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6089.1/21/2009
坂の下の関所..3

 「こんばんは」
関所の向かいにある部品メーカー「首都リーブス」の社員が入店する。
「あら、いらっしゃい。きょうは早いわね」
若女将は、プラスティック製のコップを取り出し、生ビールを注ぐ。注文を聞かなくても常連の考えていることは分かっている。
「全然、仕事がねぇよ。アメリカのサブなんとかのせいで、もう一ヶ月以上の定時に帰れとの指示だ」
小銭を渡して、風呂上りで上気した社員はうまそうに生ビールを喉に流し込む。
「早く帰れていいじゃないの」
「それがさ、俺たちは日勤制だから、仕事がなければ給料もないわけ。月給制とは違うのよ」
 わたしは、店の隅の方に立ち位置をずらす。こういう話題は、必ず最後は「いいなぁ、公務員は」とうい落ちにたどり着くからだ。景気のいいときは、ボーナスだぁ、残業だぁとわたしよりもずっと羽振りがいいのだが、景気が悪くなったとたんに安定職の公務員をうらやましがる。以前、「だったら、いまからでも公務員試験を受ければいいのに」と言ったら、相手との雰囲気が悪くなった。その記憶があるので、こういう話題には関わらないほうがいいと学習した。
 ぐぐっとビールを飲み干して、社員は颯爽と帰っていく。愚痴の割には、動きがいい。
 壁の時計が5時半を指した。
「はい、どうも」
大柄な相田さんが入店する。モノレールの駅近くにある塗料メーカー「シンロート」に勤務している。蛍光塗料専門の工場だ。日本国内のほとんどのシェアを占めている。
「あれ、センセー早いじゃん」
店の隅から定位置に戻ったわたしを見つける。
「そんなことないよ。いつもこんな時間だって」
「センセーって、いつもそんな恰好で父兄とかに怒られないの」
質問に応じたはずなのに、会話が接線的になる。これは相田さんの特徴だ。相手の言葉に反応せず、自分の考えが優先して言葉になってしまう。いまどき父兄という死語をまだ使っている貴重な30代後半の独身だ。
「いいの。職場に行ったら着替えているから」
相田さんは、わたしの言葉など聞く耳も持たないで、奥の保冷倉庫に直行する。やがて、そこからキープしているウイスキーを持参して氷で割る。あまりにもウイスキーのサイズが大きいから、わたしが一升瓶をキープしているクーラーにさえ入りきらないのだ。

6088.1/20/2009
坂の下の関所..2

 「こんばんは」
 春から夏にかけては、まだ周囲が明るいので、こんにちはと言いながら店に入るが、秋から冬は、周囲が暗いので、「こんばんは」になってしまう。
「はい、お帰りなさい」
関所の番人、酒屋の若女将がいつものレジで迎えてくれる。わたしよりも5歳ぐらい年齢は上だが、肌のつややしゃきしゃきとした喋り方は、とても50歳を越えているとは思えない。瑞々しさを感じる。
「こないだのウニ、ぷりぷりしていておいしかったぁ」
築地に買出しに行ったとき、お土産に海産物をいくつか見繕ってプレゼントした。そのなかに、北海道産の馬糞ウニが含まれていた。
「よかったぁ」
「あれだけで、お酒が進んじゃった。何しろ、お酒だけは売るほどあるからね」
その通り。関所の本業は酒屋なのだから。
 お店に入ってレジの横、わたしの定位置に荷物を降ろす。ここに集まる人たちの暗黙の了解で、お店に入って目立つところに陣取ってはいけないことになっている。一般の買い物に来たひとが、入店していきなりコップ片手の呑兵衛を見たら、印象を悪くするだろうという配慮だ。
「なんだよ、センセー。俺のウニはないのかよ」
 なぜだか、この店の常連から、わたしはセンセーの愛称で通っている。乾きものの棚の陰から、永田さんが口を尖らす。
「あ、こんばんは。いらしたんですか。見えなかったもので」
「悪かったな。俺はどうせ背が小さいんだよ」
「いえ、決してそういうわけじゃなくて」
棚の陰で、静かにちびりちびり酒を飲んでいた永田さんは、話し相手ができて嬉しそうだ。
 わたしは、いつも一升瓶を冷やしているクーラーケースの扉を開ける。一升瓶の口にガラスのコップを裏返して伏せている。そのコップを使って飲む。いままでは、飲むたびに紙コップを借りていた。でも、エコということで、ガラスのコップを買ってきて使いまわすことにした。
「あれ、コップが生まれ変わっているよ」
わたしは、いつものガラスのコップではなく、江戸切子の高価に見えるグラスを見つけた。
「センセー、ごめん。割っちゃってさ。代わりのコップにしておいたの」
 あのコップは200円ぐらいだった。ピンチヒッターのグラスは、どう見てもその10倍以上はしそうな輝きを放つ。

