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原発事故に関するこれまでの情報


2011/3/29 save

「放射能被害を過小評価」 ロシアの科学者 福島原発を懸念
2011年3月27日 西日本新聞

 旧ソ連で1986年に起きたチェルノブイリ原発事故について、人や環境に及ぼす影響を調べているロシアの科学者アレクセイ・ヤブロコフ博士が25日、ワシントンで記者会見し、福島第1原発事故の状況に強い懸念を示した。博士の発言要旨は次の通り。

 チェルノブイリ事故の放射性降下物は計約5千万キュリーだが、福島第1原発は今のところ私の知る限り約200万キュリーで格段に少ない。チェルノブイリは爆発とともに何日も核燃料が燃え続けたが、福島ではそういう事態はなく状況は明らかに違う。

 だが、福島第1はチェルノブイリより人口密集地に位置し、200キロの距離に人口3千万人の巨大首都圏がある。さらに、福島第1の3号機はプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使ったプルサーマル発電だ。もしここからプルトニウムが大量に放出される事態となれば、極めて甚大な被害が生じる。除去は不可能で、人が住めない土地が生まれる。それを大変懸念している。

 チェルノブイリ事故の最終的な死者の推定について、国際原子力機関(IAEA)は「最大9千人」としているが、ばかげている。私の調査では100万人近くになり、放射能の影響は7世代に及ぶ。

 セシウムやプルトニウムなどは年に1−3センチずつ土壌に入り込み、食物の根がそれを吸い上げ、大気に再び放出する。例えば、チェルノブイリの影響を受けたスウェーデンのヘラジカから昨年、検出された放射性物質の量は20年前と同じレベルだった。そういう事実を知るべきだ。

 日本政府は、国民に対し放射能被害を過小評価している。「健康に直ちに影響はない」という言い方はおかしい。直ちにではないが、影響はあるということだからだ。

スリーマイルから祈り あす事故から32年
2011年3月27日 毎日新聞

 ◇「情報不足、無力感に負けないで」
 米国史上最悪の放射性物質漏えいとなった「スリーマイル島原発事故」は、1979年の発生から28日で32年を迎える。地元では事故の記憶が風化しかけていたが、東京電力福島第1原発の事故が起きたことで当時の恐怖感がよみがえっていた。住民たちは、1週間から10日で放射能汚染拡大の危機が収束したスリーマイル島事故よりも「状況はひどいのではないか」と語り、日本の被災者たちの苦しみや不安に思いをはせた。【米国東部ペンシルベニア州で草野和彦】

 州都ハリスバーグの南東約20キロ。サスケハナ川の中州(スリーマイル島)に白煙を噴き上げる2棟の冷却塔が建つ。二つの原子炉のうち、事故が起きた2号機は現存するが閉鎖され、1号機は85年に稼働再開。川の東側に広がる集落との距離の近さに驚いた。

 「自分たちの運命は自分たちで責任を持ちたい」。原発周辺の放射線量を監視している市民団体代表、エリック・エプスタインさん(51)が語った。自宅のパソコンには25カ所の観測結果が刻々と表示される。活動の原点だった「事故の深刻さを隠そうとした原発事業者への不信感」を、日本の事故で思い出したという。

 当時も放射能に関する情報が混乱し、州政府が原発から半径5マイル(約8キロ)の住民に避難を勧告したのは事故から2日目だった。避難対象は妊婦と幼児約5000人だったが、約14万人が避難した。

 エプスタインさんの目には、発表が二転三転している東電の対応と重なって見える。それでもスリーマイルの場合、混乱のさなかにカーター大統領(当時)が夫人と被災地を訪れたことで「住民の不安解消に役立った」と振り返った。米原子力規制委員会は「健康や環境への影響はごくわずか」としたが、「反原発」運動に携わるマリー・スティマスさん(67)は、事故後に周辺の動植物に「異変」が起きたと写真を見せながら証言し、「福島原発周辺の人々はこれから定期的に健康診断を受けるべきだ」と語った。

 一方、自宅窓から冷却塔が間近に見える看護師、デブラ・フォマーさん(53)は、「原発自体は怖くなかった。今もそう」と言った。生後3週間の長女を抱えて避難したが、「本当に怖かったのは、世界から専門家が集まったのに誰もどう対処してよいか分からず、無力感が漂ったことだった」。

 フォマーさんは、同じ感覚が日本を覆いつつあるのではないかと気がかりだ。「日本政府はできるだけのことをしている」ように見え、「東電も提示できる情報がなかったのかもしれない」と言い、無力感に負けないでと願った。住民の大半は今、原発との「共存」を静かに受け入れている。事故後に安全管理が徹底されたと評価され、原子力発電所や関連産業が地元の雇用先にもなっているからだ。

 サスケハナ川の東岸、原発正面にある記念碑には「ここで起きたことは世界の原子力産業に変化をもたらすだろう」と記されている。福島第1原発の事故は、世界にどのような教訓を残すだろうか。

 ■ことば

 ◇スリーマイル島原発事故
 79年3月28日、2号機の2次冷却水給水ポンプが故障し、緊急炉心冷却装置を誤って停止させるミスが重なって露出した炉心が溶融した。事故の国際評価尺度(0〜7)は「福島」と同じレベル5。放射能除去に12年の歳月と9.7億ドル(約790億円)を要した。

福島の全農家に作付けの延期を要請 原発事故で県
2011年3月26日5:29 朝日新聞

 東京電力福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故を受け、福島県災害対策本部は25日、県内の全農家に田植えや種まきなどの農作業を当面延期するよう求めた。県内各地で土壌汚染の恐れがあるためだ。国と協力して土壌の分析を進め、農地が安全かどうかを判断したうえで作付けの指示を出す。

 農協(JA)などの組織を通じて農家に伝える。また、25日から県のホームページなどで県内の全農家に作付けの延期を呼びかけ始めた。農家が被る損失は、国や東京電力に補償を求める方針だ。

 福島県内では4月以降に田植え作業が本格化するが、県はできるだけ遅らせることを要請した。また、大豆やソバなどの畑作物も種まき時期を遅らせること、花類も露地栽培について作付け準備を遅らせることを求めている。畑を耕す作業は放射性物質が広がる恐れがあるため、取り組まないことも求めた。

 政府は福島県に対し、葉物野菜などの摂取制限や出荷停止を指示している。農家には出荷できない野菜がたまっているが、県は焼却処分などをすると放射性物質が拡散する恐れがあるとして、そのまま保管するよう求めた。

 福島県で栽培が盛んな桃や梨などの果樹は病害虫防除などの管理をしないと翌年以降の収穫に影響するため、樹木の管理は例年通り取り組むことを認めた。

 福島県はコメ生産が全国4位と盛んで、農業産出額は全国11位の農業県。しかし、放射能漏れ事故の影響で、原発から半径20キロ圏内は避難指示が出ており、農作業に手がつけられないままだ。20キロ圏外でも県内各地で葉物野菜から放射性物質の検出が相次ぎ、農家から「作付けはどうすればよいのか」との声が相次いでいた。(中川透、村上晃一)


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