7939.5/14/2019
ここから…68
=青椒肉絲定食=
青椒肉絲と書いて「チンジャオロース」と読めるひとがどれだけいるだろう。
「肉野菜定食」の方が意味が伝わりやすいかもしれない。
青椒肉絲は、豚肉の千切りに下味(上漿しゃんじゃん)をつける。
これを油通しして、ピーマンと筍の千切りとともに炒める。
味見をして混合調味料を加えて短時間で仕上げる(滑炒ほあちゃお)。
この基本的な調理に、それぞれの店の特徴が加わる。
佐々木食堂のレシピ
(1人分)
青椒肉絲の材料
豚モモ 40g
豚モモの下味
塩 0.5g(小匙0.04杯)
胡椒 少々
老酒 2.5g(大匙0.16杯)
全卵 7.5g(大匙0.5杯)
水 2.5g(大匙0.16杯)
片栗粉 1.5g(大匙0.16杯)
油 4g(大匙0.66杯)
単位を容量にしていないのは計量するときに重量の方が正確だから。
製菓製パンの実習では重さ表記が原則だったが、そのほかの料理は大匙や小匙単位の表記も多かった。
ピーマン 0.66個
赤ピーマン 0.16個
筍 11.6g
混合調味料
中華スープ 7.5g(大匙0.5杯)
醤油 3.75g(大匙0.25杯)
オイスターソース 1.5g(大匙0.08杯)
老酒 3.75g(大匙0.25杯)
塩 少々
胡椒 少々
砂糖 0.75g(大匙0.08杯)
水溶き片栗粉 1.25g(大匙0.08杯)
ニンニク 0.16片
生姜 0.16片
長葱 0.25本
ごま油 1.33g(小匙0.33杯)
作り方
1:筍は斜めに切って節を取り薄切りから千切りにしてボイル2分
2:長葱はたて半分にして斜め千切り
3:ニンニクは芯を取り小口から千切りへ
4:生姜は皮を取り小口から千切りへ
5:ピーマンは両端を取りワタをぬいて千切りへ
6:豚モモは薄切りにして千切りへ
7:6を下味を順番に混ぜて、そのたびにもむ
8:合わせ調味料を作っておく
9:鍋で7を油通しする。軽くほぐす
10:ピーマンと筍を入れてすぐにジャァレンにあげる
11:空の鍋に油を落とし、火をつけずにニンニクと生姜を入れる
12:油に香りが移ったら肉とピーマンと筍を戻し強火で炒める
13:8を入れて、なじませる
14:長葱を入れる
15:ごま油をかけまわして出来上がり
ご飯は一杯60g、汁物は一杯180t程度
香の物は数種類を3枚ずつ程度
サラダは数種類の季節の野菜を食べやすく刻み、提供する直前にドレッシングをかける
===2019年5月14日===
試作した料理はまず家族に味わってもらう。いつも辛口の批評を受ける。その一つ一つを完成品に近づけていく。
2019年5月13日。
7938.5/13/2019
ここから…67
=ベース=
中華スープと同時に醤油たれも試作した。
スープは天然素材だけでとるから、塩味や甘味などの味はしない。
スープと合わせて味を決めるのが醤油たれだ。
カンロ杓子という棒の先に小さなカップがついた調理器具ですくい、器に流してスープで割る。
ラーメンだったら杓子すりきり一杯とか、チャーハンのスープだったら杓子の底に少しというふうに量を調整する。
お店の味を決めるので、きっとそれぞれの中華料理店にはオリジナルのレシピがあるだろう。
私は専門学校の校外実習でお世話になった鎌倉市常盤の「ちんや食堂」のレシピを参考に試作した。
丸大豆醤油 1瓶(750ml)
酢 187g
砂糖 187g
梅肉 120g
すりおろし生姜 120g
すりおろしにんにく 120g
これを鍋に入れて強火で煮る。
砂糖が鍋底に焦げ付かないようにかき混ぜながら、色目を観察する。
何の成分が熱変化するのかわからないのだが、温度が上昇すると赤っぽいたれが青銅っぽい色に変わる。
その瞬間に火を止めてボウルにあけて、室温で冷ます。
ちんや食堂ではそうやって作ったたれを一ヶ月寝かせて使っていた。
実際に作った醤油たれの味見を一ヶ月後にするわけにはいかないので、室温で冷めてからスープで割って味わった。