6087.1/19/2009
坂の下の関所..1

一章

 日暮れ時のモノレールを降りる。日本で2つしかないという懸垂式のモノレールは、ひどく揺れる。大船から湘南江ノ島をわずか13分で結ぶ湘南モノレールは、2つしかないモノレールのうちの一つだ。懸垂式とは、レールの下に車体がぶら下がって走行する方式だ。開通当初は落下したら怖いと思って乗らなかったが、慣れてみれば、渋滞でちっとも進まないバスでいらいらすることなく、限りなく定時走行してくれるモノレールがありがたくなった。
 わたしは、いつもの揺れにからだをあずけ、倒れないように足を踏ん張りながら読書をする。最近では老眼鏡が手放せない。わずかな時間でも、きのうの続きの読書の時間は、頭とこころに憩いを与えてくれる。
 モノレールを降りてからは、文庫本をかばんにしまい、老眼鏡をケースに入れながら、いつもの道を帰る。
 バス通りに平行する裏道。車は通れないほどの細い道だ。バス通りと違って、街灯が少なく、秋から冬にかけての帰宅時は、足元が見えないほどの暗さに包まれる。
 塩素の臭いが鼻をつく。戦後から続く老舗の銭湯が見えてきた。若旦那がとなりの駐車場との境で、空を見上げる。わたしは、右手を上げて帰宅を宣言する。彼も、呼応して右手を上げる。声は掛け合わない。
 細かった道は、やがて車道に突き当たる。左右を確かめ、横断すると、ふたたび車が通れない路地に入る。緩やかなのぼり勾配が始まる。わたしの住む家は、そこから始まる坂の中腹にあるのだ。
 かつて、小料理屋があった。年に数回、地元の仲間と宴会をした。大家との折り合いが悪かったらしく、数年前に立ち退いた。いまは更地になって、不動産屋の「借地」という看板が小さく立ったままだ。更地には、いくつもの雑草が茂り始めた。
 小料理屋があった場所を通り過ぎると、路地はふたたび車道に突き当たる。わたしは、そこを右折する。小さな交差点がある。
 右手に花屋。左手に酒屋。交差点を隔てて、右手に八百屋。左手に教会。どれも、チェーン店ではない。
 のぼり勾配は、交差点を左折する方向に続いていく。
 つまり、さぁこれから坂が始まるという位置に、いつもの関所が待っているのだ。
 モノレールを降りてからここまで3分ぐらいだろうか。出勤のときは足取りが重く、まだシャッターが閉まっている関所を尻目に、モノレールの駅まで5分ぐらいかけている気がするが、帰りは反対に、1分ぐらいで戻ってしまう気分になる。
 関所には、ひとがいる、酒がある、食べ物がある、笑いや悲しみがあふれている。

6086.1/18/2009
創り出す会の足音...No.115
フリースクール運営の舞台裏

 2005年6月から9月にかけてのおもなスケジュール。
6月18日(土)第94回定例会 9:30から市民活動推進センターで
7月2日(土)湘南憧学校運営委員会 15:30から湘南憧学校で 会報94号発送事務作業あり
7月23日(土)第95回定例会 9:30から市民活動推進センターで
7月24日(日)湘南憧学校・子どもバザーに出店
8月15日(月)夢キャン2005実行委員会 9:30から市民活動推進センターで
8月23日(火)から25日(木)夢キャン2005 少年の森
8月27日(土)日本型チャータースクール推進センター合宿 藤沢
9月10日(土)湘南憧学校運営委員会 15:30から湘南憧学校で 会報95号発送事務作業あり
9月23日(金)第96回定例会 9:30から市民活動推進センターで
 第96回定例会(2005.09.23)で、夢キャン2005の会計報告が出された。
 総収入:270000円
 総支出:107025円
 差引残高:162975円
 この差引残高が、湘南憧学校の運営資金に充当された。
……(定例会の記録より)
■財務
今月末の法人の財務状況が報告されました。
このままでは年度末にわずかな繰越金しか残らないきわめて厳しい状況です。
年が変わっての新年度会員獲得が大きな繰越金増につながるので各自鋭意努力しましょう。
……
 湘南憧学校開校から1年半で、すでに法人の財政は見通しが悪くなっていた。
 湘南憧学校という継続的な事業を柱に、イベントとしての夢キャン2005を実施した。補助金の申請は、いくつもしたが、どれも断られた。
 火の車の運営とは対照的に、湘南憧学校は支援者の力によって教育活動を軌道に乗せていた。シーサーつくりや山の微生物の観察などを企画して、鎌倉の自然とひとの力を得ながら、こどもたちに、自らかかわっていく学びを実践していた。

