もうひとつの助走
文学賞発表当日。ノミネートされた作家と編集者が食堂の個室に集まる。言葉とは裏腹の心理劇。作家は受賞できるのか。

線香花火

小説の新人賞を獲得した営業職の男。たまたま受賞したのに、自分には才能があると勘違いした。伸びない営業成績。作家として成功することを夢見て、仕事を辞めてしまう。

過去の人
文壇パーティーに呼ばれ、自分が編集者から尊敬されていると勘違いしたデビュー2年目の作家。だれからも声をかけられない。編集者たちは集まった作家たちを将来性がある人と過去の人に分類する。

選考会
作家歴30年のベテランが初めて新人文学賞の選考委員になった。目立つ文学賞受賞経験のない作家にとって、それは作家として認められたことだった。

巨乳妄想症候群
ある日、イラストレーターの男は何を見ても巨乳に見えるようになってしまった。

インポグラ
飲めば勃起しなくなるインポグラ。売れないはずの薬が、夫の浮気を疑う妻たちに受けてヒット商品になった。

みえすぎ
遺伝性の特異な体質をもつ男。ある日、その体質のスイッチが入る。光に反射する以外の微物まで見えてしまう。よのなかはすべて細かい粒子がうようよ。課長の口からニンニク臭気、ポットの紅茶に溶け出すプラスチック、校舎の天井から降り注ぐホルムアルデヒド。男は祖父の写真を思い出し、マスクを買おうと思う。

モテモテスプレー
もてない男が恋愛研究所が開発したモテモテスプレーのおかげで彼女をゲットした。しかし、なぜかスプレーが利いている時間が短くなっていく。

シンデレラ白夜行
白夜行を読んでいるひとならピンとくる。シンデレラが白夜行の雪菜のように、思慮深く、虎視眈々と目的を達成する女性だったら、どうなるか。

ストーカー入門
彼女にふられた男。なぜかふった彼女の指示で、ストーカーをするはめになる。

臨界家族
子どものために、休日を犠牲にする夫。妻の要求に従うしかない。ストレスはやがて臨界を迎えた。
笑わない男
売れない芸人コンビが事務所からの解雇通告を受け、必死のネタ作りに挑む。
奇跡の一枚
自分とは似ていない美人が写った。しかし、まったく別人でもなさそうだ。一枚の写真に秘められた謎。

なんと解説を奥田英朗さんが担当している。