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7329.11/3/2015
高峰の仙丈ケ岳...13



仙丈ケ岳と小仙丈ケ岳の間の稜線は、3000mをこえて、植物が生えていない。
左右に谷が切り立ったアルペンルートだ。
そこから南側に絶景が広がっていた。今回の旅でもっとも目にしたかった風景がこれ。
左の雲海の向こうに日本一の富士山。そのすぐ右側に3193m、日本第二位の北岳。北岳から続く稜線を右にたどったもう一つのピークが日本第三位の間ノ岳(あいのだけ)。スポーツで言ったら、標高の金銀銅が並んで見えるポイントだ。
これを肉眼でしばらく眺めてカメラを構えた。しかし、富士山が肉眼よりも薄くなってしまう。実物はもっと富士山がはっきり見えていた。



小仙丈ケ岳から見る中央アルプスの全山。
全山を一望できるのはぜいたくなことだ。木曽駒ケ岳など主峰がそびえる。
手前の雲の帯は、天竜川に沿ってたなびいている。



小仙丈ケ岳から南側の三山を望む。
雲に浮かぶ富士山、日本第二位の北岳、第三位の間ノ岳が並んでいた。



小仙丈ケ岳から北側斜面を見下ろすと、宿泊した仙丈小屋がはっきりと見えた。
きのうは同じ道を歩いたが霧が濃くて、小屋は見えなかった。
画面の左側斜面を登り、稜線に出て、ぐるっと撮影地まで歩いた。



小仙丈ケ岳から南東側には、南アルプスでも険しさで有名な鳳凰三山がそびえていた。観音岳・薬師岳・地蔵岳を総称して鳳凰三山と呼ぶ。大学時代に登って、さすがにここで死ぬかもと思うほど体力が必要だったことを覚えている。

7328.11/1/2015
高峰の仙丈ケ岳...12



5時10分には小屋のひとたちに挨拶を済ませて、外に出る。



朝焼けの色が映える伊那の町、甲斐駒ケ岳。



仙丈ケ岳頂上に、力強い朝日があたっていた。



5時39分に、仙丈ケ岳へ向かう稜線に出る。
ここは南アルプスの北端にあたる3000mの稜線だ。
雲ひとつないぜいたくな瞬間を独占している。この瞬間を味わうために山に登っていると感じた。目の前に仙丈ケ岳が見えてきた。



前日に続き、3033mの仙丈ケ岳に登頂した。5時47分。
伊那谷と、その向こうに中央アルプス全山が横たわっていた。

7327.10/31/2015
高峰の仙丈ケ岳...11



8月15日。
午前3時ごろから仙丈ケ岳へご来光を見に行くひとたちで、大部屋はがさごそとにぎやかになった。照明はないので、各自のヘッドライトが闇を走る。
わたしは寝床で時刻を確認すると、朝の動き方を計画した。
こういうとき、単独行は気持ちが楽だ。
自分で決めて自分で行動すればいい。
いちいちひとに相談したり、報告したりしなくていいからだ。
5時前にご来光を見てから朝食にすると、早くても小屋を出るのは6時半過ぎになる。それでは朝のアルペンルートには早めの登山者がいるかもしれない。
わたしはご来光を多くのひとが見学している時間帯に朝食をとって、いち早く小屋を出発する計画を立てることにした。これならご来光を拝んで小屋に戻るひととすれ違って、早めに稜線に上がることができる。



4時半。トイレに起きて伊那の町を見る。
雲が広がっていた。仙丈ケ岳の頂上にはご来光を待つひとたちのヘッドライトが光っていた。少しずつ雲が茜色に染まってきた。



3000mにいると、圧倒的に雲は下に見える。
自分のいる場所がとても高いということがよくわかる。



東の空が赤くなってきた。
今頃、稜線にいるひとたちは、厳粛な気持ちになっているのだろう。



4時44分。朝食の準備ができたので、わたしはだれよりも早くいただいた。この時間にがしがし食事をとる能力は、日ごろから鍛えているので問題はない。
逆に、この時間に胃がもたれるとか、食欲がわかないという理由で、栄養補給ができないと、長距離の山行は難しい。
鮭で一膳、ほかのおかずでもう一膳食べて、歯を磨き、トイレを済ませた。

7326.10/27/2015
高峰の仙丈ケ岳...10



夕刻が近づいて、藪沢カールに霧が下りてくる。



山小屋のご主人がつかの間の休息をとる。



甲斐駒ヶ岳は少しずつ夕闇をまとい始めた。



ふもとの高遠や伊那の方角が見え始めた。



あっという間に藪沢カールにも闇が近づいてきた。

まだ下界は明るさを残している。



夕飯は3000mとは思えないほど立派。
電気は自家発電、水道はなし。
ガスはボンベのみ。
こういう環境で果物や生鮮野菜、肉を使った料理を出すのはとても工夫と苦労が必要だ。
そういうことをわかって食べると、残すことはできなくなる。