6085.1/17/2009
創り出す会の足音...No.114
フリースクール運営の舞台裏

 第94回定例会(2005.06.18)では、財政的に運営が難しいフリースクールをバックアップするための事業として、夏に計画している「夢キャン2005」の参加申し込み状況と内容について検討している。
 夢キャンは、学びの主人公をこどもにした新しい学校の創設を目指して開校した。2000年の夏から毎年継続的に開校し、支援のノウハウやこどもたちの教材などを蓄積して、すでに役割は終えていた。
 しかし、夢キャンに参加したこどもたちは湘南憧学校には参加していない。
 夏休みだからこそ、参加した多くのこどもたちは、課業中に開校している湘南憧学校への入学は、本人も保護者も決断しにくかったのだろう。何らかの訳があって不登校になり、湘南憧学校に入学したこどもたちと、現在通っている学校を辞める理由が見当たらないこどもたちとでは、立脚している地平が違うと感じた。
 6月段階での申込者は15人。この人数では湘南憧学校を財政的にバックアップするには困難だった。夏に向かって参加者が増えることを祈りつつ、計画を進めていく。
……(定例会の記録より)
■湘南憧学校のスタッフについて
今後、湘南憧学校への入学者が年度途中でも増加する可能性があり、現在のままのスタッフでは人数的に対応できなくなることが考えられます。
そこで、非常勤のスタッフを日常的に配置できるような体制をいまから作っておく必要が前回の定例会から意見として出されていました。
今回の定例会では、具体的な可能性について検討しました。
行政の人材派遣制度を使う・秋からスタートする居場所作りのサポーターを使う・学生で興味ある人を探すなど。引き続き7月の定例会でも、方向性と具体案を検討することになりました。
……
 民間団体がフリースクールを運営する場合、こどもの指導や支援にあたるスタッフの確保は、最重要課題だ。ひとが多く集まればいいというわけではない。そのひとたちへの金銭的な準備や、社会保障面でのサポートも含めた計画が必要になってくる。当時は、そしておそらく現在も、民間団体への人的援助を含めた行政からのアプローチは皆無に等しい。そのような制度や法律も、見当たらない。

6084.1/13/2009
創り出す会の足音...No.113
フリースクール運営の舞台裏

 第93回定例会(2005.05.28)では、教員スタッフの勤務について検討している。
……
■1人勤務への対応
なるべく1人勤務のない方向で勤務体制を考えていくのが望ましいと思います。 子どもの活動場所が分かれてしまうときにおとなの対応が難しいというスタッフからの現実的な課題が出されました。
……
 もともと定員割れで開校した湘南憧学校は、こどもが少ないのでスタッフへの十分な手当てを支払うことができなかった。そのため、こどもが少ない日にはスタッフが1人で勤務していただく日を設定していた。
 しかし、たとえこどもが少ないと言っても、指導者が1人というのは支援や指導が困難に直面する。とくにこどもの意思を尊重しようという湘南憧学校では、公園に行きたい・学校にいたいとそれぞれのこどもが選ぶ学習場所が分かれたときに、どちらかにがまんしてもらわなければならないのが現実だった。
 こどもからの授業料を運営資金のほとんどにしていた湘南憧学校は、資金面での問題をいつも抱えながら、夢を追いかける毎日だったと言えた。民間企業やNPOなどの助成金や補助金への申請を、何度も出しましたが、すべて断られた。歳出のほとんどを占める人件費には、助成金や補助金を使ってはいけないという規定が多かったからだ。