化学調味料をまったく使っていないのだが、中華料理専門店で感じる味に仕上がっていた。
スープは鶏ガラと鶏脚を中心にしたので、あっさりした味に梅肉の酸味がほどよく聞いた醤油たれがマッチした。
すりおろしにんにくやすりおろし生姜は瓶に入って売っている。
業務用ならもっと大きなプラスチック容器でも売っている。
しかし、次の試作では包丁で生姜とにんにくをみじん切りにして試作してみようと思った。また、砂糖を減らすか砂糖を入れずに老酒や日本酒で甘味を代替できないかも試す予定だ。
===2019年5月13日===
2019年5月11日。
7937.5/11/2019
ここから…66
=ベース=
中華料理にも、日本料理の合わせ出汁、フランス料理のフォンドヴォーのように料理のベースになるスープがある。
日本料理では「出汁をひく」という言い方をするが、中華料理では「スープをとる(吊湯でぃやおたん)」と呼ぶ。
毛湯(まおたん)
一般的なスープのこと。鶏ガラや鶏脚(もみじ)、豚のすね肉などを使ってとるスープ。
上湯(しゃんたん)
豚の赤身肉、鶏肉、ハムなどを材料にした広東料理の高級スープ。上品でコクのある味わいがある。これらの材料を蒸して煮だしたスープは頂湯(でぃんたん)と呼ばれ、さらに高級なスープになる。
清湯(ちんたん)
旨味が十分に抽出されていたながら、皿の底が透けて見えるほど澄み渡った高級スープ。鶏の挽肉を何度も挽いてペースト状にして紹興酒や水を少しずつ加えながら火にかける。
白湯(ぱいたん)
豚の骨や足、背脂、老鶏などを使ったスープ。沸騰状態で長時間煮出す。牛乳のように白濁している。豚骨ラーメンのスープとしても使われる。
食堂ではスープそのものに高価な食材を使うと、出来上がりの料理原価が高くなるので、安い食材でおいしいスープを目指す。
そのため、毛湯を作り、メニューのベースにする。
主な食材は、鶏ガラ、鶏脚、豚肉、牛スネ肉、長葱の頭、生姜、粒胡椒。
これらの配合をこれから試作で決めていく。
地元の大船には昔から鶏肉の専門店「鳥恵(とりけい)」がある。
飲食店を併設していて、ここは開店前から平日でも常連客がいつも数人並ぶほどの人気店だ。
先日、鳥恵で鶏脚を頼んだら取り寄せになるという。
「最低どれぐらいから頼めますか」
一般家庭で試しに使うつもりと思われたか不安になる。
「500ぐらいからなら」
肉にしたら500グラムというのは大きな単位だ。爪のついた鶏の足がいったい何本になるのだろう。
「じゃぁ、1キロお願いします」
一瞬、えっという顔をお店の人にされた。連絡先を聞かれたので食堂の名刺を出した。
「あー、食店さんですか。どちらで?」
これから開店を目指していることを伝えた。
「スープの試作をしたいので、食材を決めているところなんです」
「ぜひ、今後もよろしくお願いします」
逆に頭を下げられてしまった。
専門学校のレシピでは豚肉ではなく豚骨だった。いわゆる「げんこつ」という部分だ。いい出汁がとれるそうだが、最終的には捨てることになる。それなら煮豚を作るプロセスとしてスープで煮出せば一石二鳥になると考えた。
今度、特製醤油たれも試作するので、煮豚ができたら、それに漬けてチャーシューにすることもできる。
中華スープは、炒め物にも煮物にも使う。味付けをしてスープとしても使える。
やったことがないが、味噌でとけば味噌汁になると思うので、定食に使おうと考えている。
炒飯に添えるスープには醤油たれを少量加えて琥珀色のスープにできる。
盛業している中華専門店が「スープが終わったので、本日はおしまいです」という張り紙をしていることがある。
そんな閉店時刻前終了をやってみたい。
===2019年5月11日===
中華料理実習で作った三片湯。胡瓜、筍、鶏肉を薄切りにして中華スープの具にした。
2018年4月20日。
7936.5/10/2019
ここから…65
=第一期工事終了=
[内装の解体]
8日から始まった内装の解体。
本日で終了した。
