7189.1/6/2015
憧れの八ヶ岳...20
山では鹿や猪、熊が生息しているので、山中に入ると遭遇することは珍しくない。
と思って入山した方がいい。
実際には多くの山中の動物は夜行性なので、昼間に行動することは少ない。
昼間はこのような草木の隙間でじっと休息している。
とくに小動物は猛禽類に狙われないように息を潜めている。
一心不乱に何かを探していたヤマネは、大き目の穴を見つけて入っていった。
横風の厳しい稜線に一羽の鳥がやってきて、目の前を案内するように跳ねていく。
ときどきこちらを振り返りながら「早くおいでよ」とでも言いたいようだ。
すずめよりもふた周りぐらい大きな鳥だった。
7188.1/5/2015
憧れの八ヶ岳...19
横岳から赤岳に向かう。
大きな岩場が立ちふさがっていた。
コースはいったん深く谷方面に降りる。
地図で確認しておかないと、道に迷ったのかと勘違いをしてしまう。
鎖は長い年月ここで風雪に耐えてきた。
支柱はひとの重みで傾いている。
稜線に戻ったとき、ヤマネが岩肌でえさを探していた。
こんな環境の厳しいところが、ヤマネの故郷なのだ。
7187.1/4/2015
憧れの八ヶ岳...18
高山では低地のようなゆっくりした春や夏がない。
7月から8月にかけて、一気に春と夏が同時に訪れる。
だから、高山植物は一気に花をつけて、実になっていく。
花びらがしぼんで、種子を風に放出する。
ミヤマキリシマ。
その青さは、高山では強い印象を与える。
閉じた花びらのなかに、黒い点が見える。
もしかすると種子かもしれない。
まだ花の段階なのに、すでに種子を放出しようとしているのか。
7186.1/3/2015
憧れの八ヶ岳...17
8:18に硫黄岳に登頂した。
それからガスと風のなかを1時間歩き続けた。
9:15。
横岳登頂。2829m。
ここも何も見えない。
冬場の横岳はとても危険なコース。
遭難者も出ている。
山頂の道標がとても長い時間を物語っているようだった。
横岳からいよいよ八ヶ岳の主峰である赤岳へ。
歩き始めて、ふたたびお花畑に入った。
7185.1/2/2015
憧れの八ヶ岳...16
なぜ、登るのだろう。
なぜ、山を歩くのだろう。
こういう過酷な条件に見舞われると自問することがある。
しかし、答えはない。
そういうことに神経を使っていると、怪我をする。
いま、目前のことに集中して、危険を回避する。
若葉は、いつもそこにいて、ひとの危険や安全とは無関係に育っていく。
横岳周辺は、とても緊張する場面の多い道が続く。
しかし、こちらの緊張とは無関係に紫の花びらが色鮮やかに迎えてくれる。
きっと来年も、再来年も、ここで咲き続けるのだろう。
7184.1/1/2015
憧れの八ヶ岳...15
赤岩の頭からの1時間。
視界を覆うガスが絶えず東側から西側へ吹き抜けていた。
コマクサの群生地付近では、立って歩くことが困難なほど強い横風に見舞われた。
そのたびに踏ん張り、しゃがみ、風が弱くなるタイミングをみて前進した。
9:01。
一瞬、雲の切れ間が見えて、谷間の町が視界に入った。
美ヶ原や南牧村と思われる。
9:08。
いよいよ横岳の急峻な岩場の連続に入っていく。
鎖の向こう側は一気に西側の沢へと断崖が切り立っている。
7183.12/31/2014
憧れの八ヶ岳...14
3000mの高峰に咲くコマクサは、冬の雪のなかでも根を絶やすことがない。
かつてはこっそり採取するひとが絶えず、北アルプスでは全滅に近い被害が出たこともあった。
町の花屋で売っていて驚いたこともある。
しかし、低地では根付くことがなく、高価なわりには育てにくいということで採取ブームは去った。
そして少しずつコマクサは山に戻りつつある。
それでも横岳周辺のコマクサ群生地にはひとが立ち入れないしっかりとした囲いができていた。
8:57。
群生地の囲いの編み目をぬって撮影した。
7182.12/30/2014
憧れの八ヶ岳...13
方角や行程を頭に刻む。
そうすればたとえ視界が閉ざされても、自分の進むべき道がわかる。
こういう状況では、スマホや携帯で位置情報をつかもうとしても指がかじかんだり、端末が湿気たりしてうまく操作できない。
古典的だが、コンパスと紙の地図が役に立つ。
硫黄岳山頂は、晴れていればこの広さが雄大なのだろう。
硫黄岳の西側をトラバースして、お花畑に入っていく。
8:32。
横岳が近くなってきた。
その証拠に、高山植物の女王と言われるコマクサが出迎えてくれた。
7181.12/29/2014
憧れの八ヶ岳...12
高山植物は、空気が薄く、気圧も低く、強風と低温に耐えて生きている。
過酷な環境に思えるが、それが適した条件なので、無理に低地で育てようとすると根付かない。
ひとつひとつは指の先ほどもない小さな花びらが懸命に風にあらがっていた。
おしべとめしべがちゃんとついていて、遺伝子を残そうと必死に生きている。
8:18。
硫黄岳登頂。
広い山頂だが、何も見えない。
こういう状況で案内地図を見ているひとたちは、とても危険だ。その日の行程は、歩く前にしっかりと頭に刻んでおかなければいけない。
7180.12/27/2014
No.7180
憧れの八ヶ岳...11
八ヶ岳の稜線は2800mを超えているところが多い。
だから、植物は生えることができずに、地面がむき出しになる。
赤岩の頭から硫黄岳に続く道。
ちょうど季節は高山植物が咲き乱れる時期だった。
晴れていなかったのは残念だったが、しずくで化粧したかれんな花を見つけることができた。
硫黄岳周辺は、高山植物の花畑が有名なところだ。
複数の種類の花が咲き乱れている。
当然だが、採取はしてはいけない。