6083.1/12/2009
創り出す会の足音...No.112
フリースクール運営の舞台裏

 2004年度から、法人として本格的な事業:フリースクールを開始した。それまでのテストスクールの積み重ねをもとにしての出発だった。
 2年目を迎えた2005年度は、事業継続の事務的な仕事は初年度よりも見通しが持てるようになっていた。
 毎月の定例会では、話し合いのほとんどを湘南憧学校関連の内容が占めた。
 第92回定例会(2005.04.23)の記録では、以下のことを検討している。
■給与
3人の支援スタッフの雇用・給与契約が決まりました。
■労災・雇用保険の更新と変更
13日に労災・雇用保険の更新と変更を社会労務士にお願いしました。
■賃貸契約の更新
2005年度の湘南憧学校賃貸契約の契約書に署名押印しました。
■郵便局自動引き落としの変更
昨年度の給与と変更になったため、郵便局からの給与自動引き落としの変更届が完了しました。
■長期欠席
今月末から来月初めにかけて長期欠席の申し出がありました。担当で、長期欠席申請書と受諾書を作成し、本人からの申請を完了しています。長期欠席の場合、1日につき1000円を返金します。
■定期券
当初、子どもの定期券は在学証明書を発行する学校にしか認められていないのかと思っていましたが、県に確認したところフリースクールでも可能になっているとの連絡を受け、各交通機関との間に連絡を取り合いました。
江ノ電はとても提出する書類が多くあります。
小田急は専用の用紙が必要です。
JRは手続きなしでOKです。
■文部科学省放課後居場所事業
湘南憧学校の放課後を子どもたちを預かる施設として開放し、湘南憧学校が場所を提供し、賃貸料を徴収する計画が進んでいます。当面は週に2回ぐらい、8月ごろからの開始の予定です。
■事務処理の変更
特定口座の連絡票が届く場所が変わったので、これまでと物販・会員登録の方法を変更する必要性が生じています。7日の運営委員会で検討することにしました。
■パンフレット
2005年版の湘南憧学校のパンフレットの増刷要望がありました。
■登校日の振り替え
毎日ではない登校を選択している場合、保護者からの申し出もあり、事前に湘南憧学校を欠席しなければならないことがわかっているときは、別の日に登校日を振り返ることを可能にしました。
■交通費がかかるプラン
子どもたちと学びの計画を立てるなかで、遠方に行きたいという計画があります。遠方の場合は、交通費がかかるので、単純に子どもの計画だからと全部肯定していいものかどうか悩んでいるという相談がありました。保護者とともに、このようなケースについて、どのようにしていったらいいのかを話し合うことになりました。

6082.1/11/2009
創り出す会の足音...No.111
2005年度 新しい学びの創造へ

2006.1.31 by H.H
オプションタイム
 湘南憧学校では、オプションタイムという時間があります。
 スタッフなどの大人が子どもたちに学習内容を提示し、活動する時間です。
 11月から月に一度、このオプションタイムに協力して下さっているKさんがいます。Kさんは、公立学校の教員をしていた方で、仮説実験授業の研究や実践もしておられました。その実践を湘南憧学校でも披露して下さっています。これまで、キミコ方式の絵の描き方やホロスコープ作りなどの楽しい内容を教えて下さいました。
 そして今月は、雪の結晶の切り絵作り。折り紙を3つに折り、専用の用紙を重ねて線にそって切ってみると、なかなか複雑できれいな雪の結晶模様が現れます。開いてみるまでわからないので、開く瞬間がなんとも楽しい活動です。説明を聞いて始めると、子ども達は一言もしゃべらずに、黙々と手を動かし始めました。出来あがると、「見て見て!こんな形になったよ!」と何とも楽しそうな声が上がりました。この日だけで全部で20種類くらいの美しい雪の結晶が出来あがりました。
〜子ども達の一言感想より〜
・首がいたくなったけど、とーっても楽しかった
・切るのがとっても楽しかった
・むずかしかったけど、おもしろかった
・一番むずかしいやつが、横浜中華街みたいになった
 ほとんど無償で協力してくださっているKさんの存在は、本当に有り難いものです。そしてこのような形で湘南憧学校の活動を支えてくださる方がいることを、とても心強く感じています。
 また今月は、都内の大学1年生の方が3名、見学に来てくれました。公園で一緒にドッヂボールやサッカーをしてくれ子ども達はとても喜んでいました。
 少しずつでも、少しの人にでも、湘南憧学校の存在を知ってもらい、いろんな形で協力して下さる輪が広がっていくといいなと思います。そのためにも日々の活動を大切にしたいと思っています。