8日と9日の2日間でほとんど終了していた。今日はお店の入り口にする部分に生えていたレッドロビンを取り除いた。
はがされた床下には乾いたコンクリートがきれいに広がっていた。
トイレ、風呂場、キッチン、洗濯機があったところから灰色の塩ビ管が這う。上水か下水の管なのだろう。
むき出しになった天井裏。
灰色、黒、白、赤のビニル線が縦横無尽に行きかう。
電気、電話、ケーブルテレビの線なのだろうか。
父が住んでいた別棟は、今回の解体まで建築から天井をはがしたことはないので、こういったビニル線は工事の段階で設置したのだろう。
外壁と内壁の間には断熱と消音を果たす黄色い「マットエース」という綿のようなものが敷き詰められていた。
施工不良が社会問題になっている集合住宅会社は、こういう見えないところで手抜き工事をしていたのかもしれない。
大工さんに聞いた。
「この底のコンクリートを基礎というんですか?」
「いえいえ、この根太が乗っている部分が基礎です」
なるほど、建物が基礎の上にきっちりと乗っている。
定期的にシロアリ駆除の業者さんをお願いしているのだが、業者さんたちはこの空間で仕事をしていたのか。
よく見ると、基礎が外部のスロープ部分よりもやや高くなっていた。
外部の高さと店内の高さを同じにしたいので、建築工事が始まったら、今度は基礎を削ることになるのかもしれない。
母屋との境界はおそらく壁も断熱材も撤去され、防火対策が施される。
床面を下げるので、天井を下げることができ、それだけ天井裏に空間ができ埋め込み式のエアコンが入りやすくなる。
これからここに建築図面を書く設計士の方が来られる。
具体的な日程はこれから決まる。
壁と壁との距離や床と天井の距離は図面だけでは把握できないので、解体して確認しましょう。
前回の打ち合わせで大工さんが言った意味がよくわかる。
壁を外して断熱材を除去すれば母屋との間の距離がわかる。それによって内側の空間がさらに広がったり、狭くなったりする。
骨組みが出てきた空間に、食堂の空間を想像する。
===2019年5月10日===
飲食店の開業はすでにあるお店をそのまま利用する居抜きという方法、まったく何もないところから作る新築という方法、そしてすでにある建物を改装する方法がある。一回壊して、そこから作る改装で佐々木食堂は創り出される。
2019年5月9日。
7935.5/9/2019
ここから…64
=メニュープラン=
昼と夜と二回に分けて店を開く。
昼は食事がメインの料理にする。
夜はお酒がメインの料理にする。
食事がメインの昼間は、単品と定食が中心になる。
炒飯や焼きそばなどの単品と唐揚げ定食などのご飯もの。
定食はメニューによって香の物か酢の物をセットする。ご飯は白米かチャーハン、味噌汁か中華スープを選べるようにする。
また、シンプルなご飯セットも用意する。
ご飯セットは、白米と香の物と汁物、大根飯と香の物と汁物程度でいいだろう。
定食は揚げ物、炒め物、煮物、蒸し物をレギュラーにする。
活きのいい魚が入った時は、刺身も用意する。
水とほうじ茶は無料で提供する。
紅茶、中国茶、コーヒーは単品だと有料で、定食だと安めのセット料金にする。
ランチタイムの予約は座席のみ、1組2時間以内の利用。ラストオーダーが13時半なので、11時からか13時からに限定する。来店してからオーダーを選んでいただく。
お酒がメインの夜は、単品とおつまみが中心になる。
食品ロスをなくすため、昼間のおかずとして残った食材を作り直して仕上げる。
また、ピザや冷ややっこ、牛ステーキなど中華とは関係ない料理も単品として出す。おつまみサイズなので、大げさな料理にはしない。
昼間のご飯が残っていれば、ご飯ものも出すことができる。
ディナータイムの予約は座席だけでなく、お任せメニューも用意する。お任せメニューは3人以上のお客さんに限り2000円で4品か、3000円で6品の選択制。