7325.10/25/2015
高峰の仙丈ケ岳...9



藪沢カールにガスが降りてきた。



甲斐駒ヶ岳がガスに消えていく。



鋸岳もガスの向こうに消えていく。



青空と灰色の雲が同時に山を包み込んでいく。



雲が切れるとまた日光が山肌を照らす。

7324.10/24/2015
高峰の仙丈ケ岳...8



ちなみに「せんじょうじきカール」は千丈敷カールのことで、ここではない。
中央アルプスの木曽駒ケ岳周辺に広がっている。
ここのカールは藪沢カールと呼ばれていた。



仙丈ケ岳と北沢峠をはさむ高峰が甲斐駒ケ岳(かいこまがたけ)。
2967m。
南アルプスの北端だ。



甲斐駒ヶ岳の左側に連なるぎざぎざの峰は鋸岳。
キレットが遠目にも激しく落ち込んでいて、岩場の連続だろうと予想された。



仙丈ヶ岳と仙丈小屋。



山肌が白いのは花崗岩でできているからだ。
右側には摩利支天と言われる岩山があるが、ルートにはなっていない。
午後3時ごろから雲が切れ始めたので、刻々と変わっていく甲斐駒ケ岳の眺めを堪能することができた。
地元では東駒と言われている。
中央アルプスの木曽駒ケ岳は、同じく西駒と言われている。
ここに降った雪や雨がしみこんで、麓から湧く。
山の向こう側の白州と呼ばれる場所では、それがウイスキーとして使われる。
こちら側では稲作の水として使われ、古来から栄養価の高い米ができると評判だ。
ほぼ同じ標高からの眺めなので、見上げる感じがしない。それも小屋泊まりの醍醐味だ。

7323.10/20/2015
高峰の仙丈ケ岳...7



生ビールが900円とは驚くが、これを求めるひとが多いのに、もっと驚いた。
わたしはそれでも高いなぁと思った日本酒をちびちび楽しんだ。



山小屋の午後。
ゆっくりとした時間が流れて、下界の喧噪を忘れる。
この時間に埋もれたくて、ここまで来たのだ。



高遠の銘酒「仙醸」。
口当たりがよくて、読書が進む。



小屋のテーブルで本を読みながら酒を飲んでいたら、窓の外が明るくなってきた。
カメラを手にして外に出る。
午後3時前、仙丈ヶ岳とカールがはっきりと見え始めた。



一番高いのが仙丈ケ岳で3033m。
左側のピークが2864mの独立峰。
小仙丈ケ岳はさらに左手になる。
仙丈ケ岳の右側の稜線を下ると小屋への道が続く。途中には雪渓が残る。
気温は10度ぐらいになってきた。

7322.10/18/2015
高峰の仙丈ケ岳...6



下界は30度の真夏なのに、ここには雪が残っている。
気温は10度前後。



氷河期には氷河があったので、山は氷河が削ったなだらかな滑り台のような地形(カール)を残している。



荷物整理をして小屋の周囲を歩く。



小屋泊まりの山行では、早めに小屋に到着して「歩かない時間」を大切にすると危険が少ない。
本当は景色を堪能したいところだが、この日はガスに覆われて、展望がない。
小屋の周囲の花を眺める。



お盆の南アルプスは登山者で混んでいた。小屋は満員で、ひとりが寝るスペースは毛布を半分に折った広さのみ。荷物は頭の上の棚へ。男女の並びは小屋で考えて、不特定の男女が隣同士にならないように配慮していた。

7321.10/17/2015
高峰の仙丈ケ岳...5



コンロでお湯が沸くまでの間に、周辺を見渡したら、すぐ近くに花が咲いていた。
名前はわからなかった。



仙丈ケ岳でのランチは、ドライカレーとシーフードヌードル。
ドライカレーは近所の薬局でキューレオピンを買ったら当てくじでもらったもの。
シーフードヌードルはおなじみの日清の製品だが、カップのない詰め替え用。
カップがゴミになるので、こういう詰め替え用は山では便利だ。



12時17分。
宿泊する仙丈小屋に到着した。
仙丈小屋は仙丈ケ岳の頂上直下にあり、下りで10分ぐらいだ。
骨組みが鉄骨の頑丈な小屋だった。
一階がトイレと器材室。二階が受付と調理場兼食堂。三階が宿泊室。宿泊室は大部屋だ。
冬は二階まで雪が積もるという。



下界は30度の真夏なのに、ここには雪が残っている。
気温は10度前後。
氷河期には氷河があったので、山は氷河が削ったなだらかな滑り台のような地形(カール)を残している。



発電用の風力計がたくさんあった。

7320.10/14/2015
高峰の仙丈ケ岳...4



10時44分。
3033mの仙丈ケ岳に登頂した。
日本百名山手ぬぐいを出して記念撮影。



気温は10度以下だろう。
ガスが多くて寒い。



今回は単独行だったので、ほかの登山者に写真撮影をお願いした。



それにしても背景が雲ばかりというのは残念だった。



さっそく、ランチの準備をする。
こういうときに専用のコンロは心強い。