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横浜被災者差別事件(2016.12.28)

毎日新聞が2016年11月16日(水)に報じた。

2011年3月11日。
東日本を襲った大地震により発生した大津波が福島県の原子力発電所を襲った。
そのときに大量の放射線が大気中に放出される。

近隣に住んでいたひとたちは、自主的であれ、強制的であれ、避難せざるを得なくなった。

そのなかに横浜市へ家族と避難した男児がいた。
男児は当時小学校2年生。7歳か8歳だった。

横浜市教育委員会は個人情報保護を理由にして、この小学校を公表しいないが、ネット上ではすでに検索されている。

保土ヶ谷区にある横浜市立のK小学校。
避難してきた当時は別の小学校だったが、男児が卒業するまでにK小学校に合併された。
現在は近くのN中学校1年に在籍しているが、フリースクールに通っているので、N中学校へは登校していない。

男児は公教育を拒んだのではなく、公教育から拒まれた。

2011年8月に男児は転入した。
その小学校2年生のときから、同学年の子どもたちからいじめを受け始めた。
「〇〇菌」と呼ばれてしまう。

2016年11月に報道陣の取材に保護者が応じた。
当時の校長は校門から教室まで手をつないでくれたり、教諭が連絡帳を細かく記入したりという配慮があった。
しかし、進級や合併などで教員の配置が変わってから雰囲気が一変したという。
保護者は「(学校が言う関係機関との)連携の以前に教諭の個人的な問題。子どもに寄りそう気持ちを大切にしてほしい」と訴えた。

3年生に進級した2012年。
6月から10月まで学校に通えなくなった。

5年生になった2014年。
5月に同級生から「賠償金があるだろう」と脅されて金を奪われてふたたび学校に通えなくなる。

6年生になって書き留めた手記によると、いじめは2年生の転入時から5年生までずっと続いたそうだ。

6月、K小学校校長は「金銭のやりとり」(という言い方は違和感があるが)を教育委員会に報告した。

保護者は、金銭を男児が脅し取られたことを学校が知りながら保護者には知らさなかったと批判している。

7月、男児の保護者が神奈川県警に相談した。
県警はゲームセンターの防犯カメラの映像分析で加害者が一回に10万円単位の金銭を使っていたことを突き止めた。
このほか男児が脅し取られた金は加害者の交通費や飲食費にも使われた。
最終的には合計150万円を上回る金が脅しとられた。
男児は脅されていることを保護者に相談できず、生活費を持ち出していた。

保護者は警察の調査結果を学校と横浜市教育委員会に伝える。
しかし、学校は「重大事態」ととらえず、問題を放置した。

このことについて2016年11月になって岡田優子教育長
「不登校が始まって一か月以上が経過し、金品の問題が持ち上がり、重大事態を認識すべきだった」と釈明し、問題を放置した認識が「ある」と回答した。

このことについて2016年11月の第三者委員会の報告書
「万単位の金銭のやり取りを把握しながら『おごった』側、『おごられた』側への十分な指導が行われた形跡が認められない」と学校と市教委を批判した。

6年生になった2015年。
7月、男児が学校や加害者と話し合いをするなかで手記を書いた。

「ばいしょう金あるだろと言われむかつくし、ていこうできなかったのもくやしい」
「ていこうするとまたいじめがはじまるとおもってなにもできずにただこわくてしょうがなかった」
ばい菌と呼ばれて「ほうしゃのうだとおもっていつもつらかった。福島の人はいじめられるとおもった」
「いままでいろんなはなしをしてきたけど(学校は)しんようしてくれなかった」
「なんかいもせんせいに言(お)うとするとむしされた」

12月、保護者は横浜市教育委員会にいじめ防止対策推進法に基づいた調査を申し入れた。

中学1年生になった2016年。
11月、やっと横浜市教育委員会の第三者委員会が報告書をまとめた。
この報告書の大部分は黒塗りされ「詳細を公表してほしい」と訴えた保護者の願いは届かなかった。

岡田優子教育長
「学校と市教委が共同して対応することができず申し訳なく思っている。報告書の全面公表を要求されたとは受け取っていなかった」
今後、関係者への聞き取りを改めて実施するそうだ。

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