人数が多いお客さんが確実に来られることが分かっている場合は、事前に仕込んでおいた方が予約されたメンバーにあまり時間差をつけることなく、料理が出せる。
1組2時間以内の利用で、ラストオーダーが20時半なので、17時からか19時からに限定する。
大根がおいしい冬から春には切り干し大根やみぞれ鍋など、限定メニューも考える。
白菜がおいしい秋から冬には白菜と鶏団子のスープなど、限定メニューも考える。
お正月には伊達巻や膾も準備したい。
裏メニューはあくまでも「裏」なので、親しい方にのみ、こっそり教える。
飲み物はいわゆる市販品のジュースは置かない。
生ビール、日本酒、焼酎、老酒、果実酒を用意する。お酒を飲まない方には中国茶、紅茶、コーヒー、緑茶を用意する。
すべてのメニューのレシピを作成してから、材料の検討を行う。
その過程で、ほかには使わない材料が多いメニューは除外する。
反対に材料の汎用性が高いメニューは、少しかたちをかえて追加する。
それらを調理して試食。味を検討して原価計算に入る。
どんなにおいしくても原価が高いメニューは、売価も高くなるのでメニューからは除外する。
解体工事二日目。ギコギコ、ガタガタする解体音を聴きながら、きょうは何を試作するか考えている。
===2019年5月9日===
左側の壁には手前から冷蔵庫、キッチン、洗濯機が並んでいた。ダクトの向こう側は風呂場だった。茶色の扉はトイレ。ここはそのまま残すので手つかず。天井がきれいにはがされ、思っていた以上に空間が広いことに気づいた。
2019年5月8日。
7934.5/8/2019
ここから…63
=工事始まる=
[内装の解体]
5月7日。
大工さん、水道屋さん、ガス屋さん、電気屋さんがそれぞれ来られた。
内装の解体前にメーターを止めたり、コンセントを外したりする。
夜になってあらためて父が住んだ、その部屋に入った。
父はここで料理を作り、ラジオを聞き、風呂に入り、トイレを使った。
晩年には仏壇を2階から下ろしてここで般若心経を唱えることもあった。
すべての荷物が除去され、壁の展示物もなくなった。
エアコンのダクトも外されていた。
キッチン下の扉が外され、中の配管が丸見えになっていた。
それもきっと水道屋さんが撤去したのだろう、床から飛び出す配管のみで、蛇口につながる配管は見当たらなかった。
快晴の5月8日。
ウッドデッキの工事でお世話になった解体専門の業者さんが早朝から来られた。
お店として使うのは父が住んだ住居の1階部分のみ。
2階は残す。
書斎兼寝室として使っていた。大きな机とベッドは、今も使える状態で残している。食堂の事務機能を果たすかもしれないし、妹や親族が来た時の宿泊所になるかもしれない。
もしかしたら遅くまで飲んで帰る電車が無くなった知古のお客さんの宿にするかも。
いくつもの専門工具を運び込み、解体が始まった。
ドアの前には2階にまで届くほど成長したレッドロビンがある。それも運び出す。根を張っているので造園屋さんに任せる。
洗濯機と冷蔵庫は処分するのに費用がかかる。
また鎌倉市に提出する処分関連の書類を作成しなければならない。
業者さんが用意してくれた書類に必要事項を記入した。
部屋のもっとも奥に風呂場がある。
風呂場はキッチンの一部になるので、完全に解体する。風呂場の壁にあたる部分にドアをつけて出入りができるようにする。仕入れ口として利用する。
母屋にあたる拙宅との境界にある壁も?がす。
ここには高熱を発する中華コンロを設置するので、壁の内側に防火処理が必要になる。
表面はステンレスを張っても、その内側が木材の場合、長い時間をかけて自然に炭化してしまうのだそうだ。築地場外で有名な老舗ラーメン店が出火したのも、それが原因だった。
開業には消防署の許可も必要なので、防火処理はやらねばならない工事だ。
靴を脱ぐ住居構造から、靴を脱がない店舗構造へ変えるので、床は完全に?がす。
これによって、基礎部分が床からどれだけ深いかがわかる。
ここに水道屋さんがグリストラップ(汚水処理槽)を設置する。これを設置してから配管を決めてコンクリートを打つ。