6081.1/9/2009
創り出す会の足音...No.110
2005年度 新しい学びの創造へ

2005.11.08 by H.H
はじめてのプレゼンテーション
 11月5日土曜日。湘南憧学校では、はじめてのプレゼンテーションを行いました。今回は、これまでの学びの中から、自分で発表するものを決めて、各自ブースを作っての発表形式にしました。
 Mさんは、学校で考えた漫画キャラクター12人の紹介とマンガ本の発表でした。12人の女の子は、4種類のチームごとになっていて、それぞれ目印のペンダントをつけています。名前や年齢など、細かいキャラクター設定も書かれていました。また、マンガ本を作るときに必要なトーンを、どこに何を使うかという設定表も作成して展示していました。どの絵をみても、昨年入学した時から比べると、本当に上達しているのがわかります。
 Fくんは、去年から作成しているマンガ本1巻〜15巻の発表をしました。キャラクターのプロフィールの紹介や、関係図なども一緒に展示していました。準備の時間にマンガ本を並べる時、どのように並べたらいいのか悩んでいました。その結果、机の上に平に並べるのではなく、ブックエンドを使って、見る人が取り出しやすいように並べることにしていました。今までスタッフや他の子ども達にも、なかなか恥ずかしがって本を見せたがることも少なかった彼が、こんな風に自分の本を並べて、みんなに見てもらうようになったことは、とても大きな事実だと感じました。
 AくんとNくんは、落語の発表を行ないました。これまでも、夏休みの海の家での発表など、落語を聴いてもらう機会をもってきた彼らですが、今回の発表にあたっては、事前にアンケート用紙を作成して配布していました。また自分たちの落語の活動のために募金のお願いまでするというおまけつき。落語も募金のお願いも、実に堂々と述べていました。
 保護者6名、スタッフ5名、見学者2名の大人たちの前で、どの子も、自分なりの発表ができたのではないかと思います。
 <少し恥ずかしそうに、でもうれしそうに><自分の好きなことを聞かれて、自信を持って>質問されたことに答えていた子どもたちの顔がとても印象に残りました。

6080.1/8/2009
創り出す会の足音...No.109
2005年度 新しい学びの創造へ

2005.09.24 by H.H
熱中
 今週の火曜日のレインボータイム。
 ふと気がつくと、子ども達一人一人がもくもくと作業している。
 マンガが好きなAさんは、マンガを描く専用の原稿用紙にペンを使って、マンガ描き。
 さらにこの日は家から、トーンと呼ばれる専用の用紙を20種類ほど持ってきて、描いたマンガに貼っていく。カッターやへらを使って、上手に貼っていく。傍で見ていたら、とても細かい作業だということがわかった。2時間くらいかけて、一枚の絵は見事に完成!
 そしてFくん。この日は以前にやったスーパー折り紙に再び挑戦。スーパー折り紙とは、一枚の紙から、世界の地形や名所、橋などの立体アートが生まれるというもの。作り方は、本に描かれた設計図を紙に写して、カッターで切り、折り目をつけていくという細かい作業の連続。Fくんは一人でもくもくと取り組み、この日だけでも、4つの作品を完成させた。
 二人がもくもくと取り組んでいるのを見て、触発されたSくん。「僕も何か作りたい!」と言い出し、まずは作りたいものを本など見て考える。しかし、材料が揃わないことから、本に載っているものはあきらめた様子。すると、学校にある材料で作れると、自分で考え出したものは、ビー玉迷路。画用紙とダンボールを使って、ビー玉を通すゲームの迷路を作っていた。次の日も作って完成したものを、今日嬉しそうに見せてくれた。3段重ねになっていて、なかなか難しい。
 この日は、みんなあまりしゃべらず、本当に作業に集中。時間があっという間に感じたようです。ちなみにFくんは、翌日も翌々日もスーパー折り紙に取り組んでいる。熱心にやっている彼の姿を見ると、「これが熱中するということなんだなぁ」としみじみ思うのでありました。