜=
[グリーンピース]
グリーンピースは苦手な人が多い。
私も子どもの頃に食べた缶詰入りのグリーンピースは苦手だった。
食感も味も臭いも苦手だった。
鎌倉近辺では5月下旬にグリーンピースが収穫される。
いつも野菜作りを教えてくださる小雀農園の師匠が収穫したグリーンピースを持参した。
数年前にいただいた時から、私はこれまで避けていたグリーンピースを好きになった。
同時にこれまで食べていたグリーンピースは残念ながらおいしいものをまずくしていたのではないかと疑うようになった。
買い物かごにたくさんのグリーンピースが入っている。
「好きなだけ持っていってよ」
遠慮がちに大きくふた掴みぐらいいただく。
「そんなんじゃ、すぐ食べちゃうだろ」
師匠は私が用意したボウルにてんこ盛りのグリーンピースを追加した。
グリーンピースの翡翠煮
さやから出したグリーンピース 200g
出し汁 200t
砂糖 大1
塩 少々
1.さやのまま軽く洗う
2.さやから豆を取り出す。これが200g分のグリーンピースになるとかなり時間がかかる3.軽めの塩を入れてゆでる。硬さを確かめながら6分程度。あまり柔らかくしすぎない
4.3と同時に別の鍋で出し汁を作る。一煮立ちさせたら火を止める
5.3の豆の水気を切って4にそっと入れる。ここで決して豆を水で冷やさない
6.5が室温になったら容器に入れて冷蔵庫で保存。3日から4日間もつ
グリーンピースご飯にする場合
最初から白米といっしょにグリーンピースを炊いてしまうと、炊きあがった時にグリーンピースの緑色が変色してしまう。
そこで、3のゆで汁のみ炊飯に使う。これでご飯にグリーンピースの香りがつく。炊き上がってから翡翠煮を混ぜて使うと彩りも香りもいい。
透明な出汁のなかでグリーンピースの鮮やかな緑が輝く。
ガラスの器に盛って、スプーンですくってそのまま食べるのがおすすめ。
この時期にしか収穫できないので、季節のメニューになる。
===2019年5月20日===
グリーンピースの翡翠煮。2019年5月17日。
7940.5/19/2019
ここから…69
=中華スープ=
[2回目の試作]
前回と変えて、水を5リットルから3リットルに減らした。
これで濃厚になる。
さらに豚バラ肉に変えて豚肩ロース肉を使った。
豚肩ロースはスープを取った後、ゆで豚として使える。
そのほかの食材は同じにした。
鶏ガラ 2羽分
もみじ(鶏脚) 2本
牛筋 100g
葱の頭 1本分
生姜スライス 3枚
鶏ガラの掃除をした。
細かく割って、残っている内臓と血の塊を除去する。
次に鶏ガラ・もみじ・牛筋・豚肩ロースを沸騰した湯で表面を白くさせる。
パットにあけたら、鶏ガラともみじは水で洗う。
このとき鶏ガラに残っている内臓や血の塊があったら、さらに除去する。
寸胴鍋に3リットルの水を入れて、鶏ガラ・もみじ・牛筋・豚肩ロースを水から強火で煮出す。
徐々に灰汁が出てくるので、ある程度まとまったら取り除く。
沸騰したら弱火にして、灰汁を完全に取り除き、葱の頭と生姜を入れて弱火でコトコト煮出す。
今回も前回同様に2時間半煮出した。
少しあけて蓋を乗せた。
前回はあっさり味だったが、それに比べると今回の方がコクがあった。
沸騰させないでとったので、スープそのものは半透明な出来栄えだった。
途中、蒸発した水を補うために500tの水を足したが、最終的に2リットルのスープがとれた。
実際にスープをとるときは、もっと大容量にするので、1時間ごとに足し水をしないと蒸発で減ってしまうのだろう。
次の試作では牛スネではなく牛筋に変えてみよう。
===2019年5月17日===
豚骨は使っていない。2回目の中華スープ試作。
2019年5月16日。