専門学校に通って、あらためて料理人は職人だと感じた。
経験と勘に技術と知識を駆使して、目指す料理を作る。妥協はしない。
仕事は違うが、解体業者さんも、手はずを整え、器材を準備し、段取り通りに仕事を進めていく。無駄がなく、無理もない。
職人の仕事っぷりを見ていると飽きない。
===2019年5月8日===
内装が解体される直前の部屋。2019年5月8日。
7933.5/6/2019
ここから…62
=メニュー候補=
[豆鼓爆肉どぅちぃばぉろぅ]
豚肉の豆鼓炒め
豆鼓醤は中華味噌の一つ。大豆のうち、黒豆を塩漬けにさせて発酵させた豆鼓をペースト状にして調味料を加えたもの。料理に大豆独特のコクと香りをつける。
鶏肉との相性がいいが、値段が手ごろな豚肉でももちろん使える。
これは野菜炒めとしてメニューにしようと考えている。
それぐらい手ごろにでき、料理としても完成している。
専門学校での調理実習をベースにしたオリジナルレシピがほぼ定着した。
豚肉スライス 100g
一口サイズに切るので、最初から細切れになっているものでもいい。
あまり細かくカットすると食感がなくなるので、5センチ幅はほしい。
バラ、肩ロースなどある程度脂がある部位がいい。
下味調味料
1塩 少々
2胡椒 少々
3老酒 大匙1
4醤油 小匙1
5片栗粉 大匙1
6油 少々
ピーマン 1個
キャベツ 100g
人参 1/4本
干しシイタケ 2枚
大根皮 20g
豆鼓醤 大匙1
ニンニク 1片
生姜 1片
スナップエンドウ 10個
アスパラガス 3本
1:豚肉をカットして下味を順番ごとにつけてもむ。
2:ピーマンは両端を取りワタをぬいて一口サイズにカット。
3:キャベツは一口サイズにカット。
4:人参は火の通りをよくするために長さ3センチ、幅1センチ程度の拍子切りか千切りに。
5:干しシイタケは水で戻し、斜め切りに。
6:大根皮は火が通りにくいので、千切りに。
野菜によってカットサイズが異なるのは、いっしょに鍋に入れて炒めるので火の通り時間をそろえるため。
7:ニンニクと生姜はみじん切りに。
8:熱した鍋に油をたらし、豚肉を炒めほぐし、火が通ったらパットにあける。
9:やや多めの油を鍋にたらし、鍋に縁に油を寄せてニンニクと生姜を落とし、油に香りをつける。香りがついたら豆鼓醤を入れて、油に味をつける。
10:野菜を全部鍋に入れて炒める。短時間で仕上げたいので強火にして何度かあおり、油を全体になじませる。
11:パットの豚肉を入れて、さらにあおる。
12:ゆでたスナップエンドウとアスパラガスを入れて数回混ぜたら火を止めて皿に盛る。
豆鼓醤と塩ゆでしたスナップエンドウとアスパラガスに味が付いているので、これだけで味はある。もしも塩味やコクを追加したいときは11で味見をする。
私は大根を買うと、いつも丸々一本を一度に切裁してしまう。
鮮度を生かして使わないと、大根は皮の張りが無くなって皮膚のようになる。
皮を厚く剥いて干す。これは水に戻せば甘味がきいた食材になる。
身の多くは桂剥きから千切りにしてサラダや汁物に使う。
芯になる部分は糠に漬けて食べる。
だから、ここで使った大根の皮は干したものだ。干した大根の皮がなければ無理に大根を使う必要はない。大根そのものを使うと水っぽくなってしまう。
また糠には水分を吸わせる目的で干しシイタケを入れている。
これを時々取り出して細切れにして料理に使う。水分を吸ってやわらかくなったシイタケから食材に旨味が染み出す。
===2019年5月6日===
専門学校の卒業と同時に、毎日が自分のものになった。かつては休みの日には昼から街に出て食事と酒を楽しんでいた。しかし、いつでも昼呑みが可能な状況になったので、これではいけないと週に二日の休肝日を始めた。休肝日には庖丁を握れるので、ちょうどメニュー開発にあてられると思い、夕飯当番をしている。この豚肉の豆鼓炒めもその作品。2019年5月5日。
7932.5/5/2019
ここから…61
=メニュー候補=
[青椒肉絲ちんじゃぉろぅすぅ]
青椒(ちんじゃぉ)とはピーマンのこと。
肉(ろぅ)とは一般的に豚肉のこと。
絲(すぅ)とは千切りのこと。太さが4ミリ、長さが5センチから6センチ。
このままだとピーマンと豚肉を千切りにした料理という意味になる。
正確には滑炒(ほあちゃお)青椒肉絲。
滑炒とは、材料に下味をつけて油通しした素材を炒め、でんぷんを加えた合わせ調味料を加えて短時間で仕上げる調理法のこと。
これはほぼレシピが完成した。
5人から6人分のレシピ(佐々木食堂編)
豚もも肉 250g
スライスをするので、最初からスライス肉を買ってもいい
下味調味料
1塩 小匙1/4
2胡椒 少々
3老酒 大匙1
4全卵 大匙3
5水 大匙1
6片栗粉 大匙1
7油 大匙2
ピーマン 4個
赤ピーマン 1個
なければ赤パプリカでもいい
筍 適量
合わせ調味料
中華スープ 大匙3
醤油 大匙1と1/2
オイスターソース 大匙1/2
老酒 大匙1と1/2
塩 少々
胡椒 少々
砂糖 大匙1/2
水溶き片栗粉 大匙1/2
ニンニク 1片
生姜 1片
長葱 1/4本
ごま油 小匙2
1:筍は斜めに切って節を取り薄切りから千切りにしてボイル2分。必要に応じて灰汁を取る。表面の黄色い硬い部分はむいておく。
2:長葱はたて半分にして斜め千切り。
3:ニンニクは芯を取り小口から千切りへ。芯を取ると臭くなりにくい。
4:生姜は皮を取り小口から千切りへ。
5:ピーマンは両端を取りワタをぬいて千切りへ。
6:豚モモは薄切りにして千切りへ。
千切りにした食材のサイズ感が重要。
それぞれが同じ千切りサイズになるように意識する。
肉は炒めると縮むのでやや大きめに切っておく。
7:6を下味を番号の順番に混ぜて、そのたびにもむ。
8:合わせ調味料を作っておく。
9:鍋で7を油通しする。軽くほぐす。
油通しは中華鍋ではやりやすいが家庭用のフライパンでは難しい。
また油を大量に使うため、慣れていないと火傷の危険がある。
その場合はフライパンで炒めるときに、しっかりと火を通すことを意識する。
10:ピーマンと筍を9に入れてすぐにジャァレンにあげる。
油通しは硬さの異なる素材に均一に火が通るようにする準備作業なので、ピーマンと筍のようにすぐに火が通る素材の場合は、長時間する必要がない。
11:空の鍋に油を落とし、火をつけずにニンニクと生姜を入れる。
12:油に香りが移ったら肉とピーマンと筍を戻し強火で炒める。
13:8を入れて、なじませる。
14:長葱を入れる。
15:ごま油をかけまわして出来上がり。
このレシピでは、やや薄味に出来上がる。
塩味がほしい場合は、13のときに味見をして塩を追加する。
===2019年5月3日===
調理師免許取得を祝って家族、親族でお祝いをした。その時にいただいた筍で作った青椒肉絲。2019年5月4日。
7931.5/3/2019
ここから…60
=メニュー候補=
[湯(たん)]
日本料理の出汁のように、中華料理にもスープがある。
多くの料理の下味に使われる。
スープの取り方は、それぞれのお店によって異なり、その違いがお店の味にもなる。
専門学校の中華料理、最初の実習ではスープの取り方を実習した。
鶏ガラ 2羽分
鶏脚(もみじ) 1本
豚骨 100g
牛スネ肉 100g
葱の頭 1本
生姜 スライス2枚から3枚
粒胡椒 少々
水 3リットル
これは専門学校のレシピだ。
四川鍋(中華料理で使う両方に取っ手のついた大きな鍋)で湯を沸かす。
鶏ガラを半分に折り、内側に残っている内臓の取り残しを除去する。
鶏脚の爪を切る。
豚骨は縦半分に切る。
牛スネは適当な大きさに切る。
湯が沸いたら肉を入れて灰汁を取る。
肉全体が白くなったらジャァレンとお玉ですくって水で洗う。
パットにあげて、鶏ガラに残っている内臓の取り残しをさらに除去する。
寸胴鍋に3リットルの水を入れる。
水のまま肉を入れて、ゆっくり温度を上げていく。強火。
灰汁が中央にたまってきたら弱火にして灰汁を取る。
葱の頭を庖丁の腹でたたき、生姜とともに入れる。
粒胡椒を入れて肉の臭みを除去する。
沸騰させないように気をつけながら2時間から3時間弱火で煮る。沸騰させると蒸発してしまって量が減ってしまう。また乳化してしまって肉の脂分が水に溶け込んでしまう。
佐々木食堂ではこのレシピを参考にして、やや材料は変更する。
年間を通じて大根と人参は使うので、切裁したときの皮を有効に使いたい。
根菜にとって皮の部分は、野菜を土から守る鎧の役割をしている。そこにはビタミンが凝縮されている。少し干して水に戻すと、独特の甘味が抽出される。これらもスープを作るときには活用したい。
日本料理やラーメン店の中には魚介類で出汁を引いたり、スープを取るところがある。
魚に含まれているドコサヘキサエン酸やエイコサペンタエン酸はオメガ3系の不飽和脂肪酸なので、化学的に不安定で酸化しやすい。
またオメガ3系の脂肪酸は加熱すると有効成分が失われてしまう。
その日に作った出汁やスープをその日に使い切るやり方ならばいい。
しかし、中華料理では、このスープをもとにしてさらに味を加えて加熱することが多い。作り置きしたスープを数日間使うこともあるだろう。
スープが酸化したら使い物にならない。
スープの試行には時間がかかるので、早い段階からとりかかろう。
===2019年5月3日===
最初の中華料理実習で作った三片湯(さんぴぇんたん)。3つの薄切り食材のスープ。この時は筍・胡瓜・鶏の笹身を薄切りにした。
2018年4月20日。
7930.5/2/2019
ここから…59
=メニュー候補=
[胡瓜の酢の物]
これは専門学校で初めての実習で教わった。
日本料理の実習だった。
庖丁の使い方や持ち方、研ぎ方の学習の演習として作った料理だ。
酢の物に使う酢は「土佐酢」を作った。
酢 100t
あわせ出汁 300t
塩 少々
淡口(薄口醤油) 大匙3
砂糖 大匙2
これらを鍋で炊いて濾し取り、冷ます。
料理に応じて水を加えて味を加減する。
胡瓜の小口切り。
庖丁は薄刃包丁を使う。使う前に濡らした布巾で刃をぬぐっておくと、切りやすい。
足は肩幅に広げ、やや右足を下げる。胡瓜を抑える左手首はまな板につける。やや前かがみの姿勢になる。
胡瓜の先を「花落ち」と呼ぶ。反対側を「なり口」と呼ぶ。
なり口はえぐみがあるので、庖丁でむいて捨てる。
胡瓜を横半分に切り、切り口をそろえて庖丁の前半分を使って切る。
この時、庖丁を持つ右手の親指と人差し指で刃を包み持ちながら、押しながら切る。
引くときは刃先が胡瓜の断面より少し出るまで戻して、左手人差し指第一関節を庖丁の腹にあてる。庖丁を引きすぎると胡瓜を抑えている左手を切ってしまう。
この方法で胡瓜を小口に切る。
慣れてくると、一ミリで3枚ぐらい切れるようになる。
庖丁がよく研いであれば、胡瓜の細胞が壊れることがないので、どんなに薄くてもしなっとせず、パリッとしている。
小口に切った胡瓜をたて塩に浸す。
たて塩は3%の塩水。海水に近い濃度なので、かなり濃い。この味を舌に覚えさせ、実習では年間を通じて計量をしないでたて塩を作った。
土佐酢に追い鰹をして炊いて、濾しとる。濾した土佐酢はボウルごと氷水で冷やす。
たて塩に浸した胡瓜をよく絞って水気を切る。
これを皿に盛り、土佐酢を食べる直前にふりかけて出来上がり。
胡瓜とともに若布やタコを添えると、逸品として完成する。
胡瓜の酢の物は、庖丁使いの練習で年間を通して自宅で作った。
土佐酢作りをさぼって、市販の酢やポン酢で代替したこともあったが、やはり手間をかけた土佐酢の方がおいしかった。
たて塩にした胡瓜をよくしぼって冷蔵しておけば保存できる。
土佐酢は作り置きできる。
この二点から、メニュー候補に挙げている。
===2019年5月2日===
日本料理実習で作った胡瓜の酢の物、グリーンピースご飯、海老真蒸の椀物。2018年4月